最近、小5の長男がわからない問題があった時、自分でどうやったら勉強できるかという疑問を発端に、教材についてあれこれ見ながら考えています。

 もちろん親や先生に聞けばいいのですが、いつもいるわけではありませんから、自分が知りたい時に調べられる手段もあったほうがいいに決まっています。

 将来的には動画教材も増えていくと思いますが、どんなに動画が発展しようと、いわゆる文と図の教材が消え去ることもないでしょう。

 そう思って、いろんな教材を見るに、大きく二つの不満があります。

「まとめ」と問題しかない

 参考書を見ると、大まかに次のような構成になっています。まず、その単元の「まとめ」があり、そして例題などが続きます。

 じゃあ、「まとめ」ではない「本文」はどこにあるのでしょうか。

 その前にこの「まとめ」は初学者には使い物になりません。手元にとある教材があるのですが、ヒトの心臓・血管・血液の単元は、こんな風に始まります。
1 ヒトの心臓と血管 心臓は筋肉でてきていて、つの心房とつの心室のつの部屋からできています。血液が血管から送り込まれる部屋が心房、血液が血管へ送り出される部屋が心室です。
そして、まとめの右には心臓の仕組みを表した図があります。ちょうどこんな感じのです。この図はwikipedia のを借りています。
 250px-Diagram_of_the_human_heart_%28crop

 普通じゃんと思うかもしれませんが、これでは初学者には辛いです。

 たとえば、今日見つけた『からだの不思議図鑑竹内 修二』という図鑑では、次のように始まっています。
 私たちのからだには、全身くまなく血液が流れています。全身に血液を流す、ポンプのようなはたらきをしているのが心臓です。
 まさにこれが問題だと思いました。

 なぜなら、うちの長男がまさにはまっていた箇所だったからです。ことの発端は、さきほどの単元の例題を解こうとしたがわからないので教えてくれと来たことでした。「血液を心臓から送り出す部屋」は何かなどを答える問題で、そんなのまとめ見ればわかるやろと思ったのですが、そもそも、「心臓は全身をくまなく流れる血液を送り出すポンプのようなもの」というのが漠然としていたのです。

 なるほど、これはたとえまとめ見て対応を見つけて正しい答えを書けたとしても、わかったとは言えない状況でした。

 まあ、まとめを見ていけば、血液が循環していることも出てくるのですが、ばらばらです。初学者が読んで理解するためのストーリーにはなっていません。

 逆に、うちの長男は、いまとなっては理解した上で上の図鑑を読みましたが、「あ、これも出てる、これも出てる」と習ったことの確認になった上で、あらためて「まとめ」がよくまとまっていることに感心していました。「まとめ」としてはきちんとしているわけです。

 これが第一の問題です。参考書はコストの都合上紙面が限られているため、「まとめ」から書かれていて「本文」が書かれていません。

 それは学校の教科書なんじゃないのと思われるかもしれません。ところが、そうでもありません。教科書の厚さを想像すればわかると思いますが、参考書より薄いです。仮に問題の量が少なくても「本文」に必要な紙面の量はありません。

 心臓の例では確認できていませんが、たとえば小2の算数の教科書を見てみると、絵がふんだんに使ってあって、文字は少なく、先生がその絵を使って授業をするのに適しているように作られています。自習で理解できるようには作り込んでありません。これも紙面が限られているため、両方を中途半端にカバーすることは避けているのでしょう。

 実は「本当の教科書」は存在していないのです。

 模範解答が貧弱

 これは、私が受験勉強していた頃から言われていたことなのですが、参考書などの模範解答は、紙面が限られているため模範解答がぎりぎりまで切り詰めてあり、良い解答ではないという問題です。改行も抑制されていたり。ですから塾などで「正しい」模範解答を学ぶ必要がありました。

 それは今も変わらないようです。だって、相変わらず紙面は限られていますから。一方で最近、中学生のある解答を見ることができました。だいたいこんな感じでした。
-3x = 6
-3x ÷ 3 = 6 ÷ 3 
-1x = 2 
x = -2

 ÷を使っていたり、-1x と "1" を省略できなかったり、私なら1行で済むところを3行かけて解いています。

 でも正解!です。

 こんな風に人によって、問題を解くのに必要なステップ数は違うでしょう。そういう人にとっては、私がいう「模範解答」よりさらに詳しく書かれた解答のほうがわかりやすいに違いありません。「入試で書くべき理想の解答」も必要ですが、「もっと細かく噛み砕いた解答」を読みたい人も大勢いるはずです。しかし、現状は「入試で書くべき理想の解答」よりさらに端折られているわけです。

電子書籍専用の参考書を作らなければならない理由

 ですから、電子書籍専用の参考書を作らなければなりません。