閉じる
閉じる
×
フランスの連続テロを受け、先日国際的ハッカー集団アノニマスがイスラム国に宣戦布告しましたが、
国際的ハッカー集団アノニマスがイスラム国に宣戦布告! - NAVER まとめ
早速、成果を上げているようです。
国際的ハッカー集団アノニマス、ISISへの攻撃を開始 - リクルーターの個人情報を公表
各国がISISへの対応に苦しむ中、胸のすく思いをした人も多いことでしょう。国際的ハッカー集団アノニマスが、イスラム過激派ISISへ宣戦布告してからわずか1日。早速このテロ集団の機密情報に穴が空けられたようだ。アノニマスは、若者をスカウトしてISISの構成員として引き込むリクルーターの男5人の名前と住所および電話番号を割り出して公表。住所はアフガニスタン、チュニジア、ソマリアのものだった。
しかしこれは歴(れっき)とした私刑であり、問題もあります。
例えば私が ISIS であれば、「若者をスカウトしてISISの構成員として引き込むリクルーター」としての情報を捏造し、アノニマスがなんの関わりもない一般市民をリクルーターとして公表するように仕向けます。もしそれにひっかかれば、アノニマスのせいでその一般市民やその家族の人生は台無しになることでしょう。いわば「誤爆」です。
今の所アノニマスは庶民の味方としての立ち位置を確保していますが、ISIS と戦うとなれば、そういう犠牲も生まれ、アノニマスを心から憎悪する市民が生まれる事でしょう。ISIS と戦う国々が爆撃で一般市民を殺害し、心から憎悪されるように。やがて反アノニマスサイバー集団が生まれ、互いに攻撃し合うようになるかもしれません。
テロとはそうやって、人々の間の憎悪を増幅することで、生き延びる確率をあげていくのです。
そのような憎悪の連鎖を防ぐため、世界には国という仕組みが広まりました。日本で言えば、市民は武器を持たず警察と自衛隊だけが持つことにし、市民の私刑は禁止して裁判所だけが人を裁くようにしました。
似たような仕組みを各国が整え、さらに国と国が戦争さえしなければ、平和になれるという枠組みを作ったのです。
それは一方で国々の施政者たちにとって自分たちに都合のいい社会を作るという誘惑を生みます。そしてそれに反発する人々が生み出したのが、新たな対抗策、テロ組織です。国対国の戦いでは強い国が勝ってしまいますから、国々に散らばった分散型の組織を作り、伝統的な戦争ではなくテロ活動で戦うという戦略を編み出したのです。ICT技術など数々の技術の発展がそれを可能にしたのは間違いありません。
そして、この勢力に対して、各国はうまく対応できていません。国対国なら国を攻めればいいですが、テロ組織は広く分散していますから、どこを叩けば潰れるというものでもありませんし、関係ない人まで殺してしまいます。
それを背景に、今回のアノニマスのような攻撃が生まれました。一定の効果を持つように見えます。ではこれをこのような私刑のような形ではなく、各国が協力してできないものでしょうか。
まず、そもそもサイバー攻撃が公式化していません。武器は人を傷つけるとわかっていながら、認められた組織は持って良いことに昔からなっています。サイバー攻撃もそれと同等の攻撃力を持っていますし、もはや実在していることは誰もが知っています。ですから、武器と同じと考えれば、この攻撃力は、一般市民は使ってはならず、国の認められた機関が限定された条件の中で使って良いという枠組みを作らなければなりません。しかし、今は、表向きは国であっても使ってはならないということになっています。
さらに、仮にその仕組みが各国でできたとしても、では、今回のようなこの状況で、各国のサイバー攻撃部隊が連携してISISにサイバー攻撃をしかけるには、国連決議のようなものが必要になるでしょう。
しかも、そのような攻撃をする場合、当然今回のようなフランスの連続テロのように、報復攻撃の対象になってしまいます。いどころのよくわからないテロ組織を場所がはっきりした国が相手にするのはなにかと不利なのです。ネットワーク型組織の ISIS に対抗するには、アノニマスのようにやはりネットワーク組織が有利なのです。
ネットワーク型組織が生まれた以上、それに対抗するにはネットワーク型組織が必要なのです。国という仕組みだけでは、ISISに対抗することは困難なのです。
今後 ISIS とアノニマスが全面対決となれば、
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。