20141130_uma.jpg.jpg 先のエリザベス女王杯。握り締めた馬券が紙屑になったのを確認して、俺はすぐにウインズ後楽園の階段を駆け下りた。レース後の馬券売り場は空気が淀み、あっという間に負のオーラが漂う。自転車に乗って御茶ノ水へ向かうと、いつもの呑み屋。メインレースが15時45分に終わるのを見越したかのように16時から開店するその店は、当然競馬に負けた客が多く、店内の雰囲気は毎回どこか暗い。カウンターのみ10席ほどの狭い店内に入り、ホッピーを注文。隣のオヤジが若い女店員に絡んでいるのもいつもの光景だ。

「若いのに日曜の夕方にバイトなんて、彼氏いねーんだろ」とか「こんな安い店でバイトなんてよっぽど貧乏なんだろ」などと悪態をつき、店内の客全員がそれ全部お前の事じゃねーかという気持ちで一つになっていた。

 ギャンブルに負けた帰り道と言えば、江戸川競艇の無料送迎バスが最も荒んでいる。行きは全員大人しく乗車してるのだが、帰りは負けてるもんだから車内には罵声が飛び交う。標的になるのは決まってバスの運転手で「馬鹿野郎、今の信号いけただろ、下手糞」とか「今のは左折した方が近道だろ、ヘボ、俺と運転代われ」とか言って、競艇場ではレーサーの運転テクニックを野次って、帰りのバスではバス運転手の運テクを罵倒するのがオヤジ達の長年の慣習なのであった。

さらにそれに飽き足らず、最後は窓の外で歩行している一般人を指差して「あいつバカそうな顔してるよ」とか「あの女ブッサイクだな」とか言いつつ隣の知らない者同士が笑い合う始末、人間ここまでクズになれるものかと感心するほど、ギャンブルに負けた人間の心はすさみ切るのであった。

 早いもので晩秋の大一番、ジャパンカップを迎えた。かつてないほど豪華な面子が揃い目移りするが、本命はドバイ最強の馬主団体ゴドルフィンが送り込んできた刺客トレーディングレザーで仕方ないだろう。相手には天皇賞の上位馬ジェンティルドンナ、スピルバーグを指名する。今週頭から何度も検討してきたが、毎度この結論に到達した。それほど揺るぎない自信を持ってこの予想を推すことができる、その幸せを今は素直に噛み締めたい。

 もし、万が一、負けるようなことがあれば、その時は御茶ノ水の呑み屋の女店員の尻でも触ってやろうかと画策してる次第である。

2014年11月30日 新爆

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