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[S]坂本龍馬さまプレゼン拝見致しました。
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[S]坂本龍馬さまプレゼン拝見致しました。

2014-08-20 21:45

     いつもとちょっと違う水曜、今回はネタにまじめに突っ込んでしまう記事[S]です。

     坂本龍馬さんの「薩長同盟のご提案」、おもしろいと話題になっていたので、さっそく拝見致しました。

     明治維新の立役者、坂本龍馬がパワポで薩長同盟の提案書を持って来たら  

     簡潔で美しく読みやすいスライドで、わくわくしながら読み始めました。歴史が苦手なので、坂本龍馬自身の視点のプレゼンは大変分かりやすく、次々めくりました。ありがとうございます。

     しかし、「薩長同盟のご提案」というタイトルから始まったこの発表、最後のページを読んだとき「あれ、次のページがない」と何度も確認してしまいました。歴史の勉強としては楽しめますが、プレゼンはあっけなく終わってしまったと思った人多いのではないでしょうか。

     実は、ビジネスプランのプレゼンでは、その多くが同じ問題を抱えています。その問題を普段ビジネスプランのメンタリングをしている立ち場として、この「薩長同盟のご提案」で掘り下げようと思います。

     「○○のご提案」なプレゼンで大切なのは、「誰に何をお願い(提案)するのか」ということです。

    あの「ペリーの提案書」は誰にが明確

     比較のため、2010年に作られ話題になったペリーの提案書を見てみましょう。

     デイリーポータルZ:ペリーがパワポで提案書を持ってきたら 

     この提案書は、ペリーが「日本に開国をお願い」しているのが一目瞭然です。読む人は、幕府の役人の気持ちになるもよし、当時の一国民の気持ちになるのもよし、そして読み進み「よし開国だ!」「いや開国してはいけない!」とあれこれ自らの考えを持つことができます。当時とても楽しく読んだことを覚えています。

    坂本龍馬は誰にプレゼンしたのか/現実でもありがち

     一方、「薩長同盟のご提案」の発表では、聴衆はこんな反応になります。

     まず、「薩長同盟のご提案」というタイトルですから、とりあえず、自分は薩摩藩の西郷隆盛か長州藩の木戸孝允あたりで、そこに坂本龍馬がやってきたんだろうと舞台設定し、聞き始めます。

     自己紹介・実績がそつなく発表され、ふむふむと思っているところに、「倒幕に向けた両州の資本業務提携」と来ます。本題来たー、です。

     ところが、次のページでは、西郷隆盛・木戸孝允と思われる人物が匿名で内情を語っています。「あれ、私は西郷隆盛でも木戸孝允でもなかったのか。私はどこかの第三者で、資金提供でも依頼されるのかな。それにしてもなぜ匿名なんだろう。」とこのページから、聴衆が誰なのか行方不明になります。

     そしてその疑問は解決されないまま最後のページになります。聴衆は「え、おわり? 次のページは? 私は何をお願いされたの?」と消化不良のまま終わりです。

     現実のビジネスプランコンテストのプレゼンでも、このように迷子になるものがかなりあります。一生懸命事業プランを説明しているのですが、終わったとき聞き手は「で?」と思ってしまうプレゼンです。どんなに素晴らしいプランでもこれでは共感が得られず、それっきりになりがちです。

    「で?」と言われないプレゼンをするには

     したがって、ビジネスプランコンテストのプレゼンでは、主に2つの戦略のどちらかを取ることが大切です。

     ・ビジネスプランコンテストに参加する動機をきちんと自覚し、支援してほしい人に支援内容を訴えます。
     たとえば、こんな事業をしている、事業を加速するためにベンチャーキャピタルの資金支援がほしいという提案です。ビジネスプランの発表の場では、目の前にいるのは投資家ばかりではありませんが、聞く人はその気になって聞けますし、直接投資家でなくても、素晴らしい内容であれば知り合いの投資家に紹介してくれるような人は、相当います。

     ・あるいは、自分たちのすばらしいビジネスプランをもっと多くの人に知ってもらいたい、評価してほしいという目的で参加するのかもしれません。
     その場合はただ漫然とブランを紹介するのでなく、自分たちの事業の対象となる人をイメージして、事業を紹介するのがよいです。

     たとえば、出産の時に得られる臍帯血を将来にかかるかもしれない病気のために保存しておく臍帯血バンクという事業だとすると、あたかも妊婦さんに説明するようにプレゼンをします。プレゼンを聞く人は、妊婦さんばかりではありませんが、プレゼンが素晴らしければ、知り合いの妊婦さんやこれから子供を授かりそうな若い夫婦に口コミしてくれます。

     もし聴衆の年齢層が高めなのであれば、妊婦の親を想定して発表してもいいでしょう。プレゼンはほとんど変わらなくても「妊婦さんのご両親が臍帯血バンクの費用を出すという話も良く聞きます」みたいな一言を加えます。

     ビジネスプランコンテストでは、売上・収益計画などにも触れる必要がでますが、妊婦さん相手のプレゼンではそんなの不要じゃないかと屁理屈が邪魔をするかもしれません。
     であれば、クラウドファンディングを仮定しましょう。妊婦さんに臍帯血バンクを利用してくださいというプレゼンでなく、妊婦さん(あるいはその周辺の人)に、臍帯血バンククラウドファンディングに参加してくださいと仮定するのです。

     このようにプレゼンでは、誰に何を言うのか決めましょう。それが冒頭からはっきりしているほど、聞く人はプレゼンにのめり込みやすくなります。

    西郷隆盛向け「薩長同盟のご提案」

     「薩長同盟のご提案」も、今のままの内容でも「いまさら聞けない薩長同盟を坂本龍馬が神解説」みたいなタイトルにすれば、聴衆を置いてきぼりにしません。私みたいな「薩長同盟って聞いたことあるけど、それ以上よく分かんないんだよね、てへへ」な人が対象で、それを坂本龍馬本人が自分視点で解説してくれるわけですから、教科書的な平板な解説より、ずっと分かりやすく心に入ってきます。

     逆に今のままのタイトルであれば、対象はずばり西郷隆盛でしょう。そうすれば、5枚目の二人の写真は片方だけになります。すると、

    龍馬「名前は出せませんが、長州藩友人Aは『倒幕希望。しかし、キャッシュフローが悪化し資金調達が・・・』と考えております」

    隆盛「むむむ、そうであったか」

    と、その場の雰囲気が目に浮かぶようです。

     そして最後は「受け入れてくれれば、龍馬はこのまま長州に説得に参ります!」とすれば、聴衆は脳内で西郷隆盛になって「そうか、龍馬おいどんにまかせもうす!(方言適当)」と答えていることでしょう。あるいは、いますぐLINEで西郷隆盛に紹介しなきゃと思うかもしれません。
      
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