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北欧にメタル人口が多いのと同じ?

次回の開催を4月30日に控えたM3をはじめ、pixivが主催したネット限定イベント「APOLLO(アポロ) 」ゲーム系音楽オンリーのイベントなど、音系の同人即売会も浸透してきました。

わりかし大きなイベントが目立つ「音系即売会」ですが、今年で3年目になる北海道でおそらく唯一とされるイベント「#音マ」が来週2月12日(日)に開催されます。

今回は、イベントを主宰するDJ一戸建さんに、「#音マ」開催の経緯をお話していただくとともに、北海道で盛り上がっている印象を受けるディープでコアな「ある音楽ジャンル」についてもおうかがいしました。


■北海道で活動しているクリエイターやアーティストを、地元の人にこそ知ってほしい

──北海道で音楽即売会「#音マ」をはじめた経緯とどのような思いで毎年開催をしているか教えてください。

北海道は残念ながら音楽の即売会が皆無でして、実力のあるアーティストは東京のM3やコミケ等の即売会に行ってしまいます。

又、全国ネットのアニメ主題歌等を製作している音楽企業も多数存在しますが、それを地元の人はほとんど知らずに通販で逆輸入的に買うといった現状です。

そこに今までとは違う、地元直売のラインを作りたいと思い3年前から始めました。

作り手と受け手、せっかく近くにいるのですから、アーティスト自身が対面販売し、受け手側とダイレクトにつながる即売会にしたいという思いで開催しています。


──12日に開催される「#音マ」では、どのようなジャンルの北海道で活動されているアーティストが参加されますか?

北海道のアーティストですと、東方のニコニコ動画で有名なイオシスメジャーシンガーを多数排出している島みやえい子先生エレクトロニカやIDM、アンビエント等を中心としたネットレーベル分解系でリリースもしているcallasoiled



僕も所属しているNotebookRecordsやAikapin、Xioはハードコアです。



他にも、北海道を拠点とするアイドル・ぷりんせすたいむや、北海道科学大学と北海道情報大学のDTMサークルなども参加します。


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■北海道は「ハードコアテクノ」人口が何かと目立つ気がします。ちょっととっつきにくい「ハードコアサウンド」、実はいろんなところで耳にしているかも。

──DJ一戸建さん自身は普段どのような活動をされていますか?

僕は、DJをやりはじめてから大体20年弱で、ハードコアテクノのジャンルを中心に活動しています。


DJ一戸建さんが活動しているジャンルでもある「ハードコアテクノ」。

高速なテンポと強烈なキックなどの攻撃的なサウンドが特徴的な「ハードコアテクノ」は、一見聞きなれない・とっつきにくさを感じるジャンルと感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、現在では「j-core」と呼ばれる独自のジャンルも確立し、「beatmania」や「jubeat」などの音ゲーで耳にすることもしばしば。

アイドルの楽曲に、ガバキックと呼ばれるハードコアテクノの特徴的なキックが使われていたり。「ハードコアテクノ」限らず「ダブステップ」や「ドラムンベース」など他のハードなジャンルも、意外と身近で耳にしていることも多いはず。



──北海道で開催されているハードコアのイベント「ヤツコア」がTwitterのトレンド入りするなど、北海道ではなにかとハードコアテクノのジャンルが目立っている印象を受けますが、実際に活動されている方の体感としてはいかがですか?

僕は、長いスパンでの北海道シーンの流れを見ていますが、普通にSNSが普及した事と、ゲーセンの音ゲーにハードコアアーティストが起用され始めた時期と同時にイベント・DJ・クリエーターが急激に増えたと感じています(これは全国的に同じ流れだと思います)。

それと同時期に、海外からも高い評価を得ているハードコアのDJ・トラックメイカーであるRoughsketchが、札幌に越してきて「ヤツコア」をはじめたことでしょうか。



音ゲーからのお客さんが激増したのが約8年前で、その前はどうだったのかというとほぼ僕1人だけが札幌でハードコアテクノをやってました。

まったくジャンルが浸透してなかったので「なんか変わった速いうるさい音楽かける人」というくくりで、メタルや美術館で演奏しているような現代音楽の方などと共演したり、まったくクラブミュージックDJとしては扱われていませんでした(笑)。

僕は聴く音楽の幅が広いほうだと思うのですが、この時、養われた感性だと思っています。


──よく、北欧でメタル人口が多いみたいな話がありますが、北海道においての「ハードコアテクノ」というジャンルの盛り上がりについてはどう感じますか?

北海道はハードコア人口が多く感じる理由......。これがちょっと難しいところというか、おもしろい感じの「雪で家にこもってる時間が多く、ストレス発散にハードな音楽を聞いたり、家で曲作りに励む機会が多いから」が理由では無いんじゃないかと肌感覚では思ってます。

Roughsketchにも「なぜ北海道には、ハードコア人口が多いように見えると思う?」と聞いてみたのですが、「PEさんというヤツコアクルーが、ハードコアのでかいロゴを車高の低い車にカッティングシートで貼って走っていて、その車の写真を大阪の有名ハードコアクルーに発見されブログで紹介されたから」と言ってました。

そこで「北海道にハードコア好きのアホがおる!」と全国的に発見・認知されたようです(笑)。

あとは、Roughsketchとも意見が一致しているのが、地理的なもので、北海道は人と人の横のつながりが強いと感じることと、一度集まるとバラけず、人がまとまりやすい環境だと感じること。

週末に札幌の街を歩けば知り合いや友達、同級生などに結構ばったり会うくらいの規模の街なので、イベントで初めて会った人、ゲーセンで会った人、SNSでつながった人がのちのちリアルで近所の人だという事が判明することもしばしば。

なので強固なつながりになり、顔も知っててネットでもつながっているのが楽しく、広がっていくのかなと思っています。

実際、僕とRoughsketchも歩いてすぐの近所に住んでいますから(笑)。

もちろんいろんなジャンルの人が存在するわけですが、「人と人の横のつながりが強く、大都会ではない」という環境だと、違うジャンルにいた人同士が「近所」「友達の友達」という理由で一緒になにかやるということが起こりやすいのではないでしょうか。

今回の「#音マ」に参加している中でも、例えば、Aikapinは元々ゴスっぽいバンドのボーカルでしたし、XIOもトランスの人でした。

2人とも誰かの紹介で遊びにきたり、一緒に共演してるうちにガッチリ、ハードコアの人間になりました。




DJ一戸建さんも所属するハードでアップテンポな楽曲を中心としたレーベル「Notebook Records」も参加する音楽即売会「#音マ」は、来週2月12日(日)まんだらけ札幌ホールにて開催。

特に、北海道にお住いの方にとっては、地元のアーティストやクリエイターとコミュニケーションが取れるイベントとなりますので、週末のおでかけにオススメです。

「#音マ」の詳しい内容や参加アーティストについては、こちらのサイトからチェック

また、「#音マ」主催者の一戸建さんも参加する札幌のハードコアイベント「ヤツコア(YATSUZAKI HARDCORE)」は、3月5日(日)に51回目の開催を予定しているそう。

激しく明るいイベントである「ヤツコア」。気になる方はこちらからチェックしてみてください!










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source:#音マ, サッポロハードコアチャンネル, Tumblr, Twitter 1, 2, YouTube 1, 2, 3, 4, Wikipedia 1, 2, 3

(タブロイド編集部)

RSS情報:http://www.tabroid.jp/news/2017/02/sapporo-hard-core-onma.html