今朝「あさが来た」で蒔いた伏線を、「とと姉ちゃん」できっちり回収しましたね。面白い。
「あさが来た」で主人公のあさが尽力して開く女子大学に平塚明(はる/後の“平塚らいてう”)という女性が入学して一悶着起こします。かなりしっかり取り上げるのですが、「あさが来た」のストーリーそのものにはあまり影響がありません。なんか中途半端?みたいな感じはひしひししてたんですよ。
しかし、今朝「とと姉ちゃん」の主人公常子はその平塚らいてうが創刊した雑誌に出会い、時間も忘れて読みふけるというシーンが描かれていました。「あさが来た」のあさが間接的に「とと姉ちゃん」の常子に影響しているというわけです。その後の「あさイチ」でもしっかり伏線回収にコメントが出てました。
「あさが来た」の時から予定していたのでしょうか。「あさが来た」は大阪放送局の制作で、「とと姉ちゃん」は東京なので、つなげようぜって言ってつなげたんだったら、かなり風通しのいい組織です。
まあ、この時代はよく取り上げられるので偶然繋がったので、じゃあコラボしようかということなのかもしれませんが、それでもすごいコラボといっていいでしょう。秋の朝ドラは「とと姉ちゃん」と同じ時代のようなので、あさの女子大や常子の雑誌がちょっと出てくるかもしれないですね。
好調な視聴率を背景にNHKが朝ドラにじっくり取り組めるという好循環に入っているようです。
その好循環とは、ドラマのリアリティです。今朝常子が読んだ雑誌は、あさが私たちの時間軸で半年もかけて築いた大学にいた平塚らいてうの雑誌です。常子が一心不乱に朗読するシーンは1分ほどだったでしょうか、それだけの長さですが、そこに私たちはリアルに半年かれられた物語を投影しますから、常子が極めてリアルな存在になります。常子も「あさが来た」を見てたようなもんです。
そしてこの二つのささやかに絡み合った物語は、無言で私たちを勇気付けてくれます。
もともとNHKの朝ドラは女性が主人公のことが多いですが、単に女性のがうけるからというだけの話ではなく、日本のもう一つの歴史が存在していることを描いています。
女性の歴史です。女性は社会で男性を支えているだけでなく、女性自身が紡いでいる歴史があるということです。あさがいて平塚らいてうがいて常子がいて、社会が女性にとって少しずつよくなっているという歴史です。
これを見れば、女性だって自分たちで社会を少しずつ変えられるかもしれないと勇気付けられます。
しかも、それはそのまま女性だけの話ではありません。例えば地方だってそうです。地方は東京を支えているだけでなく、地方は地方で歴史を紡いでいます。私が広島なので広島の話をすれば、中国地方を治めていた毛利家は江戸時代に山口に追いやられますが、そこでずっとその土地を治め、明治維新では長州藩として重要な役割を果たすのです。大河ドラマとかで一度こういう何百年分を一気にやってみるとかやってみてほしいです。
逆にいえば、自分たちのことは自分たちでなんとかしていかなくてはいけないということです。女性にとってより暮らしやすい社会にするには女性自身が工夫をしていかなくてはいけない。地方がよりくらしやすい社会になるには地方自身が工夫をしなくてはいけない。NHKの朝ドラはそれができるんだよという応援をしたいし、しかも一人一人はほんの少しなにかをすればいいということを、いくつもの物語を紡いでいくことで、描き続けているのです。
宇多田ヒカルさんが主題歌というのも象徴的ですよね。きっと常子の人生と宇多田ヒカルさんの人生が重なるような描かれ方をするんだろうなとワクワクします。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: 今朝「あまちゃん」のあんべちゃんが先生してましたね!
フツクロウ: ホッホッホ。そもそも常子が「ごちそうさん」にも出とったしの。