card.jpg何かがおかしいと感じた時は、すでに一刻を争う事態ということもあります。

突然Facebookから請求された751ドル(75000円)は、Facebook上に掲載された広告の費用でした。しかし、それは黒川さんが出した広告ではありませんでした。



アカウント乗っ取り広告


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7月18日のYOMIURI ONLINEに、『Facebookでもアカウント乗っ取り事件』という記事が掲載され、悪質なメガネ販売店の存在が指摘されました。

黒川さんが掲載したとして請求された広告費は、まさにこのレイバンを販売するメガネ販売店のものだったのです。

折悪く、黒川さんはご自身が主催するイベントの宣伝に使う広告費の支払いのため、Facebookにクレジットカードを登録していました。

おそらく当初は黒川さんの友人を無差別にタグ付けして宣伝に利用しようとした犯人は、それに気がつき、法外な広告費を黒川さんに押し付けたのでしょう。

広告の掲載期限と設定額を確認したところ、もし気がつかなければ最大で190万円の被害になっていたそうです。

被害総額を取り戻すまで

ピンチの時にこそ自分がその時に何をするべきかの優先順位をつけて、迅速に対応することが肝要となります。


まず個人で対応できることを

黒川さんは冷静でした。まず、勝手に登録されている「広告キャンペーンのセット」を削除しました。

次に、パスワードを強固なものに変更し、黒川さんが本来の業務に使っている広告費の一日あたりの上限金額を「1ドル」に変更しました。必要のないクレジットカードの登録もFacebookから削除しました。

次に頼るべき場所に連絡をします。黒川さんが連絡をしたのは警視庁と国民生活センターでした。ところが....


警察は頼りにならない...?

警察庁にはサイバー犯罪対策課による「情報セキュリティ広場」というウェブページがあります。

サイバー犯罪に係る電話相談窓口というものもあり、03-3421-8109(ミヨミライ ハイテク)で相談を受け付けています。

黒川さんは、まずそこに相談をしましたが、結論から言えば、今回の場合は直接的な解決にはつながりませんでした。

警視庁の見解では、「詐欺被害の仕掛けをされたのはフェイスブックというポータルなので、まず被害者はフェイスブックになる。黒川さんは、被害者ではなく参考人という立場である」ということでした。

従って黒川さんが被害届を出すためには、Facebook社からの被害届や捜査依頼が先に必要になるということです。

クレジットカードの引き落とし予定日まで、1週間を切っていました。


国民生活センターは強い味方

警察の対応を待っている時間はありません。次に国民生活センターの相談窓口を訪ねました。消費生活に関するトラブルの相談を受け付ける窓口は、全国の自治体や公共施設内にあります。

国民生活センターの行動は迅速でした。黒川さんの事情を聴いたうえで、詐欺事件と判断し、その場でカード会社へ直接連絡。

事件についての厳正な調査、調査が終わるまでは、数日後に引き落としを控えているものも含めて黒川さんの支払いを留保扱いにすることなどをカード会社に依頼し、カード会社もそれらを了承してくれました。

詳細は黒川さんのブログに経緯とともに書かれていますが、結果的に全ての支払いが詐欺行為によるものであるため無効となったようです。被害額は全て黒川さんのもとに戻されました。

不正な請求に対する対策マニュアルが国民生活センターのサイトにあります。何か不審なことが身の回りで起きたら、まずこちらをチェックすると役立つはずです。



万が一サイバー犯罪の被害に遭っても、迅速な対応と頼れるところに相談することなどで、被害を最小限にすることができます。

もちろん日頃からパスワードの使い回しをしないなど、あらかじめ犯罪者につけいる隙を与えないことも大切です。


(高橋ミレイ)

 

RSS情報:http://www.tabroid.jp/news/2014/08/facebook-ad-con2.html