印象派の画家10人が、10年間に主に使った5色をまとめたチャートです。印象派と言えば、色使いに革命をもたらした画家達ということなので、これは興味深いですよね。
この色の変化を見るだけでも、その歴史に何があったのか、と興味をそそられます。横並びに歴史と併せて見てみてもおもしろいですが、せっかく画家の名前があるので、ちょこっと美術のお勉強を。
チャートは1895年から1905年を無作為に切り取ってあるため、それぞれの画家が主に活躍した年とはずれていたりするのですが、何人かピックアップして代表作と合わせて見てみます。
ピエール=オーギュスト・ルノワール
「ピアノに寄る少女たち」(1892年)
柔らかく鮮やかな絵の印象が強いですが、多く使われている色は10年を通して、濃い茶を始めとした深い色味。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」(1876年)
と思ったら、なるほど、私達の印象に強く残っているルノワールの作品の多くはこのチャートの10年以前の作品。1890年後半からはヌードを多く描いていたとのことなので、色味としては、納得というところ。
カミーユ・ピサロ
「りんごの収穫」(1888年)
チャート上、明るい色味と濃い色味の差が激しいピサロ。印象派画家たちの中で最年長で、他の画家に慕われた温厚な性格の画家だったようです。絵も明るい色味のもの、深い色味のもの共に、柔らかい空気を感じる優しい絵が多い印象。
「テアトル・フランセ広場 、雨の効果」(1898年)
激動の時代だった19世紀の、田園や都市の変貌を多く描いたとのこと。色味の差もそんな理由からでしょうか。
「踊りの花形」(1878年)
自ら「現代生活の古典画家」と呼んだように、いわゆる印象派画家とは違い、古典的手法を多く用いた画家です。光の変化を追求する印象派画家が多い中で、室内の絵が多い画家でもあります。
「三人の踊り子」(1873年)
全体的に深い茶系の色味が多いのも、室内画が多いからということでしょうか。比較的、裕福な家の出身で、オペラやバレーを多く描いています。
「赤い浮標」(1895年)
新印象派画家の代表のシニャック。点描画で知られていますが、有名な絵のほとんどで、様々な水辺が描かれているように、外の柔らかい光や空に水を思わせる、淡い色を10年に渡り使用していますね。
「サン=トロペの港」(1901-1902年)
性格的にも多くの画家と違い、陽気で精神的にもブレの少ない画家だったよう。気難しいゴッホなどともうまい人間関係を築いたそうです。
アンリ・マティス
「緑のすじのある肖像」(1905年)
マティスは1905年でガラリと色味が変わります。写実的な絵を描いていたマティスは、1905年から「フォーヴ(野獣派)」の時代が始まり、原色が多く使われているマティスらしい絵が描かれていきます。
「ダンス」(1910年)
マティスはこの年以降の活躍の方が遥かに長く、その後はまた柔らかい色味に変化します。
いかがでしょうか。その時代背景や、絵画の知識の幅によっていろいろな見方ができると思います。
美術への入り口として、色味に注目するのもおもしろいですよね。
[ 10 Artists, 10 Years: Color Palletes]