土地の未来の姿は今のとは大きく変わります。
地方の空き家や耕作放棄地。そこにいた老人が死んでしまうとその子供達には不要なものです。しかし放棄することはできず、だれかが固定資産税を払い続けなければなりません。自治体からすれば、「持ってる以上工夫して活用して税金おさめろ」という論理だと思いますが、そんな工夫簡単ではありません。まさに「ババ抜き」になり、使わない土地の押し付け合いが始まります。
もう高度成長期ではなく、持続的な経済活動を目指す世の中に、こんな「ババ抜き」がいつまでも続くわけがありません。自治体が考え方を変えて制度を変えていくべきだと思いますが、なかなかできないでしょう。
でも勝手に世の中はどんどん進むことでしょう。
おそらく、土地は計画的に放棄されるようになります。相続できそうなものは生前にどんどん譲渡してしまい、なくなったところで土地などは相続放棄してしまうのです。その方法にもいろいろ問題はつきまといますが、価値を生まない土地でも、とにかく税金は取るという姿勢は必ず立ち行かなくなります。すでに森林なんて誰が持ってるのかわからないようなとこいっぱいありますし、そこから税金は取れてないし、つまりもう税金が取れてない土地なんていっぱいあります。そしてそれがどんどん増えていくのです。
しかし、その土地に本当に価値がないかというとそんなことはありません。活かせる人は出てくることでしょう。しかし、その土地を買おうものなら、永代に渡って固定資産税を払う義務が発生してしまいます。ですからおいそれと買うことができません。
今、日本に活用できない土地がいっぱいある大きな理由の一つは、この税制のせいです。超足引っ張ってるんです。
この行き詰まりをどう打開するか。最初はおそらくNPOのようなものがでてくるのだと思います。このNPOは土地を有効に活用することがミッションです。相続放棄され国庫に入った土地は委託管理するのです。そこを使いたい人や法人は、このNPOを通してその土地を借りるのです。
隣接した土地があったなら、まとめていくこともできます。日本の家は狭いですが、こうやってまとめていくことでより広い家に住むことができるでしょう。
自治体からすれば、相続放棄され、税金を生まなくなった土地からまた税金が得られるようになるのですから、悪い話ではありません。
このようなNPOが立ち上がれば、このNPOに自分の土地を売る人もでてきます。売って、そこからは賃貸料を払うとか、相続の時に売るとかです。自分の土地が、自分の死後子供達に迷惑かけるとか最悪です。こういう仕組みができれば、土地を手放す人は増えることでしょう。
そうやって、NPOのところに土地が集まることで、土地が有効活用できるようになります。このNPOがあげる収益がすなわち、自治体の得られる固定資産税になります。それは本来支払うべき税額より少ないかもしれませんがだからといって、差し押さえるような話ではありません。そもそもその土地はそれだけの価値しか産んでいないのですから、それ以上取れません。
一方うまくいけば本来支払うべき税額より多くなるかもしれません。そんな例がでてきたとき、日本の土地の所有のあり方は、本格的に変わっていくでしょう。このNPOは現行の土地の制度の中で行われる工夫ですが、土地を使いたい人が使えるようにすることで、土地の付加価値があがり経済も活性化し、ひいては税収も上がるということがはっきり示されれば、法律そのものも変わっていくことでしょう。
なお、このような仕組みをビジネスとして始めている取り組みもあるようです。
シニアの新たな選択肢になるか。家を売却した後も住み続けられるサービスとは? | 住まいの「本当」と「今」を伝える情報サイト【HOME'S PRESS】
もしかするとNPOではなく、普通の営利企業が「ババ抜き」土地を活用するのかもしれません。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: 田舎だけの問題じゃないですよね。都市の中にも、使ってない土地とか、節税のために使っているように見せかけて使ってない土地とか簡単に見つけられますもんね。
フツクロウ: ホウじゃな。法律や税制を変えればそれがすべてなくなるというわけでもないじゃろうが、土地は誰かが所有することを基礎にするやり方は、そろそろ見直すべきときじゃな。
ミライ: この土地はNPOから借りるって方法は未来の普通になるかもしれませんね。