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電王戦タッグマッチがアドバンスト将棋の世界を切り開いた
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電王戦タッグマッチがアドバンスト将棋の世界を切り開いた

2013-09-02 15:00

    ミライ: 将棋界の混合ダブルス、電王戦タッグマッチ最後ものすごいドラマでしたね!

    フツクロウ: すさまじかったの。

    ミライ: 1回戦から、ponanzaとのみごとな連携プレイで2つ勝ち上がった佐藤慎一四段と、2回戦から登場した今回のペアの中では共に一番の実力を誇る三浦弘行九段・GPS将棋ペアとの決勝戦。

     序盤、実力差を意識してか、佐藤・ponanzaペアが余り指されない形での急戦に持ち込んだものの、しっかりとした指し手で三浦・GPS将棋ペアが中盤まで有利に進めました。評価点も終始三浦・GPS将棋ペア優勢。見ていた多くの人が、このまま三浦・GPS将棋ペアが勝つのかと思っていました。

    フツクロウ: ホウじゃな。終盤で逆転は難しいからの。中盤の最終局面、このまま佐藤・ponanzaペア、何もできずに負けるかという感じじゃったの。

    ミライ: はい。しかし、佐藤・ponanzaペア、全く諦めず勝負手を放ちます。それが三浦・GPS将棋ペアの緩手を誘います。佐藤・ponanzaペアそこを逃さず厳しくとがめ、好手を連発、ついに形勢逆転。

    フツクロウ: 画面に形勢が数字で出るからの。ひっくり返り始めた時はすごい歓声があがったの。

    ミライ: はい。そして、そのままぐいぐい終盤に持ち込み勝ちきりました。最後は解説も少なくなり、みんな見入ってましたね。

    フツクロウ: 劇的な接戦じゃったのう。決勝戦以外は普段プロは指さない「切れ負け(*)」のルールのせいもあって、終盤までに大体決着がついている将棋になり、「決勝戦では是非僅差になってほしい」と言われておったが、そのとおりプロの公式戦での名局に決して劣らないすばらしい内容であった。

    (*) 決勝戦では持ち時間がなくなると一手につき30秒持ち時間が与えられましたが、それ以外は「切れ負け」というルールで持ち時間がなくなったら負けというルールでした。

    ミライ: フツクロウさん、逆転の場面ではうるっと来てましたね〜。

    フツクロウ: やっぱもともとかなり実力差あるしの。今でも思い出すと目頭熱くなるわい。感想戦で「秒読みになって開き直った」と。三浦九段の緩手のところも、決して悪手ではなく、あくまでちょっとぬるい手。咎(とが)められなければあのまま逆転はなかったじゃろうて。

    ミライ: そうですね。評価値も一気にひっくり変えるというわけでなく、じわじわで、あれいつの間にかひっくり返ったって感じでしたし、感想戦で、その手は GPS将棋が最善手として示した手だったと三浦九段おっしゃってました。

    フツクロウ: じゃな。三浦九段本人は、佐藤四段が指してほしくない手を読んでおったが、GPS将棋の最善手を選んだと話しておったの。

     今回の感想戦では、負けた人はみな「そこでソフトのいう手を指してしまった」とこぼしておったの。

     それに対して、佐藤四段は戦った三局とも、ソフトをツールとして完全に使いこなしていて、自分は自分の指したい手の読みに集中し、コンピュータにはその手にうっかりした落とし穴がないか、あるいは、相手が指してくるかもしれない気になる分岐を検討させておったようじゃの。「自分だったら読むのに30分かかるようなところを読んでもらえて本当に助かった」と。

     さらには、相手はこの手は指してこないという手については読ませなかったみたいなことも言っておったの。まさにソフトを使いこなしておった。

    ミライ: はい。話題の勝負手のところも、他の有力手では逆転できそうにないけど、この手ならもしかしたらと思い選んだと語っていました。それでも、こう指されたらやっぱり逆転できないけどと冷静に分析していたにも関わらずですね。

    フツクロウ: ホウじゃな。実際、三浦九段自身はその手を指したかったようじゃからの。

    ミライ: 三浦九段、開発者の人に「後で反省会だ!」って悔しそうにおっしゃってましたね。
     あ、ちなみに、対局中は、棋士がソフトを操作するのでなく、隣に開発者が座って、お互いに話し合いながら進行していました。

     ところで、第1局と最終第4局で解説をした森内名人が楽しそうでしたね。

    フツクロウ: ホウよ、ホウよ。解説者もコンピュータの検討画面が見られるようになっていて、森内名人はあっという間に画面の見方を心得て、解説しまくってたの。

    ミライ: そうですね。突然「うわ」とか叫んで、人間には思いつかないような恐ろしい変化があると解説しだしたり。その後「今日はこの一手を知っただけでも来た価値があった」とか笑ってましたね。

    フツクロウ: 応援の解説が来ている時は、まったく話さずずっと画面を眺めておったりしたしの。棋士が指示して、読ませている分岐とかも全部見られたようじゃからの。「今、こういう局面を読んでいるようですね〜」とかの。一番楽しんだのは間違いなく森下名人じゃの。人の頭の中を覗ける機会はなかなかないからの。

    ミライ: あははは。ほんとそんな感じでしたね。解説の時はこれほしいねとおっしゃる方もいましたから、今後解説には採用されるかもしれないですね。

     それにしても、タッグマッチめちゃめちゃ楽しかったです。

    フツクロウ: じゃな。チェスの世界では、このような形式をアドバンストチェスというようじゃが、あんまりはやっていないようじゃ。チェスでは完全にコンピュータの方が強いからの。人間とチームを組むといっても、まあぶっちゃけコンピュータに任せればいいわけだからの。

     しかし、将棋では中盤はまだまだ人間の方が優れておるから、今回のようなペアは見事に互いを補え合える。それを佐藤四段は見事に見せつけたの。日本でもアドバンストチェスに倣って、アドバンスト将棋というのが提案されておったが、今回それが最高の形で実現されたわけじゃ。

    ミライ: ほんとですね〜。4局全て、悪手と呼べるようなものはなかったみたいですしね。

    フツクロウ: ホじゃ、ホじゃ。これだけ短時間の対局で、4局とも悪手なしというのは、人間同士ではまずないからの。

    ミライ: これ、数年は盛り上がりそうですね。

    フツクロウ: もちろんじゃ。これでタイトル保持者ができたからの。次回は、同じような形式で対戦者を決めた上で、その対戦者と佐藤・ponanzaペアで、もっと持ち時間使い、しかも何局か指すこともできる。間違いなく新しい将棋を見られるぞ。有史きっての人間とコンピュータの共創が生み出されるに違いない。

    ミライ: ですね。今回時間がない中でも、人間同士では見られないような戦いがありました。

    フツクロウ: うむ。第2局では「わからない」が流行ったしの。

    ミライ: はいっっ(笑
     
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