ちょっとラフで塗り足りなくて、でもどことなく味のあるこの椅子。実は10歳にも満たない少年達がプロとして雇われ塗ったものなんです。
オランダのデザイナーLucas Maassen氏はこれまでにも様々なフィールドで既成概念にとらわれないようなデザインを手がけてきましたが、このプロジェクト「Lucas Maassen&Sons」では彼の3人の息子、Thijme氏(9歳)、Julian氏(7歳)、Maris氏(7歳)を雇用。家具の塗装の仕事をしてもらっています(プロなので、「君」ではなく「氏」と記載させていただきました!)。
この3人は、自分の塗った家具1つに対し、賃金として1ユーロを父親から受け取っています。しかもきちんと雇用契約書に同意しサインした上での給与です。決して親が子供に与える「お小遣い」などではありません。
更に、オランダの法律で彼らが働ける時間は週あたり3時間のみと限られています。そのため、彼ら自身でそのスピードをコントロールし、時間と戦いながら作らなければなりません。
しかしそれ故に、現れてくるそのキラリと光る誠実な仕事への姿勢や責任感、筆目の見えるムラのある塗り、塗られていない部分から彼らがそれぞれもつ個性を楽しむことができるのです。
更に彼らも「仕事をする」という行為を通して、1つ完成する度にたくさんのことを学ぶのでしょう。それが、この家具の「美しさ」なのかもしれません。
彼らの作品はデザインイベントなどで展示され、時にはライブペインティングパフォーマンスをすることも。
こちらの公式サイトや、Facebookページには、他にもたくさんの写真と作る過程のムービーが用意されています。
もちろんこの作品の魅力はこの3人のペイントした家具ではありますが、大人たちの中には働くとは何か、ということを少し振り返ってしまう人もいるかもしれませんね。少なくとも私はちょっと考えてしまいました。
それにしても、素敵です!
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