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3月7日は「サウナの日」! マンガ家・タナカカツキさんに訊く、サウナの味わい方
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3月7日は「サウナの日」! マンガ家・タナカカツキさんに訊く、サウナの味わい方

2021-03-07 10:00
    サウナの魅力って? 「ととのう」ってどういうこと?

    本日3月7日は「サウナの日」ということで、「サウナ大使」としても活躍するマンガ家・タナカカツキさんのインタビューをお届けします。

    サウナについて全く知識がない方も、サウナの魅力に気付いちゃうかも……?

    ***

    MYLOHASより転載。

    「タナカカツキ先生の話を聞いたあとは必ずサウナに入りたくなる」とは、親交の深い編集者の言葉。大まじめなのにとにかくおもしろい、タナカカツキさんのサウナトーク。第1回第2回ではご紹介しきれなかったエピソードを、タナカカツキさんの語り口のままお届けします。

    「ととのう」が生まれるまで

    サウナにハマったのはたまたまでした。当時「ととのう」という言葉で言語化されてはいなかったんですが、最初にととのったときは、ポジティブなものなのか、ネガティブなものなのかもわからない。ただなんか、いま変わったぞと。それが頻繁に起こるようになって、サウナのせいだと気づいたんです。

    「ととのう」のはのぼせるのとは違います。気持ちいい要素もありますが、ひとつの言葉では形容できない。一番近いのは“恍惚”だと。最初のサウナエッセイ『サ道』を書いたときは、ずっと恍惚という言葉を使っていたんです。

    でもしばらくしてサウナ仲間と出会うようになり、話してみるとみんな“あのときの感じ”を持っているわけですよ。で、ある有名プロサウナーが「なんか整うんだよね」みたいなことを言ったときに、全員「それ!!」ってなったんですよね。そこから「ととのう」という言葉が生まれて、だんだん広まっていったんです。

    もうサウナがないと生きられない

    サウナにハマって通い続けたのは、やっぱり探求でしょうね。どうしたらもっとよくなるんだろう、一番効率的に整うにはどうしたらいいんだろうっていう。自分をモルモットにして人体実験していたんです。

    いまではサウナに入ってなかったときって、どうやって生きてたんだろうっていうくらい。睡眠や食事と同列です。魅力というか、ないと生きられないレベル。だから、それはまずいと思って警戒はしているんですよ。サウナで死んだらやばいし。サウナ大使がここで死んだらやばいじゃないですか。だからめちゃくちゃ距離をとっているんですよ。いつも客観的に眺めるようにはしています。でないと危ないくらいの勢いがあるのがサウナですね。

    サウナは人の生活に入ってくる。サウナの力は習慣の力。一度ハマった人は、サウナに入らない人生に戻るのは難しいと思います。

    初心者が「ととのう」ためには?

    「気持ちいい」状態というのは、自分で決めるものですよね。たとえば恋を説明するのは難しい。あの気持ちよさは体験ですりあわせるしかありません。「ととのう」という状態も、それがある状態を求めるのは、本当はよくない。「悟るぞ」といってるようなものですから。

    ただひとつ言えるのは、「ととのう」というのは神経のことなので、神経を育てないといけないんですよ。“苦み”がおいしいなんていうのも、それをおいしく感じる神経が育つから。「ととのう」もそれと同じで、ふだんから気持ちいいことに貪欲だったり、敏感だったりする人はハマりやすいんだと思います。リラックスするのにも上手下手があるのと同じですね

    タナカカツキさんが考える理想のサウナ

    どこもいい部分と悪い部分がありますから、結局はどこでもいいんですけど。サウナに入ると気分がよくなって、いやなところが見えなくなるしね。でもあえて申し上げるなら「清潔」。清潔感が与える気持ちよさって強烈なので。じゃあ、不潔なところでととのわないかっていうとそうでもないんですけど……あんまり関係なかったりもするんですけどね。

    あとは、やっぱり感覚的なものなので、女性だと香りもポイントになるでしょう。本来、香りはサウナとセットなんです。そういうところをあんまり考えていない施設もあるので、それをちゃんとサービスとして提供している施設がいいと思います。

    「凍ってる水風呂入ってくださいって」

    フィンランドの水風呂体験は「つらいの一言」だったという話をしたけど、もう冷たいとかじゃないんですね、痛い。痛いし怖い。やったことないもん。水温0℃ですよ。まず死ぬヤツじゃん、それって。そりゃ地元の人は入っているけど、日本から来てね……それも温暖化の日本ですよ。そんな凍ってる水風呂入ってくださいって。サウナ大使でしょとか言われて。無理じゃないですか。ええ。芸人の罰ゲームじゃないですか。もう、いい年してバラエティ番組みたいな、もういいよって。なんで俺がロケなのって。それもテレビカメラ入ってるんだったらやるよ。入ってないじゃん! 写真だけ、それも素人がスマホで撮る写真ですよ。

    その湖畔のサウナは地元の人もいましたが、諸外国から人が訪れるような観光地だったんです。もうみんなギャーギャー言ってましたよ。女の人が二人くらいでね、「アメイジング! アメイジング!!」って言いながらね。で、写真撮って撮って! みたいな、友達同士で言いながらね。

    そのあとも入ったんですけどね、2回目はラクでしたね。やっぱり1回目、最初は怖い。できたといっても、ふつうにではないですけど。もう大変でしたね。そこまでサウナ好きじゃないよってね。まあサウナ大使なんだけど。

    最終的には、サウナに行かずにととのう

    いまはサウナブームなんて言われたりしますが、どうなんでしょう……古来から日本人はサウナに入っていますからね、そういう意味ではサウナブームなんておかしな話なんです。

    そもそもお風呂って本来、サウナのことなんですよ。「呂」というのは囲まれたところという意味。風は外気浴のことですから。昔の日本のお風呂というのは、基本的には蒸気を楽しむもの。そこでリラックスしたり疲労回復をしたりしていました。温泉につかるのは「湯治」といって、病を治すためのスペシャルケアだったわけです。日常的にお湯につかるようになったのは明治時代からですから、歴史としてはまだ100年くらいしか経っていないわけですよね。

    いまは人気が出てきたので、いいところはすぐに混んじゃう。なんなら、この劣悪な環境でどう、ととのうかみたいな。「超最悪だけど、俺はととのうぞ」みたいな。

    で、最終的にはもう、サウナに行かずにととのうみたいな。行くと不満なところが目にはいるから、もう家でととのうみたいな……そこまでいきますね。

    年に1回もサウナに入らない日本サウナ・スパ協会の会長

    だってスゴい人は、施設に来て館内着を着て、「ああなんかもうととのっちゃった」って言って、サウナに入らない人がいますもん。けっこうそれは、サウナーあるあるなんですよ。ととのうことが目的なので、ととのっちゃうともういいやと。で、ご飯食べてちょっとおしゃべりして帰るとかね。

    だから、サウナトランスじゃなくて……フラッシュバックなんじゃないですか。サウナ中毒なので、フラッシュバックでととのったら、それでいいわけですからね。

    なんなら館内着もなく、家で座ってるだけでととのったらいいですよね。「まだ館内着とかに頼ってんの」みたいな。「まだサウナとか入っちゃってんの」みたいな。

    だって日本サウナ・スパ協会の会長という方がいらっしゃるんですけど、「年に1回も入らない」って言ってたもん。会長は。「いやーサウナは入らないよね。自分がサウナになったらいいんだよ」と。

    確かにその人と話したら、ちょっと、ととのうんですよね。会長はスゴいですよ。会長とちょっとしゃべったらととのうから、もういいや、みたいな。「まだ行ってんだサウナ、めんどくさいよね」ってね。

    タナカカツキさんのサウナBEST3は?

    今日の取材場所である「スカイスパYOKOHAMA」もそうですが、働く人におすすめのサウナがいくつかあります。名古屋の「ウェルビー(男性専用)」の系列店で、女性むけの「サウナラボ」はすばらしいですよ。そこもワーキングスタイルなんですけど、女性はすごく喜ばれますね。ものすごくキレイですし、清潔で。サウナもフィンランド式の本格派ですごくいいです。

    熊本の「天然温泉湯らっくす」もすごくて…(なぜか小声)…サウナはいろんなタイプがありますが、ヨーロッパでは日本と違って瞑想とかヨガとか、リラクゼーションの色が強い。それを完全に打ち出したサウナ施設なんですよ。ここはね、僕もまだ行ったことないんですけど、絶対に1位なんですよね。もう行かなくていい。もうわかるもん。伝わるし。好きな人にもう会いたくないっていうのと一緒ですよ。会わなくていい。ずっとファンですみたいな感じです。

    サウナを誤解してる人が多い!

    残念なことがひとつあって、入り方の誤解があると思うんですよ。サウナは汗をかくもの、と思っている人が多い。暑いところに入って汗を出すのがサウナと思っていらっしゃる。それはどうでもよくて、じゃあなぜそれをするのかというと、カラダが温まらないと水風呂に入れないからです。水風呂に入ったあとが本番なんです。

    汗をかいてガマンするというサウナのイメージは間違っています。水風呂を楽しまないと、カラダにもよくない。疲れがたまるだけですから。ちゃんと冷まさないとね。血管が開いたままになっていると疲労がたまるから、ちゃんと閉じないとだめなんです。閉じてから気持ちがよくなってきます。サウナに対する誤解が解けて、みんなが当たり前にサウナの入り方を知り、お風呂のようにちゃんとサウナを使えるようになるといいな、とは思っています。

    今すごく、女性にサウナが広まってきていますよね。それは実感します。「日本サウナ祭」も毎年やっていますが、30代を中心に女性の応募人数がすごいんです。血行をよくして肌もツルツルになるサウナは、女性にとってメリットがとても多い。

    今年の春に『はじめてのサウナ』という本をリトルモアさんと作らせていただいたんですが、その男性担当者のツルツルが、今本当にエグいことになってるんですよ。もうなんの威厳もなくなっちゃって。貫禄がなんもない、卵肌すぎて。必要以上にツルツルになってしまうので、これはやっぱり女性のものだなって話をよくするんですよ。

    ※サウナに入るときは、くれぐれも無理なく安全に。

    『はじめてのサウナ』(リトルモア)
    心もカラダも解放して、キレイになるための女性向けサウナ指南書。「興味はあるけど、入り方がわからない…」「心とカラダが“ととのう”ってどういう感覚?!」など、疑問や不安をこの1冊でさっぱり解決。タナカカツキさんの優しい文と、ほりゆりこさんのあたたかいイラストで、絵本を読むようにサウナに親しめる一冊です。

    タナカカツキさん(マンガ家)
    1966年大阪うまれ。1985年大学在学中にマンガ家としてデビュー。著書には『オッス!トン子ちゃん』、天久聖一との共著『バカドリル』などがある。 その他、映像作品も多数手がけ、アーティストとして幅広いジャンルで活躍。サウナを題材にしたマンガ&エッセイ『サ道』でサウナブームの火付け役となる。日本サウナ・スパ協会が公式に任命した、サウナ・水風呂の素晴らしさを世に知らしめる広報大使「サウナ大使」としても活躍中。最新作は『はじめてのサウナ』(リトルモア)。

    撮影(タナカカツキさん)/中山実華、取材・文/田邉愛理、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、撮影協力/スカイスパYOKOHAMA

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