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内田樹さんの記事を読みました。
地方移住の意味するもの (内田樹の研究室)
世界の政治指導者たちが経済成長は終わったことを認識していないという話で、とても興味深いものです。ゆっくりととりあげてみたいネタですが、その前に。
この後「定常経済の時代」が始まるとあるのですが、この「定常経済」の意味がちょっと大げさに捉えられています。
「定常経済」とは、単にモノ(やサービス)の値段が変わらない経済です。インフレもデフレもない状態です。でも、まだそれを表す言葉すらありません。あるのかもしれないけど聞いたことありません。適当にノンフレと呼んでおきましょう。
ノンフレでは、モノの値段は変わりませんから、iPhone が毎年新しいモデルを出しても値段は一緒です。最近崩れつつありますが。
ノンフレでは、大卒初任給も変わりません。普通預金の利子も0です。
今はまさにそういう時代です。
でも、iPhone はどんどん進化します。iPhoneはアメリカの製品じゃないかとおもうかもしれませんが、中には日本の部品が使われています。日本の技術が止まっているわけではありません。
私たちの生活もどんどん便利になっています。失われた20年とかいいますけど、20年前の暮らしと今の暮らしは全く違います。20年前なんて Windows95 の時代です。
ゆるやかなインフレが理想であるとよく言われますが、ノンフレでも私たちの日々の暮らしはまったく困りません。
それと、私たちの社会がより便利にあるいはより豊かになるかという話は全く別です。スマホはこれからだってどんどん進化するでしょう。お値段は据え置きに近いままで。
ですから、先の内田樹さんのコラムもそれとその他の話は分けて考える必要があります。
この「定常経済」あるいはノンフレは、極めて安定した構造を持っているようです。なんといっても、アベノミクスと黒田日銀が総力をあげてインフレ率2%目標に取り組んだにも関わらず、まったく効果はありませんでした。
そりゃそうですよね。だって、商売する人の大半は、モノの値段を上げたくもないし下げたくもないんですから。日本の場合。
元記事だと、経済成長が止まる状態について、なんか進歩も止まるような印象を与えています。人々は地方に移り変わらない日々を送るような。人々が地方に移るかの議論は別の機会に譲るとして、地方に移って、いわゆるスローライフとかいうやつを実践するにしても、その中身はITや最新の技術を使ってどんどん進化していってこそです。でなければコストかかりすぎて立ちゆかないでしょう。
今の朝ドラ「ひよっこ」では、モノの値段が頻繁に出てきますし、ヒロインの給料も出てきます。最近月給1万2000円くらいに増えました。モノの値段見ててもまあ、一桁違います。私が生まれる頃50年くらい前の話です。昔のインフレがすごすぎて、ノンフレなんて考える対象ではなかったことは仕方ありませんが、日本は最近ずーっとそんな感じなのですから、そろそろノンフレと捉えられることでしょう。あるいは「定常経済」という名前で。
《ワンポイントミライ》(?)
ミライ: やっぱり「定常経済」みたいな言葉を使っているうちは、「定常経済」でも社会はめちゃめちゃ進歩しているっていうことわかってもらえないんでしょうか。
フツクロウ: ホウじゃのう。
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