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いろいろな人がいる。いろいろな常識がある。いろいろな世界がある。 #オカマと映画とマイノリティ
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いろいろな人がいる。いろいろな常識がある。いろいろな世界がある。 #オカマと映画とマイノリティ

2017-11-16 17:30
    マイノリティ──。

    「社会的少数派」の意。「社会的弱者」として言い換えられることもある。

    当連載では、自身もマイノリティの立場であるライター・おつねが、マイノリティを描く映画を通して、見解を語っていきます。

    マダム・イン・ニューヨーク

    2012年公開。インドで暮らす主人公・シャシは、ふたりの子どもと夫のために尽くす、ごく普通の主婦。家族のなかで自分だけ英語ができないことをコンプレックスに抱え、家族にからかわれるたびに傷ついていた。そんなある日、姪の結婚式のため、ひとりニューヨークへと旅だったシャシ。家族を見返すために「4週間で話せる英会話スクール」へと通いだした彼女は、ひとりの女性としての誇りと自信を取り戻していく──。

    みんなと笑いながらもこっそり傷ついている人もいる

    一見オーバーなようで、とてもリアルな家庭模様を描いている印象がとても強いこの映画。

    最初こそ「たかが英語が話せないくらいで、家族にこんなにバカにされないでしょ」って思いながら観てた。

    でも、自分の家族だって、一緒にクイズ番組とかを見ていて、みんながわかる問題をひとりが間違えたら「これはわかるでしょ(笑)!」ってリアクションしちゃうことがある。

    きっと、本作の場合はその「苦手なもの」が英語だからイメージがしにくかっただけで、同じような感覚でこの家族はシャシが英語をできないことを笑っているんだろうなーって思うと、とても身近に感じられた。

    これは、家族間だけじゃなくて、学校や職場やいろいろなところで日々起こっていることだなって思う。

    たとえばみんなが解けたテストの問題をひとりだけ間違って笑われる子、足が遅いことを笑われる子、仕事の覚えがみんなより遅い人...きっといろいろな形で書き換えることができる。

    そして、みんなと笑いながらもこっそり傷ついている人、コンプレックスになってしまった人、それが主人公のシャシそのもののような気がするんだよね。

    「私はオカマよ! それが何か!」

    私も昔、まだ自分自身のセクシャリティに気づいていなかったとき、「お前女みたいだな、オカマ野郎!」と言われて、男の子らしくできない自分にコンプレックスを抱えていた時期があった。

    長い間それがコンプレックスで、どうにかまわりに悟られないように男の子らしくふるまってた。

    でも、こっそり隠れながらスタイルを維持するためにがんばったり、肌のケアをがんばったりしていくなかで「これこそが私の魅力じゃない!」って、あるときから自信が持てるようになったの。

    それからは「私はオカマよ! それが何か!」って言い返せるようになったんだ。

    シャシの場合は、「コンプレックス = 語学」だから私の場合と少し違うかもしれないけど、人よりもできないことがあるぶん、まわりの人たちにとても親切でやさしい女性になっていったんじゃないかなって思う。

    そして、コンプレックスがあったからこそ、克服するためにたくさん努力して、さらに魅力的な女性へと成長していったような気がするな。

    自分のほうが「当たり前」から外れていることがある

    本作を観て改めて思ったのは、「当たり前」なんてなかなか存在しないってこと。

    日本だと英語が話せないことでそんなに笑われることはないけど、本作が作られたインドだったらきっと日常茶飯事なのかも。

    たとえば、同性同士の結婚を認めている国もたくさんあるけど、異端とされて、差別される国だってある。

    こんな感じで、自分のなかにある「当たり前」なんて本当にちっぽけなもので、もっと広い視野を持って世のなかを見渡せば、もしかしたら自分のほうが「当たり前」から外れてたりする可能性すらあるんだよね。

    いろいろな人がいる。いろいろな常識がある。いろいろな世界がある。

    そんな考えをつねに持って人と接することができれば、もっと暖かいエネルギーにあふれていく。そんなことを教えてくれる映画でした。

    >>「オカマと映画とマイノリティ」をもっと読む



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