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今回は、今週の馬車目線[S馬]です。現代社会で普段あまりに頻繁に言われているので当たり前のように聞き入れているけど、落ち着いて考えると「ちょっと待って!」ということについて考えます。
今日のテーマはこちら。「TOKYO」
東京を世界一魅力的な都市に変えよう
21世紀は都市間競争の時代、日本最大の都市である東京を世界で最も魅力的なグローバル都市TOKYOに進化させよう!という、7ページに渡る熱のこもった記事なわけですが、7ページもありながら、日本の東京以外に関する視点は一切なし。
都市間競争を意識して、提言の一つは
世界から人材・資本が集まり、文化・イノベーションを世界と共創するTOKYOとあって、世界の都市・人材については全編通して意識されていますが、日本の東京以外はガン無視。
東京はすごいですけど、そのコンテンツは日本中から集まったものです。食べ物とか分かりやすいですし、アートだってアーティストは日本中で活動していて、その作品が東京に集まっているのです。
海外との人材交流ばかりが書かれていますが、東京と地方の人材交流と海外とのそれを比べれば当然地方のが多くなります。
それぞれの規模を見積もるために、新幹線の東京・品川・上野利用者数(1、2)とか、羽田・成田空港の利用者数の国内線利用者数を足したものと、羽田・成田空港国際線の利用者数を比べるとそれぞれ年間1億4000万人と3500万人と4倍近い差があります。
東京の本領はそのハブ機能です。世界から人材・資本の集まる拠点である前に、日本中からの人材・モノ・文化が集まっているから魅力的なのです。
そういう考え方がこの提言からは抜け落ちているどころか、むしろ反対の考え方です。たとえばここ、
都市は才能と企業を集め、イノベーションの多くが都市から生まれる。今この瞬間も全国で様々な活動が行われ、イノベーションが起こっているのですが、この表現は才能のある人や力をつけた企業は東京に移り、東京で力を発揮するというイメージです。さらに、続くここ、
都市は国境をまたがって自在につながり、様々な経済圏と文化圏を形成する。規模・ポテンシャルともに国内最強都市である東京が、世界の東京レベルとの都市とのつながりだけが意識されて、その都市も本当はその周辺の地域のハブなのに、そこもまったく意識されていない。世界の大都市さえあれば世界は発展するというモデルです。次の文に至っては、大阪や福岡などはむしろ敵視しているようにすら見えます。
ま、東京のこういう考え方はずーっと昔からで慣れっこなのですが、見方を変えた方が、遥かに発展すると思うのです。
つまり、東京は日本の人と文化の交流拠点であり、そこが世界とも交流することで、日本中がもっと世界と交流できるようにと、ハブ機能を前面に出した方がいいと思うのです。東京自らがコンテンツを生み出しているのを強調するより。
違う言い方をすれば、東京が最強のコンテンツ生成装置であることは間違いないのですが、東京に集まるコンテンツ・人材全体で考えると半分よりはずっと少ないはずなのです。
東京級の大都市だけが連携すればすごいイノベーションが起こるという考え方ではなくて、各大都市に集まる地域ごとのコンテンツ・人材が東京などのハブ都市を通して交流してイノベーションを起こすのです。
さらに、危機感を持つのであれば、そのイメージが持てなければいくら「東京を世界一魅力的な都市に変えよう」としても、実際には人が離れていくかもしれません。東京はまず日本人にとって魅力的でなければ、日本人が離れていきます。
東京の4割の人が地方への移住を「検討」しているとも言われています。
時事ドットコム:地方への移住、4割「検討」=東京都民に調査-政府
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