皆様こんにちは。生放送では解説を担当しております、D&D翻訳チームの塚田与志也と申します。この記事では、セッション前のシナリオ準備段階でDM(ダンジョン・マスター)の柳田と私が話し合った内容や、細かなルールとテクニックなどについて書いていく予定です。
セッションに当たってどんなことを考えているのか、そのためにどんな対策をしているのかを示すことで、皆様のプレイングの助けになればと思います。
なお、この記事の内容はあくまで、ニコ生での動画配信という「D&Dを知らない人にも見ていただくセッション」、「時間管理がタイトなセッション」のためのものであって、こちらから「正しいD&Dの遊び方」を提示するような性質のものではございません。
ただし、「高レベルになると戦闘にかかる時間がやたら増えて困る」とか、「高レベルのキャラクターは選択肢が多すぎて扱いきれない」、という悩みを抱えるプレイグループにおいても役立つような内容を記しております。この点に関しましてはくれぐれもご理解をお願いいたします。
扱いやすい高レベルPCの作り方
今シリーズでは、処理が重くなりがちな高レベル・キャラクターを限られた時間の中で活躍させるために、プレイヤーの皆さんには以下のようなお願いとアドバイスをしています。
原則1:“シンプルで処理も軽い”>“有用だけど複雑”
どのパワーを取得するか悩んだらこの原則に従ってみましょう。身内のカジュアルな環境で遊ぶときでもプレイ時間というリソースは有限です。複雑なパワーの使いどころに迷うよりも、シンプルなパワーで即断即決した方が楽しくプレイできる場合があります。
まず、他のプレイヤーがイメージしやすく理解しやすい内容を優先しましょう。イメージしやすいパワーはロールプレイもしやすいですし、せっかく支援を貰ったのに忘れてしまうようなケースも減ります。また、理解しやすいパワーなら、ルール確認で時間を取られたり、ミスに気づいてゲーム進行を巻き戻したりするケースが減ります。
特に即応系のパワーなど「ほかのキャラクターやモンスターの行動に割り込むパワー」は、プレイ時間を長引かせがちなので、なるべく効果が簡単で使用タイミングを悩まないものにしましょう。
原則2:基本的な数値(ACや攻撃ロール)を重視
初回の動画をご覧になった方や、初めて伝説級のPCを作った方は、低レベルPCと比べて各種の数値がかなり大きいのを見て、「さすが高レベルPCは強いなあ」と思われるでしょう。
しかし、実はこれ、大間違いなのです。
D&D第4版では、モンスターのAC(アーマー・クラス)や攻撃ロールは1レベルごとに1ずつ上昇しますが、PCのACや攻撃ロールは2レベルごとに1ずつしか上昇しないので、レベルが上がるにつれてPCは相対的に「弱く」なります。まずは、この“相対的弱体化”を補うことを考えましょう。
たとえば12レベル・モンスターのACは26、他の防御値が24、攻撃ロールは+16前後が基本です。これと互角に戦うためには、PCの対AC攻撃ロールは+18ぐらいは必要ですし、ACも防衛役なら30以上、他の前衛で28前後はないと安心して前線に立てません。
特技、魔法のアイテム、その他の選択可能なオプションを選ぶ際には、なるべくACその他の防御値、攻撃ロール、ダメージなどの基本的な数値を増加させるものを選び、それ以外のデータは余裕があればチェックする程度にしましょう。
《~練達》系特技、最大限に+のついた魔法の武器・装具・防具・首スロットアイテムは基本として、これらの数値を増加させる他のパワー、特技、アイテムも探してみてください。ただし、同じ名前のボーナスは累積しない(加算せず高いほうのみ適用)という大原則はお忘れなきよう。
原則3:攻撃力(与ダメージ)を上げる
原則2と同様に、レベルが上がるにつれてモンスターのヒット・ポイントはどんどん増えていきますが、PCが与えるダメージは(特に増やす努力をしない限り)そこまで増えません。
たとえば12レベルの標準モンスターのhpはおよそ120もあるので、低レベルのころと同じペースでこのレベルの敵を倒していくためには、PCの攻撃力は1ラウンドあたり30ダメージ(=4ラウンドで敵1体を倒せる)が目標になります。撃破役として胸を張るためには1ラウンドあたり50ダメージ(アクション・ポイント+クリティカルで標準モンスターを瞬殺できる)ぐらいが理想でしょうか。
このあたりの数値の基準は『モンスター・マニュアル』シリーズで高レベル・モンスターのデータを見るか、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』シリーズの『モンスターのカスタマイズ』関連の記述を参考にするとよいでしょう。ただし、モンスターのデータを見るのはある種のネタバレになる場合もあるのでご注意ください。
以上、スムーズに扱える高レベルキャラクターを作成するときの指針でした。これらを踏まえたPC達の冒険がどのようなものになるかは、次の配信をお楽しみに!
『水曜夜は冒険者!:マスタリングのうらがわ』
著:塚田与志也
監修:柳田真坂樹