自分では日々努力しているつもりでも、どうしても前に進まない。
そういうことがある。

それどころか逆に後退している結果を突き付けられて、
この数日、この数か月は何だったんだと苛まれる。
そういうことがある。



2015年5月、スプラトゥーン初代発売。
その前月にニコニコ超会議の超Splatoonゾーンで
ひさs… いやイカ研究所所長さんの隣で
先行プレイさせてもらった時から9年と4ヶ月。

思い返せばこの9年間、
自分はスプラトゥーンというものに全く向き合わず
ただひたすら時間を浪費していた愚か者だったように思う。
30代のほぼすべての時間を懸けて取り組んだというのに全くお粗末なものだ。



なぜこのように思うようになったかというと、
6月のアップデートでデンタルワイパーが実装されたことが大きい。

1回の横振りでビッタビタに塗りを作れて
かつ接近戦の1発の爽快感もあるのがとても自分好みで、
実装初日からこのブキを本格的に使ってみようと思って触りだした。

しかし初日の勝率は2~3割ほど。
とにかく動きが重い。気づいた時にはもう詰んだ状況になっている。
シューター系ならまだまだ粘れる状況でもあっさりやられる。
何なんだこの弱さは……

デンタルワイパーが駄目ならこちらはどうかと、
2日目にはこれまでずっと毛嫌いしてきたジムワイパーを持ってやってみた。
(思い返せばこの時点である程度の覚悟が決まっていたように感じる。)

デンタルワイパーと比べて軽快なのに射程がだいぶ長い。
こんなブキが存在していて良いのか??
そこからしばらく、6月いっぱいはジムワイパーを中心に持ってプレイし続けた。
慣れないブキ種ということもあって勝率はそれほど振るわなかったが
デンタルワイパーでやるよりはだいぶ高い勝率を出せて、
このブキの強みを肌感覚で理解し始めていた。

ただやっぱり引っ掛かる。

デンタルワイパーのPVを見た時に感じたワクワク感、
初日に持って試し撃ちをした時に感じたニッコリ感、
あの感覚が偽物だったとはどうしても思えない。

そうだな……

どれだけ負け込んでもいいから、とにかく使い続けてみよう!

そう思えたのがどうしてなのか、自分でもよくわからない。
ただこの9年間を無為に過ごしてしまったことへの叱咤、焦燥、贖罪のようなものが
自分の体と頭をそういう方向へ向けたような気もする。

そしてそこから負けまくって、負けまくって、負けまくる日々が続いた。
直近50戦の戦績で初めて1桁勝利(9勝)となった。
XマッチのパワーはXP1700まで下がった。

しかし自分の中に、この経験こそが自分を強くするという確信があった。

負け試合の悔しさに耐え、1確の《ピキン!》の爽快感だけを生き甲斐に
7月はほぼデンタルワイパーミントとスミばかりを持って試合をしていた。

「なんだこのクソブキは!」
何回そう叫んだかわからない。
とにかくやられて、やられて、やられまくった。

きっとこの【やられまくる】という経験が、
人間を1つ上位のレベルに押し上げるのでしょう。

やられまくっているうちに、自分はなぜやられるのか、原因がハッキリと見えてきた。

それは、自分は事を起こす前に敵を見ていない、事を起こしながらしか敵を見ていない、ということ。

「事前に敵の位置を把握する」

これはここ数年で増えてきたスプラトゥーン解説動画の主たちが
手を変え品を変え何度も口を酸っぱくして言ってきていることである。
だから言葉としては理解していた。
そうだよね、
「ジゼンニテキノイチヲハアクスル」
って大事だよね、と。

ただし、自分が試合中にやる行動・意識としては9年間全く身についていないことだった。

デンタルワイパーのような動きが鈍くて、
適当に飛び出したら間違いなく一方的にやられるようなブキを持つと、
否応なしに【事前の観察・心構え】を大事にするようになる。
このことが、とても大切である。

そしてその経験を繰り返すと、
シューター系のような後からでもある程度ごまかしが利いてしまうブキを持った時にも
【事前の観察・心構え】を大事にした状態でフィールドに立てる。

現在、シーズン終盤でXP更新を狙う期間である。
シューター系(N-ZAP85、スシ、スシコラetc.)を持って、
4ルールすべてでXP2200~2300まで戻ってきた。
その過程では、昨シーズンには感じられなかったような余裕が感じられる試合も多くなり、
「この2か月間でやってきたことは間違いじゃなかった」と確信するに十分な感覚だった。



これは自己分析の結果なので間違っているかもしれないが…

私は無駄にゲーム経験があって、
最初から中途半端に小手先のアクションが得意だったせいで、
事前の観察の部分での勝負を放棄して9年間過ごしてきてしまった。

「このゲームの戦術的なことをそんなにいろいろと言えるのに
 いざ戦うとたいして強くないじゃん、どういうこと!?」

言葉を隠さずに言えば、
人に対してこのように思う機会が実はこれまで幾度となくあった。

でもその人が所属するチームが、試合としては勝っている。

これは、
【スプラトゥーンの強さ、ウデマエ】って何だろう――
この疑問に対する解を如実に示すものであろう。

わかっていないのは私のほうだった。



さあ、40代の2年目。
ここから失われた9年間を取り返す旅が始まるのだろうか。




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