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感情ビッグデータがもたらす、人類の進化/ある茶番の終焉(その2)
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感情ビッグデータがもたらす、人類の進化/ある茶番の終焉(その2)

2014-06-10 22:00

     感情ビッグデータがもたらす、人類の進化/ある茶番の終焉(その1)  の続きです。

      pepperのような家庭用ロボットの登場で、私たちは今までにないとても便利な道具を手に入れることになります。それは純粋な心の鏡という道具です。

     たとえば、もし一人暮らしでpepperがいたら。帰宅した時の標準の会話があるとして、もし嬉しそうにして帰ったらそれではなく「今日は嬉しそうですね」と声をかけてくれます。逆に辛いことがあったときは、pepperもあまり会話してこないかもしれません。会話したくなければそれでいいし、「なんで黙ってんの?」と聞けば「なにか悪いことがあったみたいなので」と話すきっかけを作ってくれます。

     もちろん、人間のパートナーであっても同じように対応してくれるかもしれませんが、人間の場合にはその人自身にも感情があります。毎日同じように嬉しそうに帰っても、パートナーの感情によって対応は変化します。自分の感情の客観的な鏡ではありません。一方で機械のpepperは、客観的に感情を映し出すのです。

     そんな心の鏡があったらどんなに心強いでしょう。少なくとも、このpepperの前で感情を隠すことはなくなっていきます。それどころか毎朝鏡で自分の感情を確認してから出かけるように、 pepper に感情を確認してから出かける人も出てくるでしょう。今日はあまり機嫌が良くないなら、失言しないように気をつけようとか、気晴らししてから行こうとか、気晴らしを pepper に手伝ってもらうとか。そうやって、感情を整えられるなら、もう外で隠す必要もありません。その穏やかに整えられた感情で人と接していれば、周りも穏やかに接してくれることでしょう。
     感情を隠すより、素直に出していた方が、ずっと楽なのです。

     感情は隠せていないというコンセンサスが取れることは、たとえば交渉の場も変わってきます。

     たとえば、skypeのテレビ電話で、会話しているとき、 pepper ではありませんが、skype 付属の感情読み取りソフトが出来るかもしれません。互いが互いにそのソフトを使っているとわかっている中で交渉すると考えたらどうなるでしょう。
     感情を読まれまいとすれば、相手の端末に「感情を隠そうとしている」と表示されてしまう訳です。それはそれで立派なメッセージです。まだ警戒しているのかとか考えられます。さらに自分のskypeには、「現在のあなたの顔は、向こうの端末では恐らく『感情を隠そうとしている』と表示されているでしょう」と出たりする訳です。感情を隠していることに気付いてないごっこはもうできません。
     こんな風になってしまうなら、下手に感情を隠そうとするより、「興味あるけど、御社と今まで取引したことないから不安なんですよ」みたいにさっさと直接障害となっていることを議論した方がよほどましです。交渉の擦り合わせがもっと円滑に進むのです。

     大事なことは、実はそんなこと、つまり「感情を隠そうとしている」ことは、ソフトを使わなくたって、私たちはお互いとっくに気付いています。なのに、今は気付いてないことにして進めてしまっているということです。pepperのように人間以外が感情を読み取れるようになることで、それが茶番であると認めざるを得なくなるのです。

     また、感情ビッグデータによって、人々の感情の仕組みがどんどん明らかになるでしょう。たとえばじめじめしたらイライラしやすいとかです。たとえば交渉の場でちょっと煮詰まっているとき、それぞれ横にいるpepper秘書が、「ちょっと蒸してイライラしますね」とか声かけられたら、「そっか、煮詰まってるのは、相手のせいじゃなくて、私たちが蒸してイライラしてるからか」と気付いて、「じゃあ、なんか気晴らし手伝ってよ、pepper君」となるかもしれません。


     この心の鏡pepperを使えば、人々は自分自身の感情により気付きやすくなり、素直になります。

     これは、先日検討した、やな気持ちを連れてくるユガミンが寄り付かない10の思考法の(その6)で紹介した

     〜感情を豊かにする〜  

    につながります。感情を抑制したり、気付かないでいると、論理的に考えているようで逆に感情的な決めつけをしかねません。それはストレスになり、自分自身の心を傷つけることにもなりかねません。 
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