「この台、見た目ほど回らないなぁ」というガッカリ感は、回転率を意識してパチンコを打つ人なら誰もが経験したことがあるだろう。打ってみると、ヘソまで到達せずにこぼれる玉の割合が多かったり、ステージへの乗り上げ率やステージからの入賞率が悪かったりして、何かしら納得のいく理由があって思ったほど回らないのだな、と気付かされる。
しかしその日、いつもは素通りするそのホールにたまたま足を踏み入れ、完全なる偶然により見つけたその台は、どう見ても「この機種でこの見た目で、回らないってこと無くねぇ!?」と確信できるものだった。なぜこの台だけ? なぜ誰も打っていないのか? 今日だけこれなのか? それとも毎日この状態で…? 色々な疑問が頭をぐるぐる巡るが、取るべき行動はたった一つだ。とにかく座って、打つ!
1000円あたりのボーダーラインは18回前後とされているその台で、最初の1000円で回したデジタルは30回。だ、だよなぁ。やっぱりこうなるよな。いやいや、でも他の機種だって「最初だけ30回」みたいなことは稀に起こるじゃないか。きっとこれは上ムラだろう。油断せず慎重に見守ろう。そのまま打ち続けていくと、やはり徐々に回転率は落ちてきて、5000円時点での回転数は…135回。ええと、簡単な算数のはずなのに、答えの数字に見覚えがなさすぎて計算結果に自信が持てない。135割る5は…27! 1000円あたり27回転!? ってか、最初のやつが上ムラだとしても、その後の4000円で105回転も回ってる…。
もちろん、ここからさらに落ちる可能性だって普通にあるのだけど、少なくとも「今まで見たことがないほど見た目が良い」ことに対する答えとしては、十分すぎる数字だ。ボーダー+9回転…? パチンコの期待収支なんて計算したことないけど、とりあえず「勝つために時間が許す限り打つべき台」だってことは分かる。数日前に痛めた腰が徐々に悪化し、病院にいくために久々の代休を取ったことが、こんな形で功を奏するとはな。今日は勝たせてもらいます!!
そういえば昔、ガチのパチプロを題材とした企画や番組を頻繁にやっていた頃、丈幻さんが言ってたっけ。「回転率による期待収支」は、ある一定の回転率以上からは意味がなくなるんだ、と。1000円で100回転させようと200回転させようと、それによって玉が劇的に増えるわけではなく、できるのは「なるべく減らさず回すこと」だけ。その日どれだけ勝てるかは、結局のところいかにたくさん大当りを引けるか、確変などをどれだけ連チャンさせられるかにかかっている、ということだ。
…時は流れて、約6時間。
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