第196回国会に当たり、所信を申し述べます。この外交演説では、本年、私が外務大臣として日本外交を進めていくに当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
私は、外務大臣に就任以来の約半年間で、外国訪問を13回行い、延べ30か国を訪問しました。初めに、これらの訪問を通じた現在の世界についての私の所感から申し上げます。
様々な新興国の存在が増す中で、これまで自由貿易の恩恵を受けていたはずの国々の中でも保護主義が台頭しつつあります。欧州でも内向き志向が顕著になっています。また、テロや暴力的過激主義が国境を越えて跳梁跋扈し始めたことにより、日本を含む世界の安定と繁栄を支えてきた自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値に基づく国際秩序が挑戦を受けています。日本を取り巻く安全保障環境は、極めて厳しい状況にあります。
それ故に、日本を始めとする様々な国々が、既存の国際秩序の維持の