『トリプルX:再起動』と『ラ・ラ・ランド』をハシゴしてきました。


時々僕は映画のハシゴをするのですが、

「これを観てぇー、おっ、映画終わった20分後にこれやるじゃん! いけるゼ!」

上手いことハシゴが出来そうだと、拳をグッと握りしめ、一人でにっこりと微笑んでいます。
誰とも予定を合わせず、一人で観に行くからこそ出来る小さな楽しみですね。


まず観たのが『トリプルX:再起動』。
トリプルXシリーズの三作品目だとか。

「よくよく考えてみればトリプルX観たこと無かった!」

チケットを予約してから気が付いたのですが、
鑑賞後の感想としては、前作を観ていなくてもまあ問題はなかったです。


どんな映画かを簡単に説明すると、


”ヴィン・ディーゼルとドニー・イェンが車に轢かれて微笑み合う映画”


こんな感じ。

映画を観ていない人からすると、
「いや、なんだよそれ!」という声が聞こえてきそうですが、
だって本当にそうだったんだからしょうがない。


頭空っぽにして夢詰め込める楽しい映画でした。


欲を言えば、

ヴィン・ディーゼルとドニー・イェンの
筋肉vsカンフーの殴り合いっこがもっと観たかったなぁ、

というところですかね。


筋肉vsカンフーといえば、パッと出てくるのが『リーサルウェポン4』。

僕が当時お付き合いしていた彼女を初めて誘ったのがこの映画でして、
しかもただ単に僕が「ハリウッド進出したジェット・リーを観たい!」というだけの理由で選んでおり、
デート映画の選定からして完全に失敗しているわけですが……、
(しかも僕が遅刻したおかげで別々の席で観たというオマケ付き)


ともあれ、メル・ギブソンとジェット・リーの殴り合いはとても興奮しました。


あの記憶が蘇るほどのものを期待していたのですが(蘇らないほうが良い)、
そこまででは無かったです。


更に欲を言えば、折角ドニー・イェンとトニー・ジャーが共演しているのだから、
この二人の殴り合いっこも観たかった!

その辺りがちょっと残念ではありましたが、
ドニー・イェンがウッキウキで人を殴り飛ばしている姿が観られて僕もニッコリでした。


僕はこの映画が初のトリプルXであったので、観終わった後に

「最初の女性は良いのかよ! ってかどこ行ったんだよ!」

と激しくツッコミを入れそうになりましたが、
きっと野暮なのでしょう。


あとエンドロールに流れる、ネイマール(サッカー選手)の紹介のざっくばらんな感じも好きです。



そして、続けて観た『ラ・ラ・ランド』。


なるべくならネタバレ無しで書きたいと思っているのですが、
ちょっと展開に触れてしまう部分もありますので、
ちょっと区切っておきます。

一切のネタバレ無しで鑑賞されたい方は、
映画鑑賞後に眺めて頂ければ幸いです。




<ここから『ラ・ラ・ランド』について>




ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンという美男美女主演のミュージカル映画で、
監督は『セッション』を撮った人。


『セッション』と言えば、「映画の中で描かれるジャズがどうなのか論争」が巻き起こったことが記憶に新しいですが、
今作もライアン・ゴズリングがジャズピアニストとして登場し、
ジャズ対する熱い想いが綴られるシーンもあります。

ピアニストでありながら、演奏に対するこだわりがありすぎて歩調を合わせられないライアン・ゴズリングと、
ハリウッド女優を目指しながらも、チャンスに恵まれないエマ・ストーンの二人の物語。


僕は物語の中盤まで、


「この映画は一人で観てはいけない映画だったかもしれない!」


と激しく後悔していました。

楽しげに歌い踊る二人の姿を、一人はじっこの席で観ている僕。


「なんだよこれ! 客に対してこの仕打ちはどういうことだ! 支配人を呼べ!」


今にも暴れ出しそうになりましたが、
『映画の内容が気に入らなくても暴動を起こさない』と上映前にポン太くんと約束をしていたので、暴動寸前の気持ちをグッと堪えました。


しかし、中盤を過ぎたあたりで様子が変わっていきます。


ネタバレになるので詳しいことは書けませんが、
そこで起こる内容が、僕の心に刺さる刺さる。

これは多分、誰の心にも置き換え可能だとは思うのですが、
『芸術表現を夢を見ながらも、その最中に誰かとお付き合いをしたことがある人』
であれば、ストレートに心臓にぶつかると思います。

かくいう僕も、演劇を志していた時代があり、
その時期に女性とお付き合いをさせて頂いたことがありましたので、
(ちなみにその人からは「お前は人を心から好きになったことが無い」と言われました)

まあこれでもかと、たくさん刺さりました。

惨殺です。身元の判明にしばらく時間がかかると思います。


「このライアン・ゴズリングは俺だ!」
「いや……俺じゃないな。だってこんな成功してないし」
「そもそも顔も身体つきも違うし……」


物語の終盤、絵本のような背景の中で、
ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが楽しそうに踊るシーンがあるのですが、
そこでちょっと泣きそうになりました。寂しくて。


僕はこの映画に出てくるエマ・ストーンが嫌いです。
ですが、この映画は大好きかもしれません。


ミュージカルシーンはとてもロマンチックでありながら、
しかし、この苦い現実味は何だろう。


「でも仕方ないよなぁ、そういうもんだよなぁ……」


帰り道にあれこれと考えた結果、
僕ことライアン・ゴズリングは、エマ・ストーンを許すことにしました(かなり上段からの目線)。


というわけで、自分の人生をあれこれと振り返る機会をくれた、
とても大切な映画になりました。


デートムービーとして最適なのかどうか、ちょっと僕にはわかりません。

これを切欠に「ゴズリング派 or エマ派」で大喧嘩をするカップルも
いたりするんじゃないのかなぁ……と思うと、

気軽に「観ておいでよ! 二人で!」とは言えませんが、


僕はこの映画が劇場で観られて良かったです。


ちなみに、この映画で一番恐ろしかったのは、エマ・ストーンが自主公演をするあのシーン。
恐ろしくて恐ろしくて、僕は映画館の隅でガクガクと震えましたとさ。


以上、映画の感想でした。おしまい。