(~ある日の編集部~)
いとう:あ~、5月病の後遺症でしょうか。いまいちテンションが上がらないなぁ~。
オサダ:いとうクン、『サイタス』の中の人が来日するって。会いたい?
いとう:(急にテンション↑)え、マジですか!? 家庭用ゲーム機級のクオリティーなのに無料で数10曲プレイ出来るあの『サイタス』ですか? 台湾のディベロッパーですよねスゲー! というかオサダさん知ってます? 海賊版対策に課金プレイヤーが増えるほど曲が増える、ゲーム業界のシステムを変えようという志の高いタイトルなんですよ! そんな開発者さん達とお会いできるなんて千載一遇のチャンス、めちゃんこ嬉しい光栄ですヤッターーーー!
オサダ:よ、喜んでくれて嬉しいよ...(急にびっくりしたな、もう)
というわけで大興奮なワタクシ伊藤が、リズムゲームアプリ『サイタス』を開発したレイアークのディレクター・トニー リーさんとマーケティング&コミュニケーション担当の・ジェリー チャンさんに、色々お話を聞いちゃいました。
世界的ヒットの秘密なんか、ウマイこと聞き出せたらな~的な下心もチョットありあり。
なおお二方はインタビューの直前に、アジアで有望なベンチャー企業を表彰する「アジア アントレプレナーシップ アワード」で特別賞を受賞したとのこと! これは緊張してきたぞ~!(笑)
『サイタス』誕生まで、たったの2週間
いとう:まず先日の大会でのご受賞、おめでとうございます!
ジェリー&トニー:ありがとうございます。
いとう:国際舞台でも成功が認められた『サイタス』ですが、まず制作の経緯を教えていただけますか?
ジェリー:とても長い話になります(笑)。私達は元々、アーケード向けに音楽ゲームを作っていました。残念ながらその仕事は終わってしまい、それで次にどうするかと。
いとう:他の道に進むこともできたのですね。
ジェリー:はい。ただし「もっといいゲームを作りたい。それこそ世界市場でも通用するクオリティーに達したい」というやり残し感がありました。それをモチベーションに、もう一度挑戦してみようと。
いとう:ちなみに『サイタス』は完成までどの位かかったのですか?
トニー:リズムに合わせてリングが表示されるだけのプロトタイプなら、2週間で完成しましたよ(笑)
いとう:はや!(笑)
夢>ビジネス
いとう:もちろん、それだけではゲームになりませんよね。例えば雰囲気はどうやって決めました? 『サイタス』は近未来サイファイ系っぽいですが...
トニー:雰囲気ですか? プロデューサーの好みです(笑)。
いとう:え!? ビジネス的見地や市場調査で決めたのではないのですか?
ジェリー:ビジネスの話でしたら、正直なところ、『サイタス』で大きな収益を上げられなくともOKと思っていました。
いとう:それは興味深い。
ジェリー:ですが、レイアークの処女作として相応しい偉大なタイトルに仕上げたかったのです。お金のためではなく、夢の実現のためですね。
いとう:なるほど。ではアーティストはどう選出されました? 日本人アーティストが多いですが、ビジネス的な意味合いは...
ジェリー:正直にお話しましょう、ただ彼らの作品を気に入っただけです(笑)。
いとう:またですか(笑)
ジェリー:例えばxiさん(日本人アーティスト)は、BMS(PCの音楽ゲーム)で既に知っていました。そして彼は他アーテストとコラボもしています。その繋がりで、サイタスに楽曲提供をしてもらったケースもあります。
「ゲーマーを信じてます」
いとう:「ゲーム」を媒介にして繋がったのですね。
ジェリー:ええ、私達はゲーマーです。『サイタス』を制作する際にも「押忍!闘え!応援団」や「DJMAX TECHNIKA」を参考にしましたが、オリジナリティーを出すことにゲーマーとしての経験がとても役立ちました。
いとう:いちゲーマーとして、自分たちのゲームが世界中で愛されてるなんて、さぞ誇らしいでしょう。
ジェリー:さきほどサイタスは夢のためと言いましたよね。でも最近は変わってきて、『サイタス』を誰もが知る音楽ゲームにまで発展させたいと思っています。
いとう:と、いいますと?
ジェリー:もし人々が音楽ゲームと聞いて連想するのは、例えば「太鼓の達人」であったり、欧米の方なら「ギターヒーロー」でしょう。そのレベルにまで高めたい。
トニー:特にモバイルデバイスというジャンルでは。
いとう:高い目標ですね!
ジェリー:私達はゲーマー達を信じています。彼らは私達の誠意や情熱を感じとり、そして私達をサポートしてくれます。抽象的な言い方ですが、それが本心です。私達はゲーマー達を信じています。
【朗報】植松さんが次期タイトルに参加するぞー!
いとう:『サイタス』はこれからも曲がアップデートされ続けるでしょうが、他のタイトルってあるんです?
トニー:用意してますよ。ただその前に『サイタス』はPS Vitaに移植されます。(注:既に発売済みです)
いとう:おお、それはスゴイ!
ジェリー:『サイタス ラムダ』といいます。スマホ版の全62曲に加え、10曲追加されています。さらに一度有料版を購入すれば、スマホ版にアップデートされた曲も追加課金無しでプレイできます。
トニー:新規タイトルの話にもどりますと、リズムゲームを2つとアクションゲームを1つ予定しています。
ジェリーそのリズムゲームの一つ『ディーモ』に、ファイナルファンタジー等の作曲で知られる植松伸夫さんも参加してくれます。
いとう:ホントですか? 僕にとっては神様のような存在です!! ぜひ、参加された経緯を教えてください!(興奮)
トニー:幸せな偶然でした(笑)。ゲーム音楽関係者とのコラボを模索していたのですが、とある方から植松さんをご紹介いただきました。
ジェリー:植松さんはバンドをしてますよね。彼は「アンダーグラウンドな曲でも大丈夫?」と聞いてきましたが、「ぜひ!」とお願いしました。私達はインディー系の曲も大好きです。
いとう:ちなみに植松さんは『サイタス』をご存知だったのですか?
ジェリー:はい。
いとう:うぉ~、やっぱ『サイタス』すごいな。
インタビューを終えて:中の人の人間力、ヤバい!
世界と私が認めた大ヒットリズムゲームの『サイタス』。インタビューかたその成功の秘密を探ろうと目論んでいましたが... いやはや、秘密なんかありません。中の人の人間力が圧倒的なのですから!
まずインタビューは英語だったのですが、お二人ともペラッペラ。お話も理路整然としていて、とてもわかり易かったです。そしてその教養すら霞ませてしまうのが、お二人からにじみ出る情熱! 「夢のため」「ゲーマーを信じてる」「アーティストと世界を繋げたい」等、残念ながらカットしてしまった部分を含めて、とにかくアツかったですよ!
アプリのリリース時はナーバスで眠れず、今も、そしてこれからもいい意味でナーバスであり続けたいと語ってくれたジェリーさんとトニーさん。『サイタス』の成功に策は無し。
夢を追い続けた結果、世界の方が「レイアーク」&『サイタス』認めてくれたなんて(お二人はきっと謙遜するでしょうが)、何だかコチラのヤル気も↑するサクセスストーリーですね!
[Rayark]
(伊藤ハワイアン耕平)