スマートフォンの安全を確保するために、大きな助けとなるセキュリティアプリを、いくつかピックアップして試してみようという本連載。第6回の今回は『360 Security - Antivirus FREE』を取り上げます。
過去の記事は、それぞれこちらへ。
第1回『Avira Antivirus Security』
第2回『CM Security』
第3回『McAfee Mobile Security』
第4回『ウイルスバスター™ モバイル』
第5回『ESET Mobile Security & Antivirus』
本アプリは、中国製です。
そう聞くと、眉をひそめる方もいらっしゃると思いますが、AV Testのみならず、多くのセキュリティ評価機関から認証されているアプリです。
また、Qihoo社は世界一上場審査が厳しいと言われるニューヨーク証券取引所(NYSE)にも上場を果たしており、信用度はかなり高い企業です。
もっとも、残念ながら本アプリは日本語化されていませんので、これは導入時にネックとなるでしょうか。しかしながらセキュリティ機能だけでなく、スマホを快適に使えるようにする機能も備えていますので、英語に抵抗がない方なら検討に値します。
それでは恒例の、『360 Security - Antivirus FREE』の評価は、こちら。
AV Testの9月度テストは検出率100%、累計で98%ですので、本アプリも、過去レビューしてきたアプリと同等の性能評価を受けています。
英語が苦手な方にとっては、使用感は減点されるべきだと感じるかもしれませんが、それを補えるだけの機能性の高さがありますので、6ポイントとしています。
ウイルス監視・スキャン
本アプリも、相当性能の基本機能を有していますが、ユニークなのは、安全性だけでなく端末の動作改善など、総合的に端末のメンテナンスをしてくれる点です。
アプリが一時的に作成した不要ファイルを削除したり、動作を重くさせる原因となるメモリーへの常駐を解放するなど、スマホを快適にするための機能を統合してくれています。
盗難対策
本アプリの盗難対策機能には、Google純正のAndroid デバイス マネージャーと同等の機能の他に、盗難にあった際の、信頼できる連絡先への通知機能があります。
上の図は、地図部分をぼかしていますが、実際にはハッキリと表示されます。
設定内ではさらに、犯人によるアプリのアンインストール(削除)を防ぐこともできるようになっています。本機能は全てのアプリについて適用されますので、本アプリだけでなく、アプリをアンインストールする前には、本機能を一旦オフにする必要があります。
着信拒否
本アプリにも着信拒否の機能が搭載されており、電話だけでなく、SMS(ショートメール)にも対応できます。アプリを開いてすぐの画面右上にメニューアイコンがありますので、そこから入ってください。
プライバシー保護
この機能は、前回レビューした『ESET Mobile Security & Antivirus』と同等の使い勝手を持っています。
リスク別に仕分けてくれるので、アプリがどんな権限を持たされているのか、判断が楽になっています。怪しいアプリだと思われるなら、削除するようにいたしましょう。
もっとも、アプリの情報漏洩についても検査してくれていますので、補助的な機能だと思ってもらって良いと思います。
データ通信量の制限・ウィジェット
セキュリティアプリの本来の趣旨からは少し外れていますが、データ通信量に制限を加えることができるようになっています。
携帯電話会社との契約によっては、ある一定のパケット量をオーバーしてしまうと、多額の通信費用を請求されることがあります。子どもにスマホを持たせるときなど、契約内容によって不安が残る場合などに、通信の上限を設けておくことは有効な手段となります。
また、各種設定を変更するためのウィジェットも使えます。
色々な機能を簡単に使えるようにするために、こうしたウィジェットはとても便利なのですが、別アプリで導入するよりも、ひとつのアプリに統合されているとスッキリできるので、好印象です。
アンインストール
本アプリを削除する場合には、盗難対策の項目で設定した、「アンインストールからの保護」機能をオフにする必要があります。
総評
本アプリは、セーフブラウジング(安全なホームページ閲覧)には対応していませんので、その点は要注意です。
もっとも、有料版を除けば、過去レビューした中で「CM Security」だけが対応できる機能ですので、無料で使えるアプリとしては一般的といえます。
多機能なアプリですので、使いこなせるようになれば、良き相棒となってくれるはずです。