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青天井(あおてんじょう)という言葉があります。

これは、天井がなくて、上にはお空しかありません、という意味です。

相場について使うときには、「高値に際限がありません」という意味に使われます。実際にはみんながそう思う時にはバブルで、そこが天井になって、あとは釣瓶(つるべ)落とし、という展開がよく見られます。

ですから、誰かが「相場は青天井だ!」と言った時には、眉に唾をつけて聞くようにしてください。

さて最近、日本の株式市況が活況になっています。何回か前に、TPOIXで1600ポイントくらいに過去の出来高のシコリがあって、これを抜けてくるとその上には抵抗線(天井ということですね)がしばらく存在しませんと言いました。で、その水準になってきているのです。

この原稿を書いている木曜日の株式市況は、日経平均がギリギリ2万円に届いておりません。でも、金曜日に2万円を超えて、皆さんがこの原稿をお読みになる頃には、「日経平均2万円突破。活況の裏に一抹の不安材料」などという表題の記事が新聞紙面に踊っているかもしれません。(編集部:4/10(金)に日経平均が2万円を超えました)

これを今回は、少し違う視点から見てみましょう。

下図をごらんください。これは、米ドル建てでみた、日米英独の株式市場の時価総額の推移です。

日本(青)は東京証券取引所の時価総額を、米国(赤)はニューヨーク証券取引所とNASDAQ、アメリカン証券取引所の合算を、ドイツ(紫)はフランクフルトの証券取引所、英国(緑)はロンドン証券取引所の時価総額を載せました。

英国が途中で切れているのは、ロンドン証券取引所がイタリアの証券取引所を買収したりして、英国の実態を現さなくなったからです。

米ドル建てでみているのは、国際的な価値をなんらかの通貨に換算して横比較するためです。米ドルを選んだのは、国際取引所連合のデータベースが現地通貨建てと米ドル建ての二種類あるので、換算作業が要らないということ。主要な機関投資家は米ドル建ての運用成果を競っていること。従って、米ドルを評価軸として各国の株式の価値や収益率を判断していること、があるからです。

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これをみると、日本の株式市場は一貫して米国に継ぐ地位にあったことと、一方で昭和末期のバブルの時期の頃の水準が天井になってしまい、だいたいその位でまた下落に転じていることがわかります。

現在、その天井水準まで来ています。さて、日本株はそろそろ危ないのでしょうか? この間の米国の市場をみると、時価総額は5倍くらいになっています。

しかし、次の図を見ていただくとお分かりの通り、GDPは約3倍にしかなっていません。とはいえ、日本に比べると強烈な成長です。

日本は株のバブルが崩壊したあと、不動産バブルも崩壊して、90年代半ばから長期低迷に入りました。とはいえ、リーマンショック後の大不況期には、円高が進んだせいで、米ドル建てGDPは結構成長してみえます。それがまた円安で減ってしまいました。

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さて、株式市場の時価総額は、その経済から得られる将来の利益を現在の価値に換算したものです。どのくらい先までを織り込んでいくか、が、今のGDPと今の時価総額の比になって現れてきます。

これは、国ごとに上場株式が経済全体に占めるシェアが異なるなどの影響もあって、歴史的な水準感が異なってきますが、一国の中では、市場の活況度や将来の評価が判断できます。

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そのチャートを書いてみました。

これをみると、日本の昭和バブルは、英米でのリーマンショック前くらいの活況度だったことがわかります。企業や経済の将来性を高く評価していたのです。その崩壊後の展開をみると、英米と同様にITバブルのときに一旦高まり、リーマンショック前にまた高まりました。しかし、全体として昭和バブルの水準を超えていません。

アメリカは、90年代半ばから今まで、この比率がだいたい2倍になっています。株式の時価総額が5倍になったうちの3倍程度がGDPの成長を、2倍程度がこの評価の高まりで現されます。

他の国をみても、この水準は何度も大きく振れながら、徐々に切り上がってきているようです。

日本だけ、時価総額の天井を超えられないのは、この企業価値の評価が上がらなかったからです。

その理由は、バブル期の評価が余りにも高すぎたことがあると思われます。あの時期は50年分の利益を先取りしていました。今はそれが18年分に下がってきています。国際的にも常識的な水準になっていますので、ここからは、企業業績が伸びるに連れて、天井の水準が徐々に切り上がっていくのではないでしょうか。

四半世紀経って、ようやくバブルの後始末が終わりそうな気配...

え、企業業績が低迷したらどうなるって? それはもう、それが判った時点で相場は天井をつけるのではないでしょうか。

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