日本時間の8月30日(木)21:16から31日(金)5:33まで
星出宇宙飛行士がサニータウィリアムズ宇宙飛行士と共に船外活動(EVA)を行いました。
日本人宇宙飛行士としては、7年ぶり3人目の船外活動となりました。

今回の船外活動の実施内容と進行状況は
・電力切り替え装置(Main Bus Swiching Unit: MBSU)の交換  (途中まで)
・ロボットアームのカメラ・照明装置交換          (未着手)
・ロシア多目的研究モジュールの電源ケーブル敷設      (2本中1本)
・与圧結合アタプタのカバーがけなど            (未着手)
となりました。

■今回、殆どの時間を費やした電力切り替え装置(Main Bus Swiching Unit: MBSU)の交換について

MBSUとはISSの電源切り替えを行っている装置となり、電力管理をする上で重要な機器となっています。
合計4つ設置されていますが、そのうち1つの通信が不安定なため予備品と交換されます。
MBSU
電力切り替え装置 MBSU  (画像提供:JAXA)

交換は、不調のMBSUをピストル型パワー・ツール(PGT)
(宇宙用の電動トルクレンチ・ドライバのようなもの)で取り外すのですが、
その際、所定のトルクではボルトが回らず、取り外すこと出来なかったため
トルク設定をあげて、ようやく取り外すことができました。
PGT
PGTとMBSU(画像:NASATVより)

PGTMBSU
MBSU取り外し中の模様(画像:NASATVより)

予備品移動中の星出さん
予備品のMBSU運搬中の星出宇宙飛行士 (画像:NASATVより)


次は、予備品のMBSUを保管場所から持ってきて、取り付けようとしたのですが
またしても、ボルトが途中までしか回らず、固定できない状態となりました。
何度も回転トルクを調整し、ボルトが締まるかの試行を行いましたが
許容されている最大のトルクでも締めることができなかったため
MBSUは途中まで締めたボルトと共に、紐状のテザーで仮止めされた状態にし、船外活動を終了しています。
テザー固定
画像提供:JAXA

交換した予備品のMBSUは完全にはISSと接続されていないため、未稼働の状態となります。
4台あるMBSUのうち、現在3台稼働していますが、今のところISSの給電は安定しています。
しかし、冗長度としては好ましくない状態ですので、NASAは早期取り付けを実施できるかどうかの検討を進めています。
固定方法の方針が固まり次第、追加の船外活動が行われる見通しであり、優先度も高いようです。

今回の船外活動は、当初予定されていた6時間30分を約2時間延長し、8時間17分となりました。
これは1回の船外活動の時間としては歴代3位の長さとなります。
サニータ宇宙飛行士は船外活動5回目のベテランですが、船外活動ルーキーとなる星出宇宙飛行士に、コントールセンターからは特に労いの言葉がかけられていました。

9月にはこうのとり3号機のISS離脱、小型衛星放出機構を利用しての衛星放出などの
ミッションがありますが、船外活動が追加されることにより、実施時期変更もあるかもしれません。

今回の、船外活動の模様はNASATVのアーカイブで視聴が可能です。
一部でも見ると作業の状況と大変さが感じられるでしょう。
http://www.ustream.tv/recorded/25059667
http://www.ustream.tv/recorded/25061371
http://www.ustream.tv/recorded/25063498
http://www.ustream.tv/recorded/25065436
http://www.ustream.tv/recorded/25067478
http://www.ustream.tv/recorded/25069578 実施後会見

(NVS関東 きみ@Lica )