ミライ: 世界一わかりやすい経済活動の話(その7)に続いて、(その8)です。ここからまとめということですが、フツクロウさん。


フツクロウ: ホイきた。

ローカル経済に注目する

フツクロウ: 今まで経済や景気の話というと、為替や大企業の動向など、いわゆるグローバル経済に関わるものがほとんどであった。

 しかし、私たちの身の周りの経済、ローカル経済はグローバル経済と仕組みや動きが違い、同じように捉えることはできない。今まではグローバル経済の景気が良くなるとローカル経済にも波及しておったが、サービス業が増えるにつれそういったつながりが弱くなっておる。もともとローカル経済の方が規模が大きく、従って、国民自身の景気を良くするためには、ローカル経済の景気をどう良くするかという点に真正面から取り組まなくてはならなくなってきたのじゃ。


ミライ: 政府もやたら地方創世に力入れてますしね。


フツクロウ: ホウじゃ。大企業の景気が良くなっても全国に波及するとは限らんと危機感を持っておるの。ただ従来のような支援ではうまくいかん。ちょうどこんな記事が出た。


 地域の商業振興とは~これからの産業政策のあり方

(公開記事ですが閲覧には Facebook へのログインが必要なようです)


では、それに対して、行政がする支援とは何なのか。補助金や助成金を出すことではないことは明白である。カネを出すということと、商売をやっている人が自ら考えるということは全く次元が違うからである。

やるべきことは、自ら考えるいろいろなきっかけを提供することだ。特に、一商店主、一中小企業ではなかなかできない機会をつくりだすことだと思う。

例えば、多くの人と交流する機会の提供である。新しい価値は異質なものの組み合わせからしか生まれない。同業種の交流というのはいろいろな団体や組合があるが、異なる業種、異なる地域の人たちと知り合い交流する機会は決して多くない。しかも、それは一商店主、一中小企業が自ら作り出すことは困難だ。しかし、行政の立場からすれば、それを行うのは容易である。役所には、広域で、いろいろな団体や企業に一度に声をかけることができる強みがあるからである。

 今まで何度地方活性化を国が手がけてもうまくいった試しがないと言われておる。単に予算をつけてもうまくいなかいことは、(その4)でも話した。でもこんな風に異分野が交流するきっかけを作るなど、間接的な支援でできそうなことはいろいろありそうじゃ。必要なのは知恵と工夫じゃ。

自分たちのお金と仲良くなる

フツクロウ: 次に大事なことは、もっとお金と仲良くなることじゃ。前回紹介した記事『なぜ地方は補助金をもらっても衰退するのか』でも、


地方に必要なのは、一回しで終わらない、一度資金を入れたらそれをもとに、地域内経済を取り込んで回り続けるエンジン

こう書かれておる。どこか遠いグローバル経済が景気良くなっても、身近なローカル経済が良くならないとなれば、自分たちのローカル経済そのものを良くしなければならない。そのためには、物々交換的な経済活動ではなく、ここでとりあげてきたような、お金がぐるぐる回ると余剰が生まれるようなビジネスが必要じゃ。


ミライ: 出てきた例でもお金がぐるぐる回って水やリンゴがみんなに行き渡りましたね。


フツクロウ: ホウじゃ。お金は我々の経済活動を媒介しているにすぎない。しかし、我々はややもするとお金に非常に汚いイメージを持っておる。金儲けは卑しいというような。


ミライ: はい。


フツクロウ: なぜそんなイメージがあるのか。それは長年我々は無理やりモノを買わされていたからじゃ。莫大な広告で無理やり需要を喚起され買わされる。そうやって大量生産大量消費で景気を刺激する時代じゃったんじゃ。しかし、我々はお金を使う側ではなく、お金に使われる側じゃった。暮らしは便利にはなったが、その分心は疲れて行ったんじゃな。自然ではない需要を維持するために、広告以外にもいろんな不自然なお金の使われ方がしたし、わしらをそれを見て、金は汚いと考える。


ミライ: 私たちは、お金に使われていた。