この記事は【馬車目線】(?)でお送りします。

 最近 IPO したばかりの gumi という会社がいきなり業績を下方修正したのでこの IPO はほとんど詐欺ではないのかという厳しい目が向けられているようです。

 gumiという錬金術に群がった人々と、日本のスタートアップ業界の暗部【1】 - はてな匿名ダイアリー 

 ひと昔前にも新興株が流行った頃があって、抽選なんだけど全然当たらないくらいに加熱するんですけど、そのうち新興株バブルははじけて、つまり多くの個人投資家が手痛い損をして手を引きます。

 そのほとぼりが冷め、新興株バブルを経験していない新たに株を始めた人たちが増えた頃に、また新興株は人気になります。慣れた人はその流れを見逃しませんからもちろん乗っかりますし、やはり加熱を始めます。かくしてふたたび新興株バブルが始まり、またはじけ、また多くの個人投資家が損をし、去っていく。そんなことがまた繰り返されるのでしょう。紹介した記事で望まれているように、市場が成熟すればそういう極端な上がり下がりもなくなっていくのでしょう。

 しかし、今回ここで考えたいことは、新興株市場の未来ではありません。もっと私たちの生活に密着したことです。

 私たちのように普通な暮らしをしていて、暮らしをもっと豊かにするにはどうするかということです。

 もしも、お金だけに注目し、お金を増やしたいのであれば、お金でお金を増やすのが最短です。お金の勉強もたくさんしなければなりませんし、紹介している記事で告発されているようなやり口にも精通しなけばならないでしょう。それをすることは倫理的に問題があるかもしれませんが、少なくともそれで吸い取られないようにしなければなりません。

 お金でお金を増やすことに集中するのであれば、他のことはおろそかになりますから、なんでもお金で買う生活になります。私が地の利や仕事を生かしてほとんどタダで手に入れているようなものもお金で手に入れようと思ったら、それなりにかかってしまいます。それがあらゆるものにかかっていきますから、つまりお金をお金で増やす人は、他の人と同じ QOL (生活水準)を得るのに莫大な費用がかかります。お金をお金で増やす人は余分にお金を稼がなければならないのです。

 お金の本来の役割は、人間の経済活動の潤滑油です。誰かが欲しいと思ったモノやサービスにそのだれかがそれを作った人から手に入れるときに、その場で埋め合わせをするのにお金はとても便利です。そうやって発達していったのです。

 そんな風にお金が使われていれば、お金がたくさん動くことは、それすなわち人々の経済活動が盛んであり、つまり景気が良くなります。

 本当はそんな風であったのに、ただお金が動いていればいいという話では、なくなっています。どんな問題がおきているのでしょうか。

1)完全自由競争
 世界一わかりやすい経済活動の話じっくりやりましたが、完全に自由な競争で価格競争した経済活動は、人間の経済活動からは関係がなくなります。たとえばある工場がほとんど自動化され、原料や電力が入って行って、製品が出てくるとします。そこに最低限の利益は上乗せされていますが、競争でそれも最低限度に抑えられています。そこに人間社会に関係のある経済活動はありません。ただの機械的な変換作業です。ここで働いている人もわずかにいますが、その給料も最低限に抑えられ、そういった人間の経済活動から切り離された商品の購入に回ってしまいます。

2)お金でお金を生む
 上でも述べましたが、お金を産もうと思ったらお金から産むのがもっとも効率的です。でもそれが、人間同士の豊かな経済活動に貢献しているかといえば、かなり問題があります。

 アメリカの株売買は何msで成立するが日本はそれより遅くてどうのこうのという話を見かけます。しかし、そんな株取引の速度が、その株の会社にとってなんの利益があるのでしょう。株とは本来、その会社の事業に賛同し、支えたい人が支えるための仕組みです。それを何msで売買できることで、元の会社をこれっぽっちも応援することになりません。ただただ、株を短期間で売買して儲けようとしてる人たちの要望に応えるだけです。

 お金を本気で儲けたければ、そういったお金でお金を増やす手法に精通することです。でも、それは株の元の会社を支援することには程遠いのです。
 それはすなわち、自分自身が生身の人間として生きていくための環境が豊かになることにはあまり貢献しません。

 すなわち、私たちの暮らしを豊かにするお金の増やし方とは、そういったお金でお金を増やすところからは距離を置き、人間同士の豊かな経済活動に関わるところにお金を入れていくことです。

 訳も分からずIPO株にお金をつっこむくらいなら、「これがほしかった」というクラウドファンディングにつっこめばいいのです。二つを比較してみましょう。