福岡県は北部、鉄の街とも言われる北九州市。

今回お伺いするルーさんのお住まいは、そんな北九州市の繁華街からは少しだけ離れた静かな住宅街にありました。

お名前(職業):ルーさん(専業主婦)、ご主人(鉄関係)、お子さんふたり
場所:福岡市北九州市
広さ:2LDK+WIC 190.63㎡
物件購入価格:1,700万
リノベーション費用:1,800万
築年数:38年
住宅の形態:戸建(建売住宅)

 

ルーさんが幼少の頃から夢見ていたのは、インダストリアルなロフトスタイルのお家。そうして長年ガレージや廃工場のような物件を探していたものの、なかなか見つからずにいました。

ようやく見つけた鉄骨・鉄筋コンクリートの住まいも、理想の住まいへリノベーションするには予算と大きく乖離してしまったそう。

それでも住まいへの熱い思いは決して曲げず。さまざまなハードルを乗り越えるため、叩き上げ、磨かれたボーダーフリーなお部屋について、話を伺ってきました。

お気に入りの場所

絶対に作りたかったコンクリートベッド

当初希望した住まいを実現するには、リノベーション費用が予算の倍近く上回ることが判明。

それでも諦めきれず、必ず作りたいと考えていたのが、お住まいの中でも象徴的な場所のひとつである、コンクリートベッドだったそう。

「『コンクリートのベッドがあったらかっこいいな』と思いつき、作りたいと思っていたのがこのスペースでした。ブラインドの開き方で部屋の印象も大きく変わります」

まるでホテルのような寝室にいると、ここが住宅であることを忘れてしまいそうです。

ブラインドを閉じれば、プロジェクターを使ってアニメや映画も視聴が可能な暗さに。

使用されているプロジェクターはSONYの「Xperia Touch」。投影だけでなく映像上でタッチ操作もできる、便利なプロジェクターです。

ご主人制作の棚で完成したコンクリートキッチン

SNSの投稿でもお馴染みの、絵になるスペースがキッチンです。

「コンクリートキッチンは寝室同様に作りたかったスペースのひとつでした。

ただ予算の関係もあり、外枠だけお願いして、中の棚は主人に作ってもらいました」

両サイドで作業ができるのも便利なポイント。ダイニングテーブルとの距離も近く、自宅でのホームパーティーでも使い勝手がよさそうです。

フロアの半分以上を占める土間スペース

フロアの半分以上が土間スペースのお住まいですが、これはルーさんの希望だったそう。

「本当は全面土間の空間が希望でしたが、主人がリラックスするためのスペースも欲しいということで一部小上がりにしています」

玄関入ってすぐの広い収納スペースには、ご家族のお出かけアイテムがオープンで収納。

「家族全員ファッション好きということもあり、靴と帽子用の広い収納を設置しています。

お出かけ前に姿身で確認して靴と帽子が合わなかったとき、自室まで戻るのが面倒で。玄関横に収納スペースをつくることで、すべて解決できるようにしてもらいました」

靴は構造用合板の棚に、帽子は有孔ボードを使って引っ掛けて収納できるようになっています。

ブランコ付きの小上がりスペース

唯一の小上がりスペースは、ブランコ付きの憩いのスペース。

ブランコは100キロまで耐えられるため、お子さんはもちろん、大人でも乗れるそう。

もともと広くゆったりしたスペースですが、仕切りがない分、より開放的に感じられます。

自宅に友人を招かれることも多いというルーさん。これだけの広さがあれば、かなりの人数を招くことができますね。

壁面にはお子さんが描いた絵や、ご夫婦の琴線に触れて購入したアートが飾られていました。

「子どもの描いた絵は、作った作品を褒めてあげる意味もあり、ディスプレイしています。

それ以外にアートも特別高いものを揃えるのではなく、いいなと思ったものでも1万円前後の作品や、レンタルアートのサービスを使っていますね」

この部屋に決めた理由

屋根裏をのぞいて確認した、理想の鉄筋鉄骨造

住まいの決め手は、昔から夢見ていたロフトスタイルだったことがベースにあったそう。

「海外の事例を子どもの頃から複数見ていて、同じような雰囲気の住まいに憧れがありました。新築ではなくリノベで、ガレージや廃工場など。

長年探していた鉄筋鉄骨造の物件がようやく見つかったのが、主人の仕事先にも近いこの住まいだったんです」

「物件と出会った頃はまだ前の方も住まわれていたのですが、内見の際に主人が天井裏を確認。

それですぐに今の家のイメージがついたらしく、購入を決意しました」

残念なところ

構造上しかたがない寒さ

鉄筋コンクリートの住まいに加え、天井の断熱材もご主人が手作業で取り除かれたそう。

空間を重視するためとはいえ、やはり寒さの問題は切っても切れないものに。

「室内の暖房をつければ問題ないのですが、極端に寒い月だと電気代だけで4万円近くなってしまいます。

ただ住まいとしては仕切りが少なく、寝室や子ども部屋も扉だけ開けておけば暖かい空気が巡るので、そんなに気にならないかもしれません」

使ってみるまでは想像が難しかった電気配線

電気屋さんからは当初、LDK電球のスイッチを3つで提案され、工事を行なったそう。

部屋はダクトレールが6個ついてるので、スイッチ1つでダクトレール2つ分の電気が点灯します。

「ダイニングとキッチンなど、まとまっている部分はそれぞれに切り替えができないんです。

ダクトレール6個なんだから、せめて1本につき1つスイッチをつけるべきだったなと後悔していますが、プラグの部分だけつけ替えてスマート家電化する中で改善を図ろうと思います」

お気に入りのアイテム

2年近く探したガラスポット

ルーさんがお気に入りのアイテムとしてまず紹介してくださったのが、日の出科学製作所のガラスポットでした。

「2年近くずっと探していたアイテムだったのですが、どこに行っても見つからず。たまたま見ていたiremonoさんのオンラインショップで、『ガラスポット』とだけ書かれて売られているのを見てすぐに問い合わせ、購入しました」

耐熱性のガラスであるため、沸騰を始めた中の様子が見えるのが美しいですね。

見た目も使い勝手もいいハンガーラック

玄関や寝室などでちょっとした上着をかけるのに便利なのが、DUENDEのハンガーラックだそう。

「見た目のカッコよさはもちろん。近くで見た質感もすごくいいのと、組み立てが簡単なのにしっかりした造りなのが気に入っています」

機能性も高いウォールアートパネル

ベッドとともに寝室をより印象付けるアートは、オンデマンドエコカラットで購入。

「絵柄を選ぶと届くアート作品は、見た目だけでなく、調湿・消臭効果もあり機能面も抜群なんです」

本をインテリアに変える「bookonthewall」

テレビ台横で使われているチクニの「bookonthewall」は、県内の展示に足を運んだ際に購入したインテリアだそう。

見た目はもちろん、本や紙ものがインテリアになるサマが素敵ですね。

暮らしのアイデア

コミュニケーションとライブ感を大切にする

「施工にあたって多くの設計士や施工会社に相談する中で、どこに頼めばいいのか分からなくなってきてしまったんです。

ですがこの問題については、設計士と施工会社を繋ぐプロデュース会社に紹介してもらい、解決。毎週のように施工途中の住まいに集まり、ライブのようにその場で、着手する内容を決めていきました」

こうしたコミュニケーションに加えて、予算との乖離はご主人が奮闘されたそう。

「主人の仕事が鉄関係ということもあり、断熱材を取り除くなどの室内の解体から、ペンキ塗り、屋上の柵の制作まで自ら手を動かしてくれました。そうすることで予算の問題もクリアできたんです」

住まいが完成した後も室内のアートやインテリアを随時見直し、整えられていく様子は、施工から続くライブ感を感じさせますね。

ジャンルはこだわらず、好きなものを集める

お部屋に散りばめられたアイテムは、どれも思い入れのあるものばかりだというルーさん。

統一感の出るモノ選びをされているのかと思いきや、極端な色合いは除きお部屋の世界観を考慮して購入するものを制限することはないそう。

「よく、住まいのテーマやモノ選びのきっかけは何かを聞かれるのですが、個人的には特にジャンルのこだわりはあまりなく、好きなものを集めているつもりです。

実際に展示やアポを取ってアトリエにお邪魔し、『いいな』と思ったものはもちろん、作っている作家さんも素敵だなと思えるものを購入しています」

ジャンルやテイストは違えど、ルーさんが好きだと思う感覚があるからこそ、お住まいとしては調和がとれた空間ができあがっているのかもしれません。

好きだと思う直感を大切にしたいですね。

これからの暮らし

階段をギャラリー化させたい

メインスペースはこれまで通り、琴線に触れたものに合わせて少しずつ変化させていきたいと考えているそう。

これから着手したいと話すのは、玄関からメインフロアに上がってくる階段スペース。

現状の階段スペースも、集められたアートやご自身で作られたというマスキングアートで装飾されていますが、まだまだ足りていないそう。

「いまは集めたアートを飾っていますが、これからは増やすだけでなく直接描いてもらってもいいかなと思っています。

ペンキ代は出すので、描きたいけど場所がない人に好きに描いてもらってもおもしろいかなと。需要と供給が合えばですが」

ハウススタジオとして活用してもらえうように

最近では、ご友人に写真や動画の撮影のためにお部屋を使用してもらうケースが増えてきたと話すルーさん。

「こだわってリノベした住まいだからこそ、新たな使い方を考えていければと思っています。プロの方に撮ってもらうことが住まいをキレイに保つきっかけにもなるので、今後も機会があれば増やしていきたいですね」

ご自身の感性を大切にしつつ、モノや人との出会いも大切にされているルーさん。

好きなものを愛でる暮らしの中で、今後、住まいはどう変化して、どんな新しい可能性が生まれていくのか。私自身もとっても楽しみなお部屋でした。

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