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謎のサークルの奇妙なサイト
「謎の大学サークルについて調査してほしい」依頼人であるKさんは、愛知県の某大学に通う学生だ。彼の通う大学には多種多様な部活動・サークルがあり、その数は100を超えるそうだ。中には大学側から活動の認可が下りていない非公認のサークルも多く存在するらしい。今回相談された調査対象のサークルも、そのうちの一つだ。部活動やサークルの勧誘は主に正門前で行われる。小学生みたいに学年の分かる名札や黄色い安全帽をかぶっているわけではないので、勧誘する側はその風貌で新入生かどうかを見破らなければならない。私は大学を卒業してしばらく経つが、今にして思うと、どうやって新入生かそうではない学生かを判断していたのが不思議である。二十歳前後の学生なんて、見た目で年齢差を感じることはほとんどないだろう。もしかしたら、新入生はこれから始まる輝かしい大学生活を夢見ているだろうから、目の輝きが違うのかもしれない。今回、Kさんから『謎のサークルについて調査してほしい』との連絡をもらったので、興味本位で調べてみることにした。Kさんのメールには、正門前で配布していたチラシの画像が添付されていた。
【サイトリンク】
https://sonomonotonous.com/fleshers/
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子どもには解けて、大人には解けない問題
「子どもには解けるが、大人には解けない」と称されるクイズに挑戦したことはあるだろうか?この手のクイズはYouTubeやSNSでたまに話題になるが、子どもにしか解けないのかどうか疑わしいものが多い。では、本当に子どもにしか解けないクイズが存在するのなら、果たしてそれはどんな内容なのだろうか?
通常、クイズは知識や思考力が豊富な大人にとって有利なものが多い。難易度が高くなるほど、「大人は解けるが子どもは解けない」というクイズを作ることは比較的簡単だ。つまり、「子どもには解けるが、大人には解けない」というクイズは、この逆のアプローチを採用することになる。知識や経験が豊富だとかえってそれに囚われ、問題の本質を見失いがちなクイズというわけだ。その例に当てはまるのかどうか分からないが、以前、ある家庭用教育雑誌のコラムに、次のような子供向けのひらめきクイズが掲載されていたという。大人は簡単に解けてしまうかもしれないが、子どもにとってはいい頭の体操になるだろう。まずは、以下の問題を深く考えず、素直に解いてみてほしい。Q1~Q3を解き、それぞれの答えを最後の空欄に当てはめると、六文字の言葉が現れるはずだ。(有料会員に登録すると、Q2以降の問題が表示されます)
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奇妙な手紙
「昔の友人から謎の手紙が送られてきたんです」
依頼人はそう話を切り出し連絡をしてきた。今回の依頼人「井上美紀」は先月入籍し、新生活を始めようとしていたところ、昔の友人から自宅宛に手紙が届いたそうだ。都内のマンションに引っ越したばかりで、まだ今付き合いのある一部の知り合いにしか住所を伝えていないらしく、手紙が届いたことに驚いたらしい。とりあえず、私は依頼人から現物を事務所に郵送してもらい確認することにした。封筒の中には二枚の紙が入っていた。「祝」と書かれた手紙の裏には「問壱」と記された謎解き問題があり、もう一枚の紙には「問弐」、その裏には「問参」と記された問題があった。
また、紙の封入の仕方が少し独特で、二枚の紙を重ね、観音開きのような折り方で封筒に入っていた。紙には他に折り目が付いていなかったため、送り主が送ってきたときの折り方を井上さんが変えた可能性はない。一通り目を通し、さっそく依頼者に電話をしてみたソノ:まさに文字通り「謎の手紙」ですね…井上:はい、そうなんです。手紙の内容はともかくとして、謎解きも同封されていてびっくりしてしまいました。自分で作った問題のようです…変わってますよね。ソノ:変わっているのかどうかは分かりませんが、このような遊びって大人はあまりやらないかもしれませんね…
井上:でも、あらためて読むと手紙の内容も少しおかしいですよね?少し言葉が拙いといいますか…突然口語のような表現になっていたり…それに、お送りした実物を見てもらえばわかると思うんですが、かなり古い紙が使われているんですよ。シミも所々に付いてますし…ソノ:たしかにそうですね。今もその友人とは交友があるのですか?井上:いえ、高校の同級生でしたが、卒業後は一切連絡を取り合ったことはありません。今私は25ですから、もう7年になりますね。ソノ:クラスメイトだったのですか?井上:いえ、クラスメイトではなく同じ部活、私も彼女も剣道部に在籍していたんですよ。ただ、そのころから特に仲がいいという間柄ではなかったものですから、突然手紙が来てビックリしました。ソノ:今の時代あまり手紙を送る人はいないでしょうから、てっきり昔の親友かと思ってしまいました。井上:そうですよね。
そういえば、このお送り主は高校時代から謎解きが好きだったのかもしれません。
ソノ:そうなんですか?
井上:ある日、彼女が部室の片隅で黙々とノートに何かを書き込んでいたことがあって、気になって覗き込んだことがあるんです。
確かそこには、狸のイラストと「肩たたき」という文が書かれていて、あとは…「これが表す果物は?」のような質問文が添えられていた気がします。
そのとき、その果物は「柿」かなってすぐに思ったんです。
ソノ:なるほど、「たぬき」だから、肩たたきから『た』を抜いて「柿」というロジックですね。
謎解きでは基本的な問題ですね。
井上:そうなんですね。
彼女は集中していると周りが見えなくなるタイプで、私の目線に気づくと急いでノートを閉じて立ち去っていきました。やっぱり、当時からちょっと変わった子でしたね。ソノ:そういえば、手紙といっしょに同封されていた問題は解かれましたか?私はまださらっと読んだだけなので、いっしょに確認していただきたいのですが…井上:承知しました。問題は一応一通り解いて、手元にコピーも控えてあります。ソノ:それは助かります。では始めましょうか。井上:よろしくお願いします。ソノ:この問題は左上に書かれた「問壱」から解き始めればいいんですよね?
本文が書かれた手紙の裏に「問壱」と記された問題が書かれている。井上:そうですね。ソノ:「なまえ」という項目にはあなたの名前を入れればよさそうですね。6マスありますから、ちょうど「いのうえみき」がピッタリ当てはまります。井上:はい、私もそのように当てはめてみました。すると下に指示文が完成するんです。ソノ:なるほど、同じ形のマスに同じ文字を当てはめるんですね。
濁点が加わって…「いのみぎうえよめ」?井上:「『い』という文字の右上を読め」という意味だと私は考えて解きました。ほら、下に文字が並んでいますよね?ソノ:なるほど、すると現れる言葉は…「ゆびわ(指輪)」井上:正解です。ソノ:なんだか、あなたからの挑戦状を解いているような気分になってきますね笑井上:あ、すみません…ソノ:いえいえ、続けていきましょう。壱問目の答えは「指輪」結婚にはピッタリの単語だ。問題を送るという行為はあまり普通ではないかもしれないが、祝福のメッセージの内容もありきたりな言葉が並んでいるだけで、特に不可解な点は今のところ見られない。弐問目は壱問目が書かれた紙の裏側にあった。紙を捲り、謎解きを続けていく。※自力で解きたい方は、問題の画像以降のテキストは読まないように気を付けてください。ソノ:さて、弐問目を見ていきましょう。井上:お願いします。ソノ:これは…迷路?井上:そうですね。辿り方は上に書いてあります。ソノ:この空欄の形は…なるほど、また名前を埋めた空欄の文字を使うんですね。すると…「いえからうみへ向かえ」井上:その通りです。迷路の中に家と海のイラストが描かれているので、家から海に向かって進んでいくという意味だと思います。ソノ:そうですね。すると現れる言葉は…「こたえはくすりゆび」
つまり二問目の答えは「薬指」ってことですね。井上:私もそう考えました。ソノ:指輪に薬指ですか。結婚にはピッタリの言葉ですし、今のところは特に不可解な部分はありませんね。井上:そうですね。最後に現れるメッセージも特に変な内容でもないですし…ソノ:参問目ですか?井上:はい。井上:この問題は、これまでの答えを使って解くようなんです。ソノ:壱問目は「指輪」弐問目は「薬指」井上:そうです。なので、指示文は「指輪から薬指までしりとりせよ」になりますよね?ソノ:そうですね。井上:問題にはいろいろなイラストが描かれていますから、指輪から始めて、しりとりしながら薬指まで繋いでいけばいいと思ったんですが…ソノ:それで問題ないと思いますよ。すると辿る順序は…「ゆびわ」→「わに」→「にじ」→…次は「じ」から始まるもの…医者と犬のイラストは「じゅうい」ですかね?
右下の黒い液体のようなイラストをインクだとすると薬指に繋がりますが…あれ?そうすると竹刀のイラストを余分に通ってしまうことになりますね…
井上:そうなんですよ。だから「じゅうい(獣医)」じゃなく、「じゅういし(獣医師)」だと私は考えました。
ソノ:なるほど。すると「じゅういし」→「しかく」→「くすりゆび」と繋がりますね。
通った文字を読むと、「おめでとう」
井上:そうですね。「じゅういし」→「しない(竹刀)」と進んでしまうと続かないので、多分これで合っていると思います。
ソノ:いや、ちょっと待ってください。獣医師ならば「じゅういし」→「しない」→「いんく」→「くすりゆび」のようにしりとりすることで成立しますよね?
井上:あれ?確かにそうですね…
ソノ:ただ、そうすると通った文字は「おめでおわ」という意味不明な言葉になってしまいますけど…
井上:制作ミスでしょうか?
ソノ:そうかもしれませんね。インクのイラストさえなければよかったんですけど…
井上:ともかく、送り主が伝えたかったメッセージは「おめでとう」なんでしょうね。
ソノ:ということは、送り主の方は素直にあなたのご結婚を祝っているだけのように思うのですが…?井上:まぁ…メッセージの内容としてはそうですけど…でもやっぱり、7年も会っていないのに手紙を送ってきたり、そもそも当時から特に仲良くもなかったし、紙は古ぼけていてシミも付いているし、しかも何だか臭うし…ソノ:…。もしかして、あなたと送り主の方の間に、確執のようなものがあるのですか?井上:いえ、そんなことは…ソノ:すみません、余計な詮索でしたね。そういえば、一つ気になることがあるのですが…井上:なんでしょうか?ソノ:先月婚姻届けを出されたということは、もしかして、相手方の姓に変更されていませんか?
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