心理カウンセラーの小高千枝です。
最近、年齢も経験値も高めの"人生の先輩" と公私ともにご一緒させていただく機会が多いです。
何かを成し遂げていたり、継続していたり、そして努力をする、探求心を忘れない――。そんな感覚を持たれているみなさんとの時間はとても学びが多く、とても深い。
これからの人生が楽しみになるの先輩方の存在たとえば、60代現役で会社経営をされている女性の先輩は、フランス語でヨーロッパの芸術を分析されたり、1泊3日で海外のオペラ鑑賞へ出かけられたりと、いつもとてもアクティブ。
もちろん先輩方とは、社会的立場や見てきた世界など根本的基準がまったく違います。だから、いまの段階で真似をしようとは思いません。
でも、経験を積み重ねた先にいつかこういう世界観を広くもって、人生を楽しんでみたい、と刺激を与えていただいているのはたしか。
歳を重ねるごとに自分の生きかたを承認し、謳歌し、いつも前向きな心の在りかたを持たれていらっしゃる先輩方のエネルギーを強く感じ、自分の人生がますます楽しくなってきているのです。
"承認欲求"を満たすことで自分を肯定しようとしている人が増えている先日も70代の先輩が、
「満たすことと、自分のなかでの浄化作業を中途半端ではなく思いっきりやらないと、常に悶々とした気持ちが続く。その勢いや力があってこそ心も体も元気でいられる」
とお話してくれました。
たしかに...。
心理学の観点からみると、最近の傾向として自己愛や依存が強い人が多いと感じています。それは、同じ業界の専門家の先生たちともよく話をしていたこと。
自分を大切に尊いと思う"自尊心"の強さよりも、他者から認められること、"承認欲求"を満たすことで自分を肯定しようとしている人が増えている傾向がみられるのです。
これは、"他人ありきの自分"という認識が刷り込まれているため、自分で自分をどう満たしていいのか? 自分は何をしたらすっきりするのか? が見えていないから起きてしまうこと。
こういったことを、70代の男性の先輩と話していると、
「とても浅いところで何かを満たし、心のなかを掃除してすっきりさせる作業も浅い。表面的なところだけで生きている傾向があるよね。そういう生きかたに気が付いていないから、自分が本当に好きなこと、やりたいことも理解していないし、自分の人生を歩んでいないのかもしれないね」
という突き刺ささる言葉を投げかけられました。
まずは、ひとつ何かに没頭してみる情報化社会が悪いわけではありません。
しかし、新しい情報や他人からの意見に翻弄され、本質を深める前に次へ気持ちが移ってしまう。多くの情報は、現代を生き抜くために必要でもあり、批判的にだけでは捉えられない現状でもあります。
でも、ひとつ何かに没頭してみると、 "満たされる"とか"心のなかをすっきりさせる"意味がわかってくるかもしれません。
自分なりの得意分野に集中し、没頭し、極めていく以前、私が秘書をしていたとき、マイクロソフトオフィススペシャリストの資格をすべて取りました。でも、いまはそこまでパソコンスキルを要する仕事をしていないので、宝の持ち腐れ状態です。
当時はパソコンで何かをすることが楽しくて仕方なかったので、"没頭"して満たされていたと思います。また、シュレッダーで書類を処分することが、オフィス内での心のなかをお掃除する作業だったと思います。思い返してみると、非常に身近なところでセルフケアをしていた感覚です。
私のサラリーマン時代のなつかしい思い出ですが、大それた何かをする必要もなく、オフィスのなかで自分だけの何かを極める。そして、すっきり感を得られることをしてみる――。
かたく考えずに、自分なりの得意分野に集中し、没頭し、極めていくと満たされるものがあります。そして、その結果、自分にとって心地よい、心身のお掃除方法も見えてくるはず。
何気ない日常のなかで感じる、満たされる気持ちや癒される感覚を尊重してあげてください。日常がもっと豊かになり、"他人ありき"ではなくなりますよ。
写真/出川光(一部)
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