良いアプリなので紹介したくなりました。
Google Playに載っていない、別サイトで配布されている非公式のアプリ(=apkファイル)を野良犬とか野良ネコ的なニュアンスで野良アプリといいます。あまり良いイメージはないかもしれません。
実際、開発者が正式な手順を経て登録しなかった身元不明のアプリは、悪意のあるコードを含んだものなど、安心できないものが少なからずあるのでむやみやたらにダウンロード・インストールをしないことが賢明です。
が、前置きが長くなりましたが、なかなかステキな野良アプリもありますよ。ということで今回紹介したいのが、航空自衛隊のホームページで配布されているアプリ『JASDF ALARM CLOCK』です。
起床ラッパやメシラッパ、呼集ラッパなど、基地内のラッパ音でアラームを鳴らしてくれる、一味違ったアラームアプリです。
まずスマホ側に下ごしらえが必要です。端末の設定画面内にある「提供元不明のアプリ」にチェックを入れましょう。下ごしらえおわり。
で、こちらのページから、アプリをダウンロード、インストールすれば、Google Play経由で入れたのと同じように、アプリを使用できるようになるという仕組み。
起動画面はこんな感じで、画面中央部の「アラーム設定」をタップし、アラームを設定します。
スマホの初期目覚ましと良い勝負というシンプルさなので、設定はカンタン。ただ、アラーム音が、「CH47J」「起床」「メシラッパ」「呼集」「点呼」とどれもが身が引き締まりそうなものばかり。器材運搬用大型ヘリコプターの「CH47J」を選択してみます。
時間が来ると、思ったよりも耳に刺さるうるささ。鋭い雑音という感じで、たまらず起床、「アラーム停止」を押してしまいます。
その他はラッパの音が多いのですが、朝、昼、夜のラッパでそれぞれ調子が違うのが面白い。とくに、昼の「メシラッパ」はファンファーレという言葉がよく合う感じで、音の切れ目に音符を入れたくなる軽快さ。この音を聞くと、基地内の皆様、ご飯の時間だと気分が浮き立つんでしょうね。
これらの臨場感のあるアラーム音は実際に基地で録音したものなのでしょうか。防衛省航空幕僚監部広報室に聞いてみました。
「音は実際に入間基地で収録しています。ラッパも隊員が吹いているものを録音し携帯用にデータ変換したものです」
おおっ、やっぱり。音に魂を感じます。ところで、どうしてこのようなステキで話題になりそうなアプリをGoogle Playではなく、HPのみで公開されているのでしょうか。
「Google Playで公開した場合、デバッグやアップデートなどのユーザー様のご要望が大変多くなることが予想される。ホームページ上で公開することにより、ホームページ閲覧者の増加が見込めるのではないか。など様々な事情を検討した結果、ホームページ上のみの公開とさせていただいております」
なるほど。それは(とくに前者)はあるかもしれないですね。後者については、どのぐらい閲覧者数がUPしたのか気になりますが、いずれにせよ、これ以外にも様々な勘案事項をかんがみた上でのことなのでしょう。
といった感じで、番外編として真面目すぎる野良アプリ(かなり違和感がありますが便宜上そう表記しておきます)のご紹介でした。有川浩さん原作のドラマ「空飛ぶ広報室」も面白いですが、本アプリで、一味違った朝を迎えてみてはいかがでしょうか。
(斎藤栄孝)