ミライ: 世界一わかりやすい経済活動の話(その9)です。(その8)まとめその1の続きです。これでシリーズ完結です。
価値観の違いを生む文化
フツクロウ: そしてそのお金をぐるぐる回すために必要なビジネスのために大きな力となるのが、文化じゃ。
ミライ: 文化。
フツクロウ: あるいは多様性といってもよい。
ミライ: 多様性があれば、価値観の違いが生まれますもんね。
フツクロウ: ホウじゃ。もし、ある街の人はみんなお椀を頭にかぶるとしよう。
ミライ: お椀??
フツクロウ: ホじゃ。そしたらその街に遊びに来た人には、喜んでそのお椀を買ってかぶって楽しむ者も出てくる。そこにビジネスができる。
ミライ: そ、そうですね。なんか唐突ですが。
フツクロウ: ホッホッ、すまん、すまん。じゃが、日本に訪れる外国人観光客で日本の着物を着てみたい人はたくさんおるし、そういうサービスは当然ある。もし全世界がユニクロの服じゃったら、こんなビジネスは生まれなくなる。
ミライ: 確かに。
フツクロウ: 今日本食が広がっとるから、おそらく日本酒ももっと世界で飲まれるようになる。ワインを見習えば、様々なビジネスができるぞ。好きなお酒の蔵元のツアーで原料の水を飲めるなら、国内外問わず、来たい人はたくさんおるじゃろう。地元の人にはただの水にも関わらず。その近くでその酒を楽しみながら地元の料理を味わえたら、さらに楽しいじゃろう。
そのためには、地元が地元の文化をしっかりと持っていなくてはいけない。いくらその蔵元が良くても、周りをイオン・マクド・セブンイレブン・スタバに囲まれとったら、興ざめじゃ。
ミライ: わ、それは、やですね。
フツクロウ: グローバル経済から生まれる均一で安価な普及品はわしらの暮らしを便利にするが、その分ビジネスの芽を摘んでしまう。グローバル化はほどほどにせんといかんのじゃ。
大型モールが地域にいくつかできて、中小商店を淘汰するとする。しかし、モール同士は似たようなものしかなくて、価格競争になり、モール同士で潰し合う。そしてその地域の景気が悪くなっていくんじゃ。
ミライ: なんかありそうな話ですね。
フツクロウ: じゃからほどほどが必要じゃ。あるいはモールの中を多様にするとかの。滋賀県のピエリ守山が滋賀県初出店の店を集めて再開したようにの。
ミライ: はいはい。最近再開しましたね。
フツクロウ: 昔はトリクルダウンだったかもしれんが、これからはウェルアップ(well up, (井戸が)湧き上がる)の時代というわけじゃ。まずローカル経済が景気の牽引となる。グローバル経済はその上で、より我々の暮らしを便利にする、とかローカル経済の効率をあげる支援をするが、ローカル経済の景気を潰すような拡大は親殺しとして疎まれるようになるんじゃ。
ミライ: グローバル経済ではなく、ローカル経済が景気の牽引役になるんですか。なんか想像を絶するんですが。