前回は人手不足の話題でしたが、同じタイミングでこんな記事が出てました。

 日本にとって人手不足はどれほど深刻なのか 今後10年を見ると過度に悲観する必要はない | 国内経済 - 東洋経済オンライン  

 この中で興味深い記述がありました。

10年前の2007年12月に公表された厚生労働省の雇用政策研究会の報告書 では、2017年の労働力人口は「労働市場への参加が進まないケース 」で2006年と比べ440万人減少、「労働市場への参加が進むケース 」でも101万人減少すると見込んでいた。当時は筆者も含めほとんどの人は労働力人口が減少すること自体は避けられず、急速な減少に歯止めをかけることが課題と考えていた。

しかし、実際の労働力人口は予想を大きく上回り、2016年には6673万人と2006年の6664万人から9万人の増加となった。

 10年前の予想は完全に外れました。少なくとも100万人減ると考えられていたのが、減るどころか9万人の微増。

 予想をはるかに上回る社会の変化が起きたのです。

 この問題は4年前に分析したことがあります。

 【馬】私たちの給与を押し下げたもの。見透かされた共働き。  

 1997年ごろから平均給与が減っていくのですが、それとともに、共働き世帯が増加したのです。

 女性がどんどん働くようになるものの、実は本質的には仕事は増えず、つまり労働者が余るため、給与が減っていったのではないかということです。それが進めば、男性だけの収入では生活できない世帯が増え共働き世帯が増えるというある意味悪循環が進みました。

 そのような背景の10年前には、労働者人口の動向は読みきれなかったようです。安い給料のために、人口が減ろうともより多くの人が「働かざるをえなかった」という現実です。

 その裏では人余りを背景にサービス残業増加などの労働環境悪化も進んでしまいました。

 しかし、今はまたさらに状況が激変しています。人口減少による人手不足のために、賃金が上昇を始めただけでなく、残業未払い問題で手取りが増える傾向も加わっているのです。前回紹介したように。

 ですから、一般的な将来予想はとことん疑ってかかりましょう。人口減少で社会はジリ貧というイメージが先行していますが、レジリエンスというような言葉がはやるように、社会は変化にしたたかに対応していきますし、今のところ人口減少はかえって日本に良い影響を与えているのではないかと思えるほとです。冒頭で紹介した記事もそういった論調です。

 なんてったって、私たちはめいめい必死に生き抜いているのですから。いつだって過去の人たちは未来の人を侮っているのです。


《ワンポイントミライ》(

ミライ: なんか、その記事、最後のまとめが気になります。

フツクロウ: ホウ。