国民全員に無条件で毎月お金を支給する仕組み。ベーシックインカム。
期待はされていますが、小さく始める良い方法がなく、やるとなったら国をあげてみたいな話になるため、なかなか実現できていません。
ふと思ったんですけど、目下予選通過できるかはらはらドキドキのサッカー。例えばそのサッカーという分野に閉じて、ベーシックインカムを動かすことができないでしょうか。
サッカーである程度の実力を身につけるとこの共同体に入ることができます。無条件で毎月お金をもらえるようになるのです。プロのサッカー選手にならなくてももらえるのです。プロのサッカー選手になった後、引退したってずっともらえます。結婚したり子供ができればその家族も一人分もらえます。
これで、サッカー共同体メンバーは、最低限の暮らしを確保した上でサッカーに関わることができます。プロのサッカー選手といえど、下位組織ではなかなか安定した生活にはなりませんが、ベーシックインカムがあれば、とりあえず食っていきながらより上を狙えるのです。
恩恵はプレイヤーだけでなく、コーチなどの周辺領域でさらに大きいでしょう。小さな街のサッカーコーチとなると、収入を安定させるのは簡単ではなさそうです。しかし、ベーシックインカムで最低限が確保できていれば、生徒数が少なくてもいきなり食うのに困ることにはなりません。
スポーツの世界は、ごく一部のトッププレイヤーは高額の報酬を得られるかもしれませんが、下位になるつれ急激に収入が減ります。しかし、トッププレイヤーは自分たちの力だけで、その高額の報酬を得られるわけではありません。
なんといっても、まずサッカーのファンがいなければなりません。そのファンが試合にお金を払って見てくれなければ、どんな天才プレイヤーも1円も手にすることができません。
さらに、裾野の広い競技人口も必要です。日本にたくさんサッカーをする人たちがいて、お互いの切磋琢磨の頂点としてトッププレイヤーは存在します。ですから、サッカーがうまい人を共同体に取り込んで最低限の生活を保証することは、サッカーが繁栄し続けていくのに大きく貢献することでしょう。
すでに今も全国に無数のサッカー教室があります。これは優秀なサッカー選手を再生産してサッカーの繁栄を続けていくためにもっとも重要なインフラです。ベーシックインカムを行えば、この全国無数の教室は、さらに安定したインフラとなるでしょう。
共同体メンバーになった後、たとえサッカーから離れても構いません。その人が普通の会社員になったとしても、ベーシックインカム分くらいは、サッカー観戦などサッカーに関する支出を期待できます。将来子供ができれば、子供がサッカーを始める可能性もあるでしょう。サッカー共同体の中をお金がぐるぐる回ってくれれば、景気は良いままです。そうやってサッカーから離れた人が新たな分野で活躍すれば、新たなサッカービジネスの拡大が起こるかもしれません。
なんだか話だけ聞いているといいことだらけのようですが、実際に運用可能でしょうか。たとえばJリーグに登録されている選手は千数百人と書いてありました。これからとりあえず共同体メンバーを1万人とし、年100万円支給するとすると100億円です。Jリーグの市場規模が700億円だそうで、やってやれないことはなさそうです。例えばサッカー教室にしても、コーチはベーシックインカムをもらう一方、教室の売り上げの一部は共同体に収めることにするなど、サッカーで働けてる人のベーシックインカムは相殺していけばよく、予算規模はもっと小さいことでしょう。例えば、高額プレイヤーの年棒を少し抑えて予算を確保してもいいかもしれません。そういう人は引退後のベーシックインカムを少し手厚くして(いわゆる年金)、どんなに落ちぶれても食えるよくらいにすれば、選手にとっても悪い話ではありません。
ということで、とりあえずベーシックインカムを小さい規模で試せる気がするのですがどうでしょう。こういった小さい規模でのノウハウがたまれば、社会全体で実行できるかどうかも見えてくると思います。
ヨーロッパのどっかの国とかでやらないかなあ。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: どうして、他の方法だと小さく始めるのが難しいんですか? たとえば町単位で始めるとか。
フツクロウ: 町単位でできるかがよくわからんのじゃ。ベーシックインカムを受ける条件は原則無条件じゃ。働きたくない人がわっと押し寄せるかもしれん。