2013年の年間を通じて議論されてきた話題のひとつに「携帯電話の電波が心臓ペースメーカーに与える影響」というものがありました。
年初には総務省が指針を緩和し、10月に入ると一部の鉄道会社が車内アナウンス等での対応を改めたという話題は、以前にTABROIDでも取り上げた通りです。
そしてこの年末になって、総務省から発表された報道資料において、
LTE方式の携帯電話端末について実機による影響測定を実施した結果、植込み型医療機器の動作への影響は確認されませんでした。
という文言が明らかになりました。これで従来の指針にあった2G、3G方式に加えて最新の電波規格であるLTEについても総務省からの見解が出されたことになります。ここでは、その資料の内容を要約してチェックしてみましょう。
現在使用されている植込み型医療機器の中から選定した25機種(植込み型心臓ペースメーカ13機種、植込み型除細動器12機種)を対象に調査が実施され、その結果として影響の発生はなかったとのこと。
上に引用した表中では1機種に影響が出ているのが見受けられるものの、「半波長ダイポールアンテナでの測定で影響が発生した 1 機種に対して、端末実機を用いた測定を実施した結果、端末実機からの電波による影響の発生は無かった」との記載があり、LTE端末実機からの影響はなかったのだそうです。
上記の資料は報道資料添付の「電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書(PDF)」25〜28ページあたりから抜粋しているので、より深く知りたい方は原典をご一読ください。
なお、この調査結果を受けてLTE方式の携帯電話にも従来の指針が適用されることとなり、植込み型医療機器との離隔距離は3G携帯電話と同様の15cm程度とすることになりそうです。
新しい電波規格のLTEにも、きちんとした調査結果が出されたことで、ひとつ不安が解消されたと言ってよさそうですね。
平成24年度電波の医療機器等への影響に関する調査結果及び当該結果に基づく「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」の改訂 [総務省]
(関連資料)電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書(PDF)
(ワタナベダイスケ)