皆さんは雲海をご覧になったことはありますか?
飛行機の窓から見る、雲が海のように見える景色も雲海と呼びますが、今回、ご紹介する雲海は、放射冷却によって霧、層雲が山間部で発生する自然現象のこと。日本では虹を見ることも稀ですが、雲海は稀どころか見れたら奇跡!というレベルです。
秋から冬にかけて、もっとも美しいと言われる雲海。では、私の知っているとっておきの絶景スポットをこっそり教えちゃいます。
場所は兵庫県・朝来市。世界遺産の姫路城のある姫路市からさらに播但道でおよそ二時間。四方を緑豊かな山々に囲まれた竹田という小さな城下町があります。あえて城下町と言ったのは、町を見下ろす山の頂上にかつて「竹田城」、別名「虎伏城」と呼ばれる山城があったため。現在、廃城から400年経っていますが、城の石垣は当時のまま残り、まわりの自然と一体となって四季折々、美しい姿を魅せてくれます。
天守台は標高353.7メートルの山頂に築かれており、実際、山頂まで登っていくのも一苦労。だからこそ、現存する遺構を目にすると感慨もひとしお、エジプトのピラミッド同様に「どうやって建てたの?」という歴史ミステリーのような楽しさも味わえます。
そんな山頂の城跡から見ることのできる雲海は、いわずもがなの絶景!
最近では「天空の城」「日本のマチュピチュ」とも呼ばれ、関西地方の知る人ぞ知る絶景スポットとなっているのです。この山頂の城跡で見ることのできる雲海は、ご覧のとおり実に幻想的。雲海は秋から冬にかけてが一番発生しやすいそうで、つまり、これからの時期はまさに雲海シーズン、というわけです。
ちなみに、雲海の発生しやすい時間帯はなんと明け方から午前8時ごろまで。そして、山頂部に到着するまでの登山道には外灯がないので、懐中電灯と防寒着のご準備だけは抜かりなく!
とはいえ、紅葉シーズンは山々が色づき、雲海を見ることができなくても行く価値は十分あり。ふもとの町、竹田も城下町の風情が漂う素敵な場所ですから、秋の散策に是非訪れてみてください。
[朝来市]
写真提供:吉田利栄