さて前回は、相場の先行きを見るに当たって、時価総額の推移をおさらいして、今後の先読みをするには企業業績の一層の伸長が必要と申し上げました。
ところで、企業業績は大雑把に言って、国内外の経済規模の成長度合いに応じて伸びていくでしょう。それで日米のGDPをIMFデータで比較してみたところ、1990年代以降アメリカは3倍になっているのに、日本は横ばいという結果になっていました。これでは株式市場の規模も、横ばいになっても仕方ありません。
なぜ、こういう結果になってしまったのでしょう。
人口ボーナスとGDP
GDPは国家の付加価値の総額ですから、まぁざっくりといえば、労働人口×一人当たり生産性と考えられます。1人当たりの生産性は、日米とも徐々に向上しています。日本の低迷は、労働人口が伸びなかったからではないでしょうか。
下図をみてください。
これは、「人口ボーナス」という考え方を図にしたものです。全人口に占める就労可能な世代の人口の比率をとったものです。数値が1なら、就労可能世代とそれ以外の人数が同程度、1以上なら就労世代の方が多いことになります。
これが2を越えてくると、「人口ボーナス期」といって経済が成長する局面、これが落ち込んでくると「人口オーナス」といって、成長力が沈滞する局面と言われています。
日本は高度成長期にこの数値が急上昇し、昭和バブルのピークにこの数値がピークをつけています。その後はつるべ落とし。2020年代に一時的に落ち込みが緩やかになるものの、その後また急落して、最終的には1を割り込んできそうな勢いです。
では、この人口ボーナスをGDPと比べてみましょう。
こんな感じです。
前回のIMFのGDPデータ、今度は円建てで取っています。過去分は日本の政府統計から取っています。物価計算の基準年が異なるデータなので、並記して図示していますが、大勢に影響はありません。
これをみると、GDPの低迷と人口オーナス期入りが見事に合致していることがわかります。
ここから素直に考えると、内需関連の企業は先行きが怪しそうです。これからは、海外の成長を自社の成長に活かすことができる企業の業績が向上し、そこが引っ張る形で日本全体の経済成長を期待するしかないのではないか、という気分になってきます。
では、海外の主要国の人口ボーナスはどうなっているのでしょう。
ちょっと長くなりそうなので、その話は次回にいたしましょう。