岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/20
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/09/24配信「映画『ドリーム』が100倍楽しめる宇宙講座」の内容をご紹介します。
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2017/09/24の内容一覧
- 『異世界はスマートフォンともに。』11話どうした?
- マーキュリー計画を支えた3人の黒人女性を描いた映画『ドリーム』
- マーキュリー計画の舞台となったラングレー研究所
- 最先端のプログラミング言語を誰よりも早くマスターしたドロシー・ヴォーン
- 空力計算のエキスパート、メアリー・ジャクソン
- カプセルがどこに着地するのかを計算した、キャサリン・ジョンソン
- 捨てられないTシャツ「ジョンソンスペースセンター・ヒューストン・テキサス」
- 宇宙飛行士は主役にあらず?『NASAを築いた人と技術』
- マーキュリー計画のために集められたテストパイロット「マーキュリー7」
- 人間では操縦できない月着離船
- 自動操縦プログラムを書いた、マーガレット・ハミルトン
- ヒーローのいないところにお金は集まらない
- 『アポロ管制センターの英雄たち』"Mission Control: The Unsung Heroes of Apollo"
- だれかが「くだらない決断」をくださなければならない
- 誰が宇宙船を飛ばしているのか?
- アポロ13号記念写真
- アルバカーキ行ってきます
- 次回・初音ミクを初代大統領に
誰が宇宙船を飛ばしているのか?
「じゃあ、結局、宇宙飛行士は必要なのか?」、「NASAの技術者だけではいけないのか?」というのが、僕の長年の疑問なんですけども。
アポロ11号の月面着陸の時に、こんな事件がありました。
(中略)
オルドリン飛行士が、アラーム1202をキャンセルするためのボタンをパーンと押したら、すぐに大人しくなりました。しばらくしたら、またアラーム1202がバーッと付くんだけども、「これは無視しろ」と言われたので、またパーンパーンと押してですね。結局、もう一度、宇宙に行って、司令船とドッキングする時まで、レーダーがオンになりっぱなしだったんですね。
さて、「これで安全着陸できる」と思ったら、今度はアームストロング船長がえらいことに気が付きます。
「もう大丈夫。マーガレット・ハミルトンが作り上げて、NASAの中の人たちが完璧に準備した自動着陸装置を使って着陸できる」と思っていたら、今度は月面の地図が間違っていたんです。
間違っていたのはなぜかというと、これはもう、しょうがないんですよ。当時の望遠鏡の限界だったんです。真っ平だと思っていた月面に、ものすごい岩山が、ガックンガックンあるのが近くに行ってみて初めてわかったんです。「こんなところに降りたら、宇宙船はひっくり返って、絶対に死んじゃうよ!」ということで。
もう、どうしようもないんですよ。現実が、あらゆる科学者が想定していたことの上を行っちゃったんですね。望遠鏡で見えないくらいの平らなところだと思っていたら、そこが実際に寄ってみたら岩山で。
実は、この時点で、アームストロング船長は、一度、ヒューストンに相談しなきゃいけないんですけど、彼はそれをしませんでした。
なぜなら、絶対にそんな時間はないからなんですよ。なんせ、月にいる宇宙船と地球のミッションコントロールとの距離は遠すぎて、相談のための通信を入れたとしても、向こうに届くのに1秒、往復では2秒以上掛かっちゃうんですね。そんなことをやってたら、宇宙船が衝突してしまいます。
なので、「手動操縦に切り替えます!」という宣言だけして、アームストロング船長は、無許可のまま、手動コントロールでロケットエンジンをバーッと噴かし始めます。……まあ、2秒後に帰ってきた返事で、許可が出たからいいんですけど、
一応、アポロの月着陸船には、非常用に60秒間ロケットを噴かせるだけの燃料が搭載されていたんですよ。この60秒の燃料をバーッと噴かして、高度を維持します。でも、さっきも言った通り、宇宙船の下はゴツゴツの岩山なんですよ。
クレバー・ディシジョン(賢く正しい決断)から言ったら、この瞬間、もう「アボート!」って言って、非常脱出ボタンを押すべきなんですね。
非常脱出ボタンを押せば、月着陸船の下半分を切り離して、上昇用のエンジンを噴かして離脱できる。そうすれば、司令船にも戻れるし、地球にも帰れる。もちろん、ミッションは失敗ですし、その瞬間に何もなくなるんでしょうけど。地球に帰って命があるだけで、儲けもんなんですよね。これが、クレバー・ディシジョンなんですけども。
アームストロング船長は、ここですごく人間らしい決断をするんですね。「俺の勘は「行ける」と叫んでる」って言って。
本当に、正確な月の地図なんてないんですよ? 宇宙船の下は岩山なんですよ?(笑) これを使っちゃったら、もう、あとは非常脱出も出来ないのに。
だけど、「60秒分の燃料があるんだったら、着陸できる場所を探せる!」と言って、いきなり操縦桿を掴んで、これまで誰もシミュレーションで成功したことのない手動での月面着陸をガーッと始めたんですね。
横で見ていたオルドリンは、真っ青になって「えー!」って思ってたんですけど、とりあえず、レーダーを見たり、文庫本の半分くらいのサイズしかない窓から、肉眼で月面を見て。
だけど、燃料を半分使って30秒飛んでも、まだ岩山が続いてるんですよ。
オルドリンが「まだ岩山だよ!」と思っていたら、隣のアームストロング船長は汗もかかずに冷静なんですね。とりあえず、一度、腹に決めたから、「ここで焦ったらかえって判断を誤る。そのままシューッと飛んでいれば見つかる!」って言って。
そうやって40秒飛んでいたら、本当に向こうの方に、着陸できそうな開けた空間があったんですよ。そして、アームストロング船長は、そこにシューッと飛んで行って、誰も成功したことのない手動での月面着陸になんとか成功。
月着陸の宇宙船って、接地した瞬間にエンジンをカットしちゃうんですね。そして、このエンジンは、一度カットしたら、もう二度と点火できない。だから、もう、本当に失敗できない着陸を一発でドーンと決めて。
結局、残った予備の燃料は14秒間分だけだったという、本当にギリギリの着陸をやったんですよ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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