やな気持ちを連れてくるユガミンが寄り付かない10の思考法(その6)〜感情を豊かにする〜の続き、最後にまとめです。 

 悩みが増える中学生が上手に悩みを乗り越えられるようにと作られた中学校保健体育副読本では、私たちの心にやな気持ちを連れてくる8匹のユガミンが紹介されています。日常生活に支障をきたすような不合理な考え方で、こいつたちを飼ってしまうと、最悪心の病になってしまいます。
 
 この8匹のユガミンは、「認知の歪み」と呼ばれていて、大人の社会にも蔓延し、私たちの心にやな気持ちを連れ込み、時に心を病気にしてしまいます。

 そこで、普段どんな考え方をしていれば、このユガミンが寄り付いてこないか、10の思考法を紹介しました。

 しかし、紹介したそれら10の思考法はどれもそんな簡単なものではありません。それらの思考法を出来るようになるにはかなりの訓練が必要で、従って、そのような訓練をしていなければ、ヒトはユガミンの好みそうな思考をしがちです。

 違う言い方をすると、今まで人類はほとんどの人がユガミンのような考え方をしていたのです。でも、心の病がクローズアップされるようになったのは最近です。どうして昔はユガミンのような考え方でも良かったのでしょうか。

 これを書いているとき、この話題にぴったりの記事を見かけました。

 いくら言っても、人や組織が変わらない理由 

キーガン:大人の知性は、3つの段階を踏んで成長していきます。大人の知性の最初の段階は「環境順応型知性」です。順応主義で、指示待ちの段階です。チームプレーには向いています。次の段階は、「自己主導型知性」。課題を設定でき、導き方を学び、自分なりの価値観や視点で方向性を考えられ、自律的に行動できる。自分の価値観に基づいて自戒し、自分を管理します。

 最後の段階が「自己変容型知性」。学ぶことによって導くリーダーで、問題発見を志向し、あらゆるシステムや秩序というものが断片的、あるいは不完全なものであると深く理解しています。1つの価値観だけでなく、複数の視点や矛盾を受け入れられる段階です。
 大人の知性には「環境順応型知性」「自己主導型知性」「自己変容型知性」があるそうです。しかし、第二・第三の知性に到達するには時間がかかるため、多くの人が自律的に行動できる「自己主導型知性」に到達するようになったのは、ヒトの寿命が一気に長くなったごく最近のことだそうです。

 つまり、ほんの一昔前までは、みなチームプレーに向いた「環境順応型知性」で生きていたし、それで回る社会だったのです。昔の農村社会、工業社会、確かに大半のヒトがチームプレーで生きることを要求される時代でした。

 しかし、今時代は代わり、多くの人が自律的に動いてイノベーションを起こすことが望まれ、さらには多様な価値観を受け入れ、問題発見ができる知性をも要求されるようになっています。

 これらの知性と、ユガミン的な考え方、あるいはユガミンの嫌う考え方は良く一致するように見えます。チームプレーの時代はユガミン的な考え方で生きていて良かったのです。でも、時代は代わり、社会は人々に今ユガミンの嫌う考え方が求めるようになりました。さらに、それができないと、下手をすれば自分を傷つけてしまう世の中になってしまったのです。

 急速に変化する社会、人間自身も生き延びるには急速に変化を強いられているのです!
 
 この新しい知性の話と、今回のユガミンが嫌う思考法との比較はいずれ落ち着いてやりたいと思います。

 そのユガミンが嫌う思考法とは次の10の思考法でした。


1)相手の立ち場で考える。 相手の立ち場で考えられないと、自分に都合のいい考え方をしてしまうだけでなく、自分に都合の悪い考え方、「誤った自己責任化」をする隙ができます。そこをジーブンは狙ってきます。

2)スペクトラムで考える。 あらゆるものをスペクトラムつまり連続的にさらには質的広がりと共に捉えることは容易なことではありません。