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今日は休日ですが、水曜なので、気楽に書き始める記事[S]です。
この記事読んでてふと思ったのですが、
時事ドットコム:TPP経済効果、十数兆円=農業生産減少は千数百億円-政府試算
日米など12カ国が大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)について政府が、発効後に日本経済に10兆円超の経済効果をもたらすとの試算をまとめたことが22日、分かった。農産物・鉱工業品の関税撤廃・削減に加え、貿易・投資ルールの緩和を追い風に輸出が大幅に増え、国内総生産(GDP)を2~3%(十数兆円規模)押し上げると見込んだ。TPPによるGDP押し上げって一回押し上げたら終わりなんでしょうか。
その記事の意味は、TPPによる貿易・投資ルールの緩和で今のところ70兆円強の輸出額が十数兆円増えて90兆円くらいになるってことですよね。一方で国内の農産物などは、一部輸入に取って代わられ、千数百億円ほどGDPを減らすと。相殺するとプラスに働いて、これはいわゆる、リカードの比較優位法則ってやつで、分業したほうが生産性が上がるよ!ってやつの効果なんでしょう。
が、TPPってこれだけ大騒ぎして、しかも国内の一部を犠牲にして、そういうたった一度、輸出額の底上げをする効果しかないのでしょうか。
そうではなくて、TPPによってより自由貿易に近づくことで、これから先毎年、成長率を0.1%下支えするみたいなことにはならないのでしょうか。
リカードの比較優位法則はどっかで歯止めが必要で、やり過ぎると、たとえば台湾で地震が起きたら、DRAMという半導体をそこでしか作ってなくて、全世界のコンピュータが新しくできなくなるなんてことが起こってしまいます(滞ったことはたまにあります)。そういった局在しすぎる状況はリスクが高くなりすぎます。
リカードの比較優位法則に従えば、たとえば日本の農業では、海外で高く売れるリンゴなどの果物などにシフトして、コメは全部海外から安く輸入する方が、全体の生産性は上がります。でも、それでは世界情勢が不安定になったり、あるいはコメの調達先が偏っていて、そこが不作になった途端食料が不足したりなんてことになります。
ですから、リカードの比較優位法則を否定する必要はありませんが、一方で局在させるデメリットを定式化してその両者のバランスで最適な分配を探る時代です。知るかぎりそういう理論が見当たらないのがなぜなのか不思議です。
ということで、TPPにしろ、まあもうその辺にバランスポイントがあるだろうというのが体感的なところで、でもその見返りが一発GDPの2-3%押し上げでは、なんか割にあわないというか、もっと持続的に効果のあるようなことに骨を折ることの方が大切な時代に入っていると思います。
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