比べればGoogle Home、と。
GoogleによるAmazon Echo(以下Echo)対抗馬、Google Home(以下Home)が発売されました。できることの多さとかスペックという意味ではEchoのほうが上なのでは?という見方もありましたが、両方を自宅で使ってみた米GizmodoのAlex Cranz氏はまったく違う感想を持っているようです。以下Cranz氏、どうぞ。
今は夜、僕はHomeにたった今電源を入れたところです。冷蔵庫にはかぼちゃとパイ皮の材料がいっぱいに詰まっていて、感謝祭はあと3週間です。「OK Google、パンプキンパイの作り方は?」と聞くと、Homeは喜々として反応し、AllRecipes.comから持ってきたレシピを読み上げてくれます。ただHomeがレシピを読み終える30秒の間に、僕が卵をかきまぜてかぼちゃをつぶせれば、今頃パイができてたんですけどね…。僕は仕方なくうなづいて、Homeが僕の質問にすぐ答えられたことに感動し、一方でちょっと不満でした。すごく賢いんだけど、完ぺきに近すぎて、ちょっとした欠点がきわめて残念なんです。
続けて僕は言ってみます。「パンプキンパイを作るのに必要なもの全部、ショッピングリストに入れて」。Homeは僕の指示通り、「パンプキンパイを作るのに必要なもの全部」というエントリーをショッピングリストに入れてくれます。SF映画のロボットアシスタントが、言葉の額面通りのことしかしないのと同じです。それは質問の仕方を知っている者にとっては素晴らしい働きをしてくれますが、こっちが間違えればそれを何倍にもして返してきます。スカイネットが人類を滅ぼす日は、まだ遠いようです。
この130ドル(約1万3000円)のデジタルホームアシスタントはEchoのライバルであり、時間や天気、職場への通勤所要時間なんかを教えてくれます。でも場合によっては、ものすごいミスをしでかしてくれます。上の例のように、ショッピングリストにパイの材料を入れられないし、TV番組の放映時間を聞いてもわからないみたいです。今まで見た中で最良の「未来」ですが、望んでいた未来にはまだ達していません。
それに、Homeの素晴らしいところは、気持ち悪いところでもあります。Homeの賢さは、Googleが集めた大量のデータを使って開発された人工知能に裏付けられています。検索やらGmailやらで我々のデータをくまなく集めているGoogleの手先がリビングに置かれたもの、それがHomeです。
ただ、HomeはEchoより50ドル(約5,200円)安いにもかかわらず、ずっと進化しています。Echoより小さくて邪魔にならず、スピーカーグリルはカスタマイズできます(ひとつ20ドル≒2,000円ほどで、6つの選択肢があります)。EchoはASUSのごついルーターの隣がお似合いですが、Homeはキッチンカウンターとかベッドサイドに置きたくなるデザインです。
操作も気持ち良いです。Echoの音量を手動で調整するときは本体上部のダイアルを回すんですが、Homeの場合は上面がタッチ式になっていて、そこで操作します。ボリューム調整するときは4つのライトが白く光り、クエリに反応するときは赤・青・黄色・緑に光ります。
音楽を聞くときも、Echoに詰め込まれたふたつのスピーカーの音より、Homeの4つのスピーカーから出てくる音のほうがリッチに聞こえます。特に低音やボーカルの響きはEchoに比べてクリアです。ただボリュームを上げると、両者の違いはなくなります。音量マックスで音楽を聞くと、歌の音程以外はめちゃめちゃになります。ちなみに音が大きすぎると「OK Google」が聞き取られなくなって、操作するにはHomeにタッチするか、AndroidかiOSのHomeアプリを使うかしなければなりません。
アプリでできることは多くありませんが、Chromecast互換デバイスをリンクしたり(僕のNVIDIA Shieldは互換でしたが、Vizio P-Seriesはそうじゃありませんでした)、それらの設定を変えたり、ニュースソースを選んだり、今使えるスマートホームサービスにリンクしたりができます。
SamsungのSmartThings HubかNestかPhilips Hueを持っていれば、Homeとの連携は簡単です。どれもEchoとも連携できますが、たとえばHueは、Homeのほうが簡単につなげられました。ただHomeから操作できるのがこの3つだけなのに対し、EchoだったらピザをオーダーしたりUberを呼んだりもできて、あらゆるものとつながれるようにみえます。ただEchoの場合、実際はうまくいかないことが多いんです。
Homeにできることを頼めば、失敗することはありません。部屋の電気のオン/オフを指示するときに、声のトーンを変えたり、ロボットみたいに滑舌を良くしたりする必要はありません。言い間違えたり、早口だったりしても、聞き返してはきません。Homeはデジタルアシスタントの中でもきわめてクールな声を持った非人間的ロボットですが、それでもちゃんと理解してくれます。
だからこそ、逆にものすごくイライラすることもあります。Echoのいかにもプログラムされた反応より自然に感じられるので、失敗すると必要以上にがっかりしてしまいます。たとえば「フィルム・ノワールって何?」と聞いて、「TVで例を流してみて」と言うとうまくできます。でも、そこから「何かおすすめして」と言うと固まってしまい、4色のライトがいつまでも回り続けることになるんです。
Homeのスピードと言葉の理解力、飲みすぎてろれつが回らなくなってもわかってくれる柔軟性に感心すればするほど、そのバカさ加減にも驚かされます。Homeは毎日の生活にどんどん自然に入り込んでくるのですが、Echoもそうであるように、その分欠点にはうんざりしてしまうのです。でも希望もあります。
何かできないとき、Homeは「Sorry、それを助ける方法がまだわかりません」とHomeは言います。「まだ」というのがポイントです。Echoと同じように、Homeはこれからコンスタントにアップデートされていく予定です。これからもっと賢く、有能になっていくはずです。
いつかHomeは家の中でもっともスマートでユーザーフレンドリーなコンピューターとなるでしょう。そのときまでは、Homeは単にEchoよりちょっとマシな程度です。それでも、今すぐスタートレックみたいな人工知能アシスタントを手に入れたいとしたら、Homeが一番適しています。
最後に
・Homeは文脈理解はしますが、シンプルな質問に対してだけです。期待しすぎないほうがいいです。・音質はEchoよりだいぶ良いですが、音量を上げると違いはなくなります。
・ろれつが回らないとき、どもったときでも、Echoより言葉を理解してくれます。
・でも何もかもできるわけじゃなく、失敗するとすごくイラっときます。
・今ある音声アシスタントの中では、最強です。 Alex Cranz – Gizmodo US[原文]
image by Alex Cranz/Gizmodo
text by 福田ミホ