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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』外伝・クリスタルシャードの影・第2回 速報版リプレイ:雪中行軍
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『ネヴァーウィンターの失われし王冠』外伝・クリスタルシャードの影・第2回 速報版リプレイ:雪中行軍

2014-09-17 15:52


     水曜夜は冒険者――場所はお馴染み、東京は代々木、HobbyJapanの配信室より。
     と、いつも通り続けたいところなのですが、アクシデントにより本日お読みいただけるのは内容を大幅にダイジェストした速報版となります(通常のリプレイは明日以降のお届けとなります)。
     今回参加者もミシュナを除く5名。病弱なミシュナは荒々しい北方への同行は遠慮し、ジェイド不在中のエヴァーウィンターの統治とあれこれの整備に尽力している模様……



     じわじわと忍び寄る冬の力。ヘラジカ族の戦乙女ローナを追って現れたと思しき氷の魔女の手のものの夜半の襲撃を退けた翌朝。昨夜起きたことを知らされてローナは一瞬不安の色を浮かべた――が、何も言わず、一行の先頭に立って一路アイスウィンドデイルを目指す。
     アイスウィンドデイルまでの道は遠い。北の都市ラスカンを経由し、氷原を抜け、世界の背骨山脈を縦走し、南北峠を越え、さらに氷原を踏破してようやく集落にたどり着く。その行程は健脚の冒険者が大過なく歩いたとして約20日。
     その間、“ゆっくり休める場所”は存在しない。寒冷地育ちのローナは別だが、冬知らずの街(ネヴァーウィンター)などと呼ばれる場所で暮らしている者にはまんじりともできぬ夜の冷え込み。むしろ、道中で深い眠りに落ちることは、そのまま二度と目覚めぬことを意味する。

     具体的にはアイスウインドデイルの中心都市、テンタウンズに到着するまで大休憩は取れませんと宣言される。

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     そして、雪中行軍の装備を整えようにも、一度派手に壊滅した後なかなか行商人も呼び込めぬエヴァーウィンターには物資がない。ごく普通の旅装で門前に集結した一行を見てローナは呆れ果てた顔をしたが、ないものはどうしようもない。
     というわけで、数日、寒い寒いと文句を言いながら、これはごく普通に旅をつづけた後、ラスカンで買い物をすることになる――よそ者として目立つことなく毛皮を売っている店を見つけ、盗賊の街で無事買い物をすること。具体的には技能チャレンジが要求されたわけだが。

     雪に覆われてすっかり様変わりした街をネズミ姿のセイヴが調べて回り、
     雪に閉ざされ物資も尽きて、だいぶ殺気立った住民の間でヘプタがタコ殴りにされ、
     結局ジェイドがその辺のチンピラを脅しつけて店に案内させた。ダークヒーローがだんだんと板についてきたところである。
     無事買い物を済ませて店を出た一行に死鼠団の残党が喧嘩を売ってきたが、これはセイヴが説得してエヴァーウィンターに新天地を求めることに同意させ、ことなく一件落着。

     だが、ここから先は本当に雪中行軍だ。
     ローナが案内に立っているとはいえ、遮るものもない氷原を10日間。歩き詰めに歩く。
     ここでも再び技能チャレンジ。失敗すると回復力使用回数が減らされる。
     ゆっくり休息できない一行にとっては、回復力使用回数の減少はすなわち緩慢ながら確実に生命力が削られていることを意味するのだ。寒さに弱いエリオンや都会育ちのヘプタがさっそく音を上げる。

     ……が、そこは(なぜか)技能チャレンジには強いこのパーティ。無事、ドワーフやノームの住む集落、ハンデルストーンへとたどり着いた。
     集落ならそこで大休憩が取れてもよさそうなものだが、何しろあれこれが基本的にドワーフやノーム仕様にできているので、人間も使える宿を取ることはできても十分には身体を休められないらしい。

     例年よりずいぶん早く厳しい冬に閉ざされ、どうもつっけんどんな街の住民たちを一部魔法的手段で、具体的にはエイロヌイのハマドライアドとしての能力“魔法的な美しさ”で懐柔しつつ宿を取り、ついでにそこの酒場で聞いた話によると。
     この先の山道はずいぶん厳しくなる、中でも山小屋は罠みたいなもんだから気をつけろ、と。

     なんでも森を抜けた先に無人の山小屋がいくつかあり、やれありがたやと思ってそこで泊まると夜中にイエティの群れがやってきて喰われるらしい。別にイエティがそこに小屋を仕掛けたわけではないのだが、小屋があると人はそこに泊まりたがるということをイエティが覚えてしまったということだ。

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     ジェイドはローナからもらった黒き氷の剣についても尋ねてみたのだが、街のドワーフでもこの「氷のように見えるが金属の堅さを持つ」鉱物については何も知らず。一方、大変に興味を持って全財産を放り出そうとする始末。なんと言っても売れないのだといい気かせてやり過ごす。
     感謝しつつその街も出て先を急ぐと確かに、半分崩れかけた山小屋にさしかかった。

     どうせ外で寝てもイエティが来るのならちょっとでも屋根や壁のあるところで寝たいと叫びだすヘプタを押しとどめて、山小屋から離れたところに雪洞を掘って休む。ヒトの匂いを嗅ぎつけたか、夜中にイエティが群れなしてやってきたが無事隠れおおせ、野には腹を減らしたイエティの鳴き声だけが響く。
     まんじりともできぬまま夜を明かし、さらに山道を行くと、昨夜のイエティが襲ってきた。遠くにいってはいなかったのだ。

     まあ、具体的にはランダム遭遇表をロールしたら「イエティに遭遇する」と言われたのだが。

     冒険者たちは走りに走った。エヴァーウィンターにて既に一度、氷の魔女の配下としてやってきたてイエティとは殴り合っている。二体三体は何とかなっても、あの群れはやっていられない。三十六計逃げるに如かず、である。

     峠を下りさえすればそこはアイスウィンドデイルの領内。氷原を逃げ走って――なんでもエリオンだけは(原初の炎に触れてからというもの、火の力を身に着けた分寒さには弱くなったというのに)高いところがあれば登り、風が吹けばフードを取って髪をなびかせていたせいで盛大に体力を削られたらしいが――ようやくアイスウィンドデイル最大の都会にたどり着く。

     テンタウンズ、その円形の町の直径は600m、人口1200人。だが、この何もない白一色の平原では確かに大都会に見える。

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     町に入る。
     ヒトの町だ。
     ようやく手足を伸ばして暖かい毛布や毛皮にしっかりくるまって眠れる。

     だが、その前に腹ごしらえだ。ついでに情報もあれこれ集めなければならない。まずは酒場に行こう。町の住民に聞くと、にぎわっている酒場は2軒あるという。傭兵たちの出入りする北見亭、町の比較的裕福な手合いが出入りする、もう少し品のいい“ごきげんケルヴィン亭”。さて、どこに行こう。

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     それぞれの店の様子を聞くと、ジェイド、軽く頷き歩き出す。

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     ……これだけ強行軍を続けてきたのだ。まともに暖かい場所で温かいものと旨い酒であたたまっても罰はあたるまい。

     店に入って席に着くと、エイロヌイが深刻な顔で言った。

    エイロヌイ:「タランが、死にました」

     妖精貴族エイロヌイは従者タランを連れている。エイロヌイのさらに後ろ、列のしんがりにいたタランの(物質界における)命が、この店の扉を潜ろうとした瞬間に消えたのだ、と。
     これだけの強行軍を生き延びてきたのに、これから旨いものを食おうというときに死んでしまうなんて……
     とひとしきり騒いだが、何のことはない、物質界における存在がいったん途切れたというだけのことなので、料理が運ばれてくるころに改めて妖精境からタランを呼び戻すと、何でも店に入ろうとした瞬間に背後から襲われて殺されたのだとか。
     はて、殺されるようないわれはないのだが、と一同首をひねっていると、話しかけてくるものがある。聞けばこの街に住む太陽神アモーネイターの女司祭で、名はミサン。

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     彼女が言うには、最近この街ではカルト教団――冬の邪神である女神オーリルを信仰する者が暗躍しており、人を殺してはそれを氷原に放り出してオーリルへの供物とすることがあるのだ、と。
     自分たちはまさにそのオーリルの信徒とことを構えにきたのだと説明し、ミサンからさらに話を聞く。最近、そのオーリルの力とかかわりのあるような事件はなかったか。

     ある、という。近くの湖が急に凍り付いた。湖ちかくの集落ではこの辺りには出没しないはずの虎部族の蛮人たちの姿を見かけるようになっている。
     怪しい、というので、まずこの街の代表に話を通してもらい、宿や物資調達の際の協力を取り付ける。
     それから、一夜ゆっくり休んで体力を回復し、件の湖に向かった。

     凍り付いた湖。向こう岸にはいつのまにかできていたという氷の塔。集落に動くものの気配はない――近づいてみて理由がわかる。村はすっかり凍り付いている。家のそばに小さめの氷柱があると見えたが……凍り付いた人間ではないか!!

    氷の魔女の仕業に違いない。どう対処すべきか――
    考えている暇はなかった。先手を打たれたのだ。

     凍り付いているはずの湖から、ふわりと靄が浮き上がったかと思うと、突風となって一同を襲う。骨を切り刻むような冷たさ。
     まともに靄に飲まれた者の身体のぬくみが一気に奪い去られる。具体的には重傷状態になる。そして靄の向こうからは白虎の毛皮に身を包んだ蛮族の一群が雄叫びを上げて走り寄ってくる――

     だが、もっと恐ろしいことがおきていた。

    ジェイドが呪詛の言葉を吐きながら剣を抜いたのだ。その眼には狂気の光がありありと宿っていた。

    ジェイド:「貴様ら……この剣を狙っているな。これは俺の、俺のものだ。誰にも渡さん!!」

     周囲を取り巻く“仲間”たちを、その眼は明らかに敵として認識していた。



    ジェイドの決断

    第1回:
    問い:黒き氷の剣を手にした瞬間に湧き上がる得体のしれぬ野望。すぐに剣から手を離すべきではないのか?
    答え:……いや、アイスウィンドデイルは俺のものだ!!

    第2回:
    問い:ようやくアイスウィンドデイルの人里に着いた。一息入れて食事をして情報収集するにはどの酒場がいい?
    答え:久し振りにまともに暖かそうな場所で身体温めながら食事したい。ちょっと品のよさそうなごきげんケルヴィン亭で。


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