ローソンが2月7日早々と年収アップを表明して話題です。
ローソン、「働き盛り世代」の年収アップへ 子育て社員はアップ率高く : J-CASTニュース
これが1社だけの話題に終わるのか、我も我もと続く企業が現れるのか大変気になるところです。
私は現れるのではないかと考えています。次のグラフを見てください。
国税庁民間給与実態統計調査結果を元に作成した給与所得者平均年収です。2007年をピークに平均給与は下がり続け、2008年のリーマンショックの翌年には大幅に下がってしまいました。
この2008年から2009年にかけての率にして 5.5%もの下落は過去全く例がありません。過去の大きな打撃を重ねてみましょう。
日本史上最大の衝撃、1992年の(平成)バブル崩壊の直後ですら、下げ率は 0.6%、しかも次の年からは惰性で上昇しています。2000年のITバブル崩壊の後も 1.5%で、その後じりじりと下がることになります。
つまり、リーマンショック以前は、いかに景気が悪くなろうと簡単には給与を下げることは出来ませんでした。多くの人が正社員の終身雇用の上硬直化した給与形態の中、給与を大幅に変えることは出来ませんでした。
しかし、社会の構造が変わり、リーマンショック直後には一気に給与が下げられます。そのためか次の年にはすぐあがってすらいます。
いい悪いかはともかく、給与は簡単に増減する世の中になったということです。ですから、今回、経団連などが、このように、
経団連会長、賃上げ先行を否定 春闘、厳しい展開も - 47NEWS
早々に賃上げを否定する一方で、ローソンのようにさくっと賃上げを発表して企業イメージをびしびし上げてくる企業も出てきます。
給料の変化が激しいことはいいことばかりではありませんが、この変化の激しい時代では必然の成り行きだと思います。二年以上前には、入社準備金なんて制度も見られました。
DeNA、GREE、ドワンゴ――エンジニア入社準備金制度の導入相次ぐ - @IT
有望な分野は高い給与で人材を集め、衰退する分野は給与を上げられず人材が流出していく、市場原理による人材の選択と集中です。
先日、年々就活生が中小企業に注目していることを取り上げましたが、以上のような状況も関係しているでしょう。大企業が思い切った給与戦略が取れない中、中小は大胆な給与形態や福祉制度を取ることができます。中小企業に魅力的な職場が増えているのでしょう。
グローバルでないことも強みになります。輸出が多いグローバルな企業では、輸出競争力を保つために給与も海外と比較しなければなりません。また輸出が多ければ、顧客は海外です。
しかし、ローソンのような日本企業であれば、顧客はまさに社員のような人たちです。社員にたくさん払うことは、そのまま顧客支援にもつながっていきます。日本人のための企業ですというイメージを作れれば、やはり優秀な人材の獲得につながるでしょう。
給与体系が柔軟になってきたことは、大きく社会を変化させるために必要な土俵が整ってきたということです。大企業や中小企業それぞれが、今後どのような給与戦略を取るのか目が離せないですね。
おまけ。
ちなみに、平均給与のグラフを戦後から描くと次のようになります。
きれいに立ち上がってるだろ。ウソみたいだろ。縦軸0から始まってるんだぜ。それで。
高度成長期凄すぎ…。
・併せてどうぞ
【中小企業就職戦線変化アリ】
この記事には、【馬車目線】(?)からの解説
【馬】私たちの給与を押し下げたもの。見透かされた共働き。
が続く予定です。
コメント
コメントを書く一見すごいように見えるけど物価補正かけてないんじゃね?
当然物品税も考慮してないだろ、スミソニアン協定やプラザ合意も無視。