日本の企業の論理が変わる節目にあることを象徴するできごとではないでしょうか。

 ヤマト、一部通販との契約打ち切りへ 採算割れ法人対象(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース  

 宅配業者のヤマトが採算割れしている法人を対象に契約打ち切りを始めたとのこと。

 その記事の関連記事にはこんな記事まで。

 ヤマト契約打ち切り「とりつく島がない」 通販業者悲鳴:朝日新聞デジタル 

 交渉の余地なく契約を打ち切られている業者もあるようです。

 一昔ならなかなか考えられない出来事ですが、これはヤマトという企業の論理が変わったからです。

 今までは企業といえば「成長しなければならない」とされていました。誰かがラーメン屋を始めて繁盛した時、そのまま一店舗だけで続けるのか、どんどん支店を作っていくのか岐路に立たされます。今まで大雑把にいえば、前者は個人経営を選択したことになり、後者は企業となりそれからはどんどん成長を目指すことになります。

 ヤマトも今までは通販の発達にしたがってひたすら拡大してきました。サービスもきめ細やかな時間配達や当日配達など拡充してきました。

 しかし、それが成り立たなくなってきたのはみなさんもご存知の通り。人手不足です。

 人は簡単には増えません。そこでヤマトは「企業は拡大しなくてはならない」という考えを捨てたのだと思います。

 そして、それを捨てた代わりに、「持続的に運営する」ことを目指すようになったのではないでしょうか。

 自社の従業員達が持続的に働けるように。通販が伸び拡大中は、「今頑張れば将来は楽になる」と会社も従業員も思っていたことでしょう。でも、どんなに頑張っても、従業員は辛くなる一方だし、会社も利益が思ったように上がりません。「拡大することはいいこと」ではないと双方気づいたのです。

 そして、「持続」が新しい論理になった時、どんな選択をするでしょうか。

 採算割れ法人の契約打ち切り
 
 誰もが真っ先に取り組むことではないでしょうか。

 もちろん、今後、宅配ロッカーの普及や、コンビニ受け取り、あるいはドローン配達といった技術革新に合わせて、ヤマトは通販の扱い量を増やしていくことでしょう。しかし、「取れるものは取る」なんてことはもうしないようになったのです。競合とのシェア争いは最重要項目ではなくなったのです。もしシェアを拡大するなら、競合から従業員まで奪う必要があります。そんなことまでしなくていいや、と考えるように変わってきたのです。

 人口が減少する局面に入った日本。ヤマトのように企業の論理が「拡大」から「持続」に変わる企業が次々現れることでしょう。


《ワンポイントミライ》(

ミライ: これ! 日本のデフレが終わるということじゃないですか??!!

フツクロウ: いいポイントじゃの。