閉じる
閉じる
×
これは、8月の中旬に書き溜めてそのまま公開してなかった記事を手直ししたものです。
海燕さんオススメのウェブ漫画『まりんこゆみ』、面白いです。
日本の女子校生、海兵隊へ! 野上武志『まりんこゆみ』がいろいろ凄すぎる。
海燕さんはとりあえず60話くらいまで読めと薦めていて、確かに、そして70話くらいでどっひゃーってなりました。11/14現在快調に 94話まで進んでいます。
ちなみに右の方に "English" というボタンがあって、そこクリックすると英語版になって二度楽しめます! 言葉変えるだけで、ばっちりアメコミになるんだなあと感動。懐かしい。日本語も付いてるわけで、ものすごく英語の勉強になるのでとってもオススメです。ごっそり文全体が違うとことかは、日米のノリの違いで、そういうのも分かりますよ。
さて、話は変わりますが、その次の記事
さらば、皮肉と冷笑のインターネット。
の中に、こんな一文がありました。
ぼくもべつだん、悪意こそ人間の真実だとは思わない。しかし、「水は低きに流れる」。つまり、人間は放っておくと悪意に堕ちていく存在であるとは感じている。この記事はそこから会員向けで、内容は、それはそうなんだけど、インターネットで上から目線の冷笑ではなにも築けないから、一歩踏み出そう、というとても良い話でした。
でも「人間は放っておくと悪意に堕ちていく存在」ってことはないと思ってます。
というか、人間の悪意なんてたかが知れてるんです。
少し前大いに話題になったLINE詐欺。これは7月30日の記事ですけど、
LINE詐欺に対して、中国人を装って仲良くなったら、中国人の15歳がLINEアカウント情報を買ってやっていると教えてくれたという内容です。
真偽はともかく、たとえばこの場合、この中国人の悪意はあるとしても騙す相手の日本人にだけです。それ以外、食べるご飯、着る服、住む家、通う学校、家族、友達、そういったものは人間社会の中の仕組みにかっちりはまって生きていることでしょう。実際相手が中国人と思うやいなや、極普通にやりとりしています。そこに悪意はありません。もし日本人を敵として育てられているとしたら、詐欺は正しいことだとすら思っているでしょう。
もし、誰かが悪意の塊だとして、「触るものみな傷つけ」ているとしたら(15歳だけに、って30年前の歌のネタです)、孤独に生きるしかありません。普通そんなことにはならなくて、どこかのコミュニティーに属していて、例えそれが「悪の組織」だとしても、その中ではその組織のルールに従い社会性を維持する必要があります。
その場合すでに「悪の組織」のメンバーは悪意の塊ではありません。しかもその「悪の組織」が「私たちは正義のために戦っている」と設定すれば、悪ですらなくなります。イスラエルとガザ地区、どちらも自分が悪だとは思っていないし、あれだけ殺しあってても、お互い正義を行っていて「悪意」はありません。だからこそやっかいなのです。
結局社会性の動物である人間一人一人の悪意なんて、あってもわずかなのです。大部分は自分の属する人間社会のルールに従順で、極限定した悪意を発揮するか、あるいは悪意に対応するものは組織の論理に預けてしまって、悪意を放棄するかなのです。
たとえば、さきほどの15歳の中国人は、日本人に悪意を持っていて、懲らしめるのと実利のために詐欺を仕掛けているとしましょう。このように悪意を持っているように見える人は、悪意を持つべき対象を限定し、悪意を発揮することになります。
しかし、この横につながった世界、ロミオとジュリエット的に社会を二分することなどできません。まさにこの例で、中国語を操る日本人が中国人とつながるように、中国人と日本人の間にいくらでも間の人がいます。その間のどこまでの人間が詐欺を働くべき相手でどこからが違うのか、きちんと線を引くことは極めて困難です。
また、LINE詐欺の別の例ですが、詐欺師の話に乗って、親の手術代だけどプリペイドカードを買うよと答えたら、それは親に使えと諭されたなんていう話を見たことがあります。相手が日本人であっても、状況によっては簡単に悪意の対象から外れるのです。
このように自分自身で悪意の対象を定め発揮する場合、簡単にやっかいな問題にでくわします。ですから悪意に堕ちていくのは割にあいません。もちろん、生きていれば日々のごたごたから悪意がもたげることはありますが、悪意を維持するのは面倒でエネルギーが必要なことで、ほっといたらすぐごろごろ堕ちていくものではありません。
また悪意があると協力して成果をあげることが難しくなります。協力しあう人同士の中には、悪意をぶつけるべき相手に近い人が必ず出てきます。ここに以前の記事で紹介した一枚の図があります。
「悪意は蓄積せず、ポジティブが世界を満たしていく」
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。