コーヒーをこよなく愛することでも知られていて、これまでに通算1000軒以上のコーヒーショップを行脚。趣味が高じてメニュー開発に携わったりもしているという、筋金入りっぷり。言わずもがな、部屋にはコーヒー関連のアイテムがひと通り揃っています。
そればかりか、インテリアから日用品まで、そこにあるのは愛をもってていねいにセレクトされたことが伺えるモノばかり。清潔で整った空間も、まぎれもなく彼のひととなりの映し鏡です。
「お笑い芸人らしからぬ」と言ってしまえばそれまで。彼の暮らしを覗けば、そんな紋切り型のイメージも、きれいさっぱり洗い流されます。
名前:石井 輝明さん(コマンダンテ)Twitter Instagram カフェYouTube
場所:東京都
職業:漫才師
家賃:16万5千円
面積:44㎡
築年数:44年
間取り図(編集部作成)
お気に入りの場所
きちんと、ダイニングでご飯を食べる「ダイニングスペースが欲しかったんです」
以前暮らしていたワンルームタイプの部屋から、石井さんがこの場所に引っ越したのは数ヶ月前のこと。引越しを決めたいちばんの理由は、そんな、暮らしに実直な気持ちだったとか。
そんなわけで、彼がこの部屋でもっとも気に入っているのはダイニング。そこに置かれた丸テーブルは、毎週土曜日だけ開く古家具ショップ・HYSTで購入したもので、まだ綺麗だけどほどよく使い込まれた親密な感じが部屋にしっくり馴染んでる!
パワースポットさながらに、部屋全体に気持ちいいムードを行き渡らせている気がするな〜。
丸テーブルは5万円くらいで購入。椅子は、秋田県のふるさと納税でゲットした秋田木工のもの。
実際、ダイニングスペースができたことで、暮らしもしかるべく変化しているようで。
「仕事が忙しい日でも、ほぼ毎日自炊するようになりました」
劇場でのライブはもとより、最近は配信ライブやYouTube撮影、そして趣味が高じた“カフェ芸人”としての活動まで。毎日さまざまな仕事をこなすかたわら、そのうえ料理や暮らしにまでつつがなく目を配るなんて!
とはいえさもありなんと思えるのは、一杯のコーヒーを、豆や器具にこだわりながらてまひまかけて楽しむ石井さんだから。暮らしのすみずみにまで気を配るのは、きっと性に合ってるんだろうな〜。
この部屋に決めた理由
交通の便がいい場所がよかったそんなわけで、石井さんがこの部屋に引っ越した理由は、まずもってダイニングありき。ほかには、とりたてて条件はなかったそうです。
「ある程度広くて、築年数は古くてもリフォームされていて内装が綺麗なこと。場所は、都内をはじめ全国の劇場で漫才をすることが多いので、比較的交通の便がいいところを狙って。それくらいのもんです」
2016年「第5回 ytv漫才新人賞」で優勝した際に購入した「カリモク60」。次に迎えるソファがあるとのことで、同期の芸人さんに譲るんだそう。
ターンテーブルとスピーカーのセットは、実家で使われていなかったものを引っ張り出して、ひとり暮らしをはじめるときに持ってきたもの。
ところで、「芸人さんの部屋」と聞いてどうしても思い浮かべてしまうのは、三畳一間の築年数が古いアパートで暮らしている姿。その様子が紹介されているのをテレビ番組でも昔はよく見かけたような。
くらべて石井さんの部屋はというと、ご覧のとおり、洗練された家具や雑貨がきちんと並び、ていねいに暮らしを送っているのが明々白々。
「正直なハナシ、ほんまに毎日何箇所も劇場を回って漫才してるんです。コロナになってからは劇場公演だけに限らず、配信ライブといった新しい間口が広がって、昔よりは食っていきやすくなりました。
でも僕らの場合、本当に、ただただめっちゃ働いてるという……(笑)」
ふだんコマンダンテのことをそばで支えるマネージャーさんも、その働きっぷりにはお墨付き。いわく、「ただ、これだけインテリアにこだわって部屋を整えているのは、芸人さんのなかでもかなり珍しいケースだとは思います(笑)」。
お気に入りのアイテム
コマンダンテのコマンダンテじゃないコマンダンテ「なんか飲みます?」
おもむろにコーヒーを勧めてくれたのは、ROOMIE編集部が部屋を訪れてまもなくのこと。
せっかくなので遠慮なく、カフェ芸人と呼ばれる石井さんの腕前をとくと拝見しようと、お言葉に甘えちゃいました!
「アイスとホット、どっちにします?」
「淹れ方も何通りかあって。いまは水出しはやってないので、エアロプレスかツイストプレスで淹れるか、もしくはスタンダードにドリップコーヒーにするか」
「豆は、いただいたものも多くて、今日はたまたまラインナップが充実してます」
なんて、あれよあれよと好みの一杯に導いてくれる様子は、もはやバリスタにしか見えないよ! あれ、いつのまに我々、コーヒーショップにワープしたんだっけ? そんな心地よい錯覚に襲われます。
「そもそもコーヒーにハマったのは、アイロンヘッドのナポリさんがきっかけなんです」
日々コーヒーショップを探訪しては、自身のInstagramやブログ、YouTubeのカフェチャンネルでコーヒーへの愛を綴る石井さん。
そこにおいては笑い抜きに、真剣そのものです。
地方に行けばまとめて5軒をハシゴしたり、ふだん仕事がある日でも、1日に2〜3軒は足を運んでコーヒーを飲むという筋金入りっぷり。そのはじまりについて訊くと、こんな回答が。
「このミルを、6年くらい前の誕生日にナポリさんがプレゼントしてくれたんです。それまでは、特別コーヒーが好きでもなければ、まして自分で淹れて飲むなんてしたことなかった。ちなみにナポリさんも、とくにコーヒーが好きってわけじゃなかったと思います」
なんの脈絡もなく贈られたコーヒーミル。
それが不思議なことに石井さんにどハマりし、津々浦々のコーヒーショップを巡るまでに。レシピや淹れ方のコツも、そうして出会ったバリスタたちにじかに教えてもらいながら学んでいったんだって!
ちなみにアイスコーヒーを淹れるときの石井さんの基本レシピは、豆16gに対して水210ml。
コーヒー器具は、コーヒー好きを公言するうちに自然と集まったものがほとんど。と、ずらりと並んだなかに、「COMANDANTE」とレタリングされたミルを発見!
「コラボ商品も出してるなんて、抜かりないな〜」なんて思っていると、そうではなくて、これはグラインダーの最高峰として名高いドイツメーカーのもの。
「コーヒーショップに行くと、『コンビ名はあのメーカーから取ったんですね!』とよく言われるので、けっこう恥ずかしいんです(笑)。これはまったく、偶然の一致なんですよ」
つまり、このコマンダンテは、コマンダンテのコマンダンテじゃないコマンダンテってわけだ!
ほかにもコーヒー関連のアイテムは、部屋のそこかしこに。
なかでもお気に入りは、PADDLERS COFFEEの系列店であるBULLPENで購入したマグカップや花器。
アイスコーヒーを淹れていたグラスは、実際にPADDLERS COFFEEで使われているモノなんだって!
暮らしのアイデア
生花を飾って、“生”を実感するBULLPENで買ったものをはじめ、部屋のいたるところに花器が置かれていて、そこには色とりどりの花が飾られています。このあたりにも、コーヒーや自炊に見て取れるていねいな暮らしぶりが垣間見えるな〜。
部屋で過ごす時間が増えてこのかた、同じように部屋に花を飾るひとが増えてるけど、石井さはどうして花を飾っているの?
「単純に、お花が好きなんですよね。いつも、最寄駅付近の花屋さんとか、スーパーで買っています」
街の花屋やスーパーで買うっていうのが、なんとも好感持てる! おしゃれでやってるんじゃなくて、本当に花が好きなんだろうな〜!
「とくに、僕はドライより生花が好きです。少し前に生け花に通っている時期があって、そこで、一瞬一瞬の命を切り取る美しさを知りました。どこか“生”を実感したい気持ちがあるのかも」
一瞬を生きる悦び。生の舞台をたっとび、日々劇場に通い詰める石井さんだからこそ。そこはお笑いをやる理由にも、通じるところがあるのかもしれません。
もちろんお笑いをやっていなくても、部屋に生花を飾ることで、日々を生きるパワーがみなぎってきそうだ!
これからの暮らし
豆から挽いたコーヒーを、その日の気分で器具を選び、ていねいに淹れる。自炊した料理を、お気に入りのダイニングテーブルに座って食べる。近所で買った色とりどりの花を部屋ごとに飾る。そうして、暮らしのすみずみまでに目を向け、毎日を大切に過ごす石井さん。
これからについて訊いてみると、「挑戦したいのは、生花とレジンを組み合わせたプロダクトを作ること。少しずつ携わっている、コーヒーショップのメニュー開発なんかも、これから力を入れていきたいですね」ときっぱり。
“お笑い芸人”の紋切り型のワークライフバランスや、世間のイメージにことさらとらわれない。
暮らしにまつわるさまざまに興味の尽きない石井さんの等身大のこれからと、それに応じてしかるべく変化していくこの部屋から、まだまだ目が離せない!
Information■ライブ情報
①9/1(水)19:00開演@よしもと有楽町シアター
コマンダンテ石井トークライブ「コーヒーのお供に」
②9/27(月)18:45開演@ルミネtheよしもと
「トークダンテ」
Photographed by Kaoru Mochida
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