少し前、「マンスプレイニング」というキーワードがバズりました。wikipedia によると、
一般的には「男性が、女性を見下ろすあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」
という話です。

 セクハラの一種でやっかいな問題かと思いますが、一方でこの話を聞くと「それって女性に限らないよね」と感じる人も多いと思います。

 「説教おじさん」いるよね、みたいな。しかしこちらの方は、積極的に対応が可能です。

 いくつになっても被害をうける

 60になってから農業を始めたら「この若造が」と毎日のように周りの70, 80代の人に説教されるというような場面を想像するとわかるように、「説教おじさん」の矛先が向くのは若い人たちだけではありません。まあよほど長生きしない限り一生つきまとう問題です。

 そんな「説教おじさん」対策、みなさんどうしてますか そういう被害を受けないよう、歳上とのコミュニケーション時間を最小にしようとしていませんか? あるいはスキを作らないようにがちがちに防御する? 歳上との飲みは極力回避する?

 しかし、それだと人生9割損します。どうしてでしょう。

 あなたにとっての歳上も「説教おじさん」はいる

 私は47歳ですから、これ読む人の大半にとっては、私は十分に「説教おじさん」候補でしょう。しかし、私自身もまだまだというか、上に書いたように何歳になっても、私自身も常に「説教おじさん」の恐怖に晒されています。私だけではありません。あなたにとっての「説教おじさん」候補全員です。

 すると何が起こっているかわかりますか? あなたが「説教おじさん防御姿勢」を取れば、それは私たち「説教おじさん候補」に筒抜けなのです。私だって子供の頃からずうぅぅぅぅっと、そして今も、「説教おじさん」に相対し、対応してますから、自分が「説教おじさん候補」として扱われれば一瞬でわかります。

 そしたらその「説教おじさん候補」たちはどう反応するか。9割はその態度を見てすっと身を引きます。「ああこの人は私と話したくないのか。了解」と。

 「説教おじさん防御姿勢」を取ると「説教おじさん」だけが「説教」してくる

 いくらあなたが「説教おじさん防御姿勢」を取ろうとも、あなたはたまに「説教」の被害を受け、自分の「説教おじさん防御姿勢」の甘さを悔い、ますます「説教おじさん防御姿勢」に磨きをかけようとするかもしれません。

 しかし、少し冷静に考えてみてください。あなたが「説教おじさん防御姿勢」を取れば、9割の人はそれを察知して話を止めます。それでも話を仕掛けてくるのは、真の「説教おじさん」です。あなたは自ら真の「説教おじさん」だけを選りすぐっているのです。「説教おじさん防御姿勢」に磨きをかければかけるほど、さらに選りすぐりの「説教おじさん」を選ぶことになります。

 あなたはその他の普通の、もしかしたら面白い話をしてくれるかもしれない人を排除しながら、真の「説教おじさん」の説教だけを聞かされるはめになっているのです。

 話を聞くコツ

 とはいっても「説教おじさん」の話を聞くのは苦痛と思うかもしれません。確かにそれは簡単なことではありませんが、訓練でなんとかなります。

 コツは簡単です。相手の話を聞きながら質問をすることです。とにかく歳上と話すとしましょう。上に書いたように9割は「説教おじさん」ではありません。

 そんな人の話を聞き始めたとします。

 人の話を聞いて理解することは簡単なことではありません。話すのが非常に上手な人の話は、楽に理解できますが、普通の人はそこまで上手ではありません。聞いていてもよくわからないかもしれません。

 そのまま放置していると聞いているのはどんどん苦痛になります。放置してはいけません。話の中で気になった言葉を使って質問してみましょう。「◯◯のことよく知らないんですけど、なんですか」みたいに。

 そうすれば相手は、とりあえず「◯◯」について話し出してくれるはずです。さっきよりは話を理解するきっかけが増え、少しずつ話がわかるようになります。わかった分、またそれを使って質問をしましょう。

 それを何回か繰り返すと相手も、あなたが何がわかって何がわかっていないか把握できて、話し方が変わっていきます。話す相手がただ聞いているだけでは、話す方だってどう話を進めていいかわかりません。質問してくれればそれにあわせて話し方を変えることができます。

 そうやって話を聞けば、たいていはなにか面白い話を聞くことができます。

 中には「説教おじさん」もいます。でも、「説教おじさん」と思われる人であっても、聞くコツをつかむと、大半は面白いことを話すおじさんに変わります。おそらく「説教おじさん防御姿勢」を取り続けてる人は、ほんとは「面白いおじさん」な人を何言ってるかわからないおじさんに変えてしまい、みんな「説教おじさん」に見えてるのではないでしょうか。

 もちろん、真の「説教おじさん」もいます。質問しても、あんまりそれに答えてくれなくて、また自分の話したいことを延々と強要する人とか、とにかく長い人とか。でも、聞くコツを覚えた人なら、「説教おじさん」と向かい合ったとしても丸腰ではありません。完勝することはできなくても、武器がないよりはよっぽどましに時間を過ごすことができるはずです。うまくすれば大半の時間は苦痛だったとしても、何か参考になることはあるかもしれません。

 残りの人生おそらく死ぬまで「説教おじさん」の恐怖が消えることはありません。であればむしろ戦う武器をみにつけましょう。

 なお、『とめはねっ! 鈴里高校書道部』の主人公大江 縁君が歳上から話を聞くのが上手で、話の中でもしばしば周りに驚かれてます。彼のようになればいいのです。




《ワンポイントミライ》

ミライ 聞くのが上手な人っていますよね〜。

フツクロウ ホッホ。そうじゃな。「いかーん、今『しゃべりすぎ』じゃあ」と思いつつ、ついつい話過ぎてしまうの。