ネットで、かなり好感を持って受け入れられている、
お・も・て・な・しは日本人の自己満足か
という記事、私のところにも昨日だったか次の一節の引用と共に流れてきました。
京都は世界一の観光スポットだと言われるけど、なぜ年間200万人しか来ないのか。あれほどの文化財を有しているのに、大英博物館に来る外国人の数の半分にもならないですよね。
最初に読むことになったこの一節、私は、読んだ瞬間かなり頭に来ました。
しかし、記事をざっと読んでみるとすばらしい取り組みも書かれていて、ただのアジる記事ではありません。なんでこんなこと書いたんだろうと思いながら、まず、その頭に来た部分を調べました。
いろんな調査の寄せ集めなので、単純に比較するわけにはいきませんが、いろいろ並べてみますと、まず、京都の年間観光客数は 2013年で 5162万で、うち外国人宿泊者数は113万人です。一方大英博物館の2013年入場者数は670万人、そのうち外国人は56%くらいらしいので、外国人入場者数は375万人くらいということになります。
ちょっと使っている数字が違うようですが、「京都にくる外国人は大英博物館に来る外国人の数の半分にもならず200万人」ということ自体はあってます。
でも、この全体のデータを聞いてどう思いましたか?
かたや全体では観光客が年間5000万人を超える都市と年間670万人の博物館を、その全体数には触れずに比較していると分かったとき、なにか釈然としなくないですか?
これは典型的なアジり方だからです。
だから、私は京都の年間観光客数も大英博物館の年間入場者数も全然知らなかったけど、読んだ瞬間拒否反応が起きましたし、調べてみたらやっぱり重要なデータが隠されていました。
しかしこの記事を読むと、伝統技術を扱う老舗小西美術工藝社で今までの常識に囚われない革新的な経営改革をしている方で、成果もかなりあげられているようです。すごい破壊的イノベータなんだと思います。
だから、普通に誠実に話せばいいと思うのですが、破壊的イノベータとして誇張しなければならないという考えなのでしょうか。
こんなデータを隠して話すのですから、7ページもあっていろいろ面白そうなこと書いてあるんですけど、全部疑って読まないといけないし、自分に取り込むなら、全部調べないといけません。それが本業に関わることなら調べますけど、私にとってクリティカルな問題ではないので、読んだ端から廃棄しなくてはいかず、結局読み終わった後何が書いてあるか本当に覚えていません。さらに、大胆な改革はしているけど、目先の成果だけ追い求めているのではないかと他人事ながら心配になります。
日本は日本ができてから1300年ほど国の名前も変わらなかったような持続的な、悪くいえば変化しにくい国ですから、常識に囚われず大胆な変化を起こす、破壊的イノベータというのは貴重な存在です。
でも破壊のために煽るのは、もう時代遅れです。現在は、持続的な経済活動ができる人間社会に変化していこうとする時代です。アジって煽って変化したとしても、それが持続的な人間活動に繋がるわけがないので、そんな変化は些末です。
ではどういう破壊的イノベータならいいんだといえば、真っ先に駒崎弘樹さんが思い浮かびます。破壊することにまったく躊躇してないけど、煽るようなことをしているのを見たことがありません。たまに一部分が切り取られて炎上するメッセージがありますけど、その元を見に行けばきちんとした調査や考察があります。ですから、炎上したらむしろ、ホントはなにを言いたいんだろうと探しに行きますし、いつもきちんとしたメッセージがあります。
破壊的イノベータであっても、アジることなく誠実に話すのが、これからの破壊的イノベータの姿です。
さて、それはそれとして京都の観光客が全体5162万人中で、うち外国人宿泊者数は113万人で 2.2% と驚異的な低さです。確かに問題といえば問題です。
ということで、少し調べてみました。
私は昔から京都の観光への取り組みは怖いくらいすごいと思っていました。例えば 1991年に開通した嵐山トロッコ。