閉じる
閉じる
×
YNA#8 「磯野波平のチョビヒゲはほぼ鼻毛」
以前書いた2.5円交換の店で打つようになってから、外出の機会が増えた。
土日の両方とも家から出れたなんてほんとひさしぶりのことだった。
そう。
誰にも言ってなかったし、むしろ自分でも気づいてなかったけど、ぼくは心を病んでいた。
いつからか? なんて聞かれても正確なところは答えられない。
たぶん去年の秋くらいにそのどす黒い花は蕾をつけて、冬の始まりで満開となっていた。
寒さダルさを言い訳にできるだけ家で過ごしていた。ずっと本を読んでいた。
3月の始め、あることがきっかけとなり、いいかげん平常に戻そうと決めた。
その行動の1つが、「土日とも外に出る」だ。本を持たずに外出し、5時間以上過ごすのが目標だった。
それを達成するには、よく回るパチンコ屋が最適だと思った。
ただ、2.5円交換だからといって、いつでもどの台も回るなんてことはない。
最初の頃はたまたま良いシーズンだったらしい。
だから、日や台によっては等価交換のボーダーすら怪しいときもある。
そんな中だいたいいつでも良い状態の機種というのも発見できた。
海物語だ。
その日は最初から海を打つつもりで店に入った。
まだ昼前だからだろうか、お客さんは少なかった。
狙っていた「CR大海物語4BLACK」の先客は1人。
ニット帽にチョビヒゲのおじさんが角台に座っているのみだった。
3台設置の残り2台を凝視して、真ん中の台を選ぶ。
ほとんど客のいないシマの中、おじさん2人が並んで打つのはちょっと気が引けたけど、ぼくだってできるだけ良い台で打ちたい。
椅子にカバンを置いて、一旦外へ。
隣のコンビニでLサイズのコーヒーを買った。
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
入会して購読
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。