携帯電話の利用が制限される場所といえば、飛行機、鉄道、そして病院。最近は交通機関の一部でスマホの利用が解禁されつつありますが、その流れが医療機関にもやってきました。
総務省や携帯キャリアなどから構成される、電波問題を対策する団体『電波環境協議会』が、病院内や医療機関での携帯電話の利用について「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(案)」という取り決めを発表しました。
これまでは薬事法(昭和35年)に基づく規制や指針、およびマナーの問題をもとに医療機関ごとに独自のルール決めをしている状態でしたが、この指針によって病院での携帯電話利用ルール等が明確化されることになります。
使えるエリアはどんな場所?
今回の指針案では、病院内の場所を5つのエリアに分類して「通話」「メール・Web等」それぞれの可否を表にまとめています。内容を見てみると、多くのエリアで携帯電話の利用が可能になりそうですよ。
(1)食堂・待合室・廊下・エレベーターホール等 [通話◯ / メール・Web◯]
(2)病室等 [通話△ / メール・Web◯]
(3)診察室 [通話× / メール・Web△]
(4)手術室、集中治療室、検査室、治療室等 [通話× / メール・Web×]
(5)携帯電話使用コーナー等 [通話◯ / メール・Web◯]
それぞれのエリアには、マナーへの配慮や電源OFFにする必要性といった留意事項こそあれ、今までの病院のイメージよりユルめの指針になる模様。こうした背景には鉄道の車内マナーと同様、電波が強かった2G携帯電話のサービス終了や医療機器の電磁的耐性が向上したことがあるとされています。
医療機器にも携帯電話技術が使われるように
またこれに伴い、電波を利用できるエリアにおいては携帯電話やネットの技術を応用した医療機器・設備が登場する可能性も浮上してきました。
同時に発表された「携帯電話等の使用に関する報告書(案)」ではスマホ・タブレット端末やネット技術の医療現場での活用についても触れられていて、今回の指針案が利用者(患者)にとっての利便性向上だけでなく、病院のあり方を大きく変える流れの発端となるかもしれません。
正式決定は、もう少し先
この指針案・報告書案については、いまは一般からの意見募集が行われている段階で、正式決定となるのは意見提出期限となる7月22日以降のことになります。
使用ルールの周知、マナー啓発や、在宅医療環境での指針をどうするかなど、今後も継続して検討すべき課題はあるとされていますが、医療機関というデリケートな場のことだけに、こうしてキチンと線引きされるのは非常に有意義なことですね。
「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」に対する意見募集 [電波環境協議会]
医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(案) (PDFファイル)
医療機関における携帯電話等の使用に関する報告書(案) (PDFファイル)
(ワタナベダイスケ)